言霊の幸わう国

希う

 メガネを作りに行ってきた。
 普段はコンタクトだからメガネを始終かけるわけではないけれど、ふと新しいメガネがほしくなったのだ。

 フレームをうんうん唸って選んだあと、検査をするのでコンタクトをはずしてくださいと店員さんに言われた。
 はずしたとたん、世界は一変した。

 裸眼でいることなんてほとんどない生活。
 起きたらメガネをすぐかけて、コンタクトをはめて、1日終わってコンタクトをはずして、メガネを布団に入るまでかけている。
 裸眼で視力は0.1もないので、矯正していないともやの中にいるようになる。

 そんな視界の中、店員さんの声がやけにハッキリと聞こえた。
 怖いくらいリアルに届いた。

 初めてメガネをかけたとき、これはカルチャーショックだと思った。
 中学生のころのことだ。
 それまでに自然に視力が落ちていてから、矯正して、今まで自分がどんなに輪郭のぼんやりした世界を見ていたかということに驚いた。

 今のわたしはもうなにかに頼らないと、まともにものを見ることもできない。
 文字どおり手探り状態になる。
 自分がひとりで生きているなんて大それたことを思っていたわけではないけれど、最近のわたしはそれに近い驕りが確かにあった。

 メガネも、洋服も、電車も、季節も、言葉も。
 みんな、自分に必要だからそこにあるのではなく、あるものをほしいと希うことで手にしているのだ。
 すべては自分から。
[PR]
by fastfoward.koga | 2006-07-30 18:12 | 一日一言