言霊の幸わう国

世界はわたしのもの

 昔は、人から薦められたものを素直に受け入れることができなかった。
 人の意見も聞かなかったし、間違ったな、失敗したなと思っても1度口にした言葉を撤回することもしなかった。
 そして人一倍、意見は主張した。
 言わなきゃ損、くらいの勢いだった。

 要は、今ある自分というものが崩れるのが、崩されるのが怖かったのだ。
 人から意見される前に理論武装して、自分を守ろうとしていた。

 弱い犬ほどよく吠える。
 攻撃は最大の防御。
 といったところ。

 でも歳を重ねるとともに、そういう鎧も必要性を感じなくなってきた。
 逆に誰かがわたしにと薦めてくれたものは、そのきもちととともにどんどん飲み込んでいきたいと思うようになった。
 そしてさらに、たとえ薦めてくれた人もそのときの思いも消えてなくなってしまっても、バトンのように託されたなにかは自分のものにしたいと、日々強く強く思う。
 
 聴かなかった音楽。
 読まなかったジャンルの本。
 食わず嫌いの作家。
 知らない町。
 理解しようとしなかった作品。 
 興味もなかった国。

 情報が多すぎるからと、目も耳をふさいでいれば知りえなかったもの。
 そんな中にこんなすごいものがあったんだなと、今はただ素直に驚ける。
 だから知ることができてよかったと思えるのだ。

 心の中にひっかかっている、託された1枚の地図がある。
 相手は半分冗談のつもりでくれたのだけれど、その相手のいない今、いつか行かなくてはと使命感すら感じている。
 どう考えても、わたしが行くなんてありえない場所の地図。
 それを渡されなかったら、言葉でしか記憶に残しておけなかったはずの場所。

 きっとわたしは、いつかそこに行く。
 薦めてくれた人の真意がそこに落ちているような気がして、何十年かかっても行くのだ。
 そうしてやっと、その世界はわたしのものになる。

 がしがし噛んで、飲み込んで、軽く牙をむいてみたりして、もっといろんな世界を飲み込めたらな。
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by fastfoward.koga | 2006-10-05 22:08 | 一日一言 | Comments(4)
Commented by mackworld at 2006-10-05 22:33
■今が思春期なのかもしれんだすな、よかったねやってきて。
ちなみに「女性は海だ」と感じたのはオイラが35歳になってからでありんした、出会った女性は何人もいたのに、ある日「あ、これは海だ」と感覚の中にポカンと浮かんできますた。
同時に社会の仕組みや男女の感情が少し見えるようになりますた。

出会いは
いつの時にも
こころを育てて
幹を大きく伸ばして
いくなぁ。
Commented by fastfoward.koga at 2006-10-07 11:38
mackさんへ
お返事が遅くなりました。すみません。

今が思春期など、自分の口からはよー言いませんが、言ってもらえるといういうことはそうなのでしょう。
なんて。

いろんな人と出会うのは楽しい。
でもその中にはそれだけで終わることもあるし、悔いの残る別れ方もあるよね。
Commented by cool-october at 2006-10-09 20:41
良くわかります。
そして、その心境に自分も至って以来、世界は楽しいものに変わりました。
Commented by fastfoward.koga at 2006-10-10 20:48
coolさん、こんばんは。
世界が楽しいということにもうちょっと早く気づいてればな、と思うことがあります。
でも今は、気づいただけでもヨシとしようと思う自分もいます。

きっとこれからも、もっともっと楽しい世界が待ってますもんね。