言霊の幸わう国

オレンジ

 今日の京都は、朝から雨だった。
 少し遅めの出勤だったけれど、うちを出るまでに雨はやまなかった。
 バス停までの道を、ぶらぶらと歩いていたらなつかしい匂いに鼻が反応した。
 ふと脇を見ると、きんもくせいが咲いていた。

 いつも誰かに教えてもらってその季節を知る。
 1シーズンに1度気づけばいいくらい。
 親しみやすいはずなのに、なぜかここ数年は触れる機会が少なかった。
 今日は、犬みたいに顔を上に向けて鼻をひくひくさせてみた。

 誰よりも早く、その匂いに気づけたと思った。

 帰りは、雨だったからな、といつもと違うルートで帰ってきた。
 ひとつ手前の駅で降りて乗るバス。
 そのバスが通る道に、夜はオレンジのラインで彩られる道がある。
 そこを通るたびに思う。まるで、飛行機の滑走路のようだなと。

 どこまでも飛んでいけそうな気がする。
 自分で車を運転していると、余計にそう思う。
 いつか車の前輪が浮くんじゃないかと。
 今日は、心も体もそんな浮遊感に包まれることもなく、ただ視線だけがふわりと浮いた。
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by fastfoward.koga | 2006-10-11 23:05 | 一日一言