言霊の幸わう国

空っぽ

 夏。
 言葉が自分の中から、溢れて溢れて仕方のない時期があった。
 書いても書いても、次から次へと言葉が出て、自分の中に留めておくことができなかった。

 そんなことが数ヶ月前にあったのに、今は怖いぐらい自分の言葉の箱は空っぽだ。

 ここ数週間、そういう自分の状態に気づいて、冷静に恐怖心を感じるものかどうか考えた。
 でもどうもそういうこともないようで、ただ淡々と空になった箱が胸の中にあることを、頭の中に思い描いていた。

 初めは、ただ不思議だった。
 箱が空になるのがどうしてなのか、そういう疑問だけがあった。

 でも、答えを求めるのはすぐにやめた。
 答えがわかったから何か変わるわけでもないし、なによりも決して言葉を生み出さなくなったわけではないから。

 毎日毎日、言葉は溢れる。
 それは今までとなにも変わらない。
 ひとつ違っているのは、その言葉が湧き出てすぐに受け止めてくれる誰かがいるということだ。

 誰かは、誰かであって、誰かでない。

 毎日毎日、わたしは自然のままに、湧き出る言葉を溢れさせるだけ。
 それだけで、今は十分。
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by fastfoward.koga | 2006-11-20 22:35 | 一日一言