言霊の幸わう国

自己否定

 最近、ある記憶を無くしてしまいたいと、思った。
 ほんの一瞬。

 記憶を積み上げて、歳を重ねることに意義を持つ自分としては、驚いて自問自答した。
 恥ずべき行為だと思わないか、と。

 今まで自分に起こった出来事を、なかったことにしてしまいたい、消してしまいたいと思っても、無くしてしまいたいと思ったことはなかった。
 なかったことにするというのは、あった事実は変わらない。
 消してしまおうとするということは、消えても消し跡が残る。
 無くしてしまおうとすることは、全部否定すること。

 自分の中の、素の醜さが見えた。

 ものすごく悲しい。ただ、悲しい。

 そう感じて、自分がその記憶を否定したのではなくて自分自身を否定したのだとわかった。
 そりゃ、悲しいはずだ。

  「自分の思考の正確さを育てられるのは、
  たゆまぬ訓練によってだけだ。
  それが人間のもつ
  もっとも貴重なものだ。」
      
                  サン・テグジュペリ

 わたしはまだまだ修行が足りない。
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by fastfoward.koga | 2007-01-07 22:44 | 一日一言