言霊の幸わう国

ブラックホール

 いつもと違う帰り道。
 大阪駅前の大きな交差点を足早に渡る人のいくつもの背中に、つられるように歩いた。

 交差点を斜めに渡る。
 ふと交差点のど真ん中を通りたくなった。
 通ったら、そこで立ち止まりたくなった。

 ポイントの手前で少し頭を上げると、背の高いビルのそのまた上に半月。
 ど真ん中で立ち止まりはしなかったけれど、歩く速度を落とし、首を直角に曲げて月を見た。

 ふと自分が世界の中心だ、という気がした。
 自分を中心に風がぐるんと吹いたような気がした。

 信号を見ると、もう点滅が始まっていた。
 せっかく、ここではないどこかへと繋がる扉が目の前で開いたのに、ひゅんと現実に戻った。

 うらめしく見上げる空には、やっぱり半月がいた。
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by fastfoward.koga | 2007-01-27 22:01 | 一日一言