言霊の幸わう国

迷子

 仕事で天候を確認することがよくあるのだけれど、最近昨日のお天気がすぐに思い出せないことがある。
 正確に言うと、思い出せないのではなく、印象に残っていない。

 たとえば見上げた空が青かったのが、月の形を確認したのが、いつだったのかわからなくなってしまうのだ。

 なんとなく空を見ている。
 寒さも暖かさも感じている。
 でも、1日経つと、するっと体からその感覚も事実も抜け落ちてしまう。

 いつもと違うようで、いつもと同じ毎日。

 書きながらそんなことに気づいたのだけれど、それを先取りしたのかふと週に1回は地下鉄に乗らずに2駅分を歩こうと決めた。
 寒くても外の風に当たらないと、どんどんなにかをなくすような気がしたのだ。

 早速今日は寄り道しながら、てくてくと歩いた。
 せっかくだから歩いたことのない道を、とすれ違う人をぬって歩いた。

 足早に渡る横断歩道に、急がず渡る横断歩道。
 どっちにしても、何度も何度も空を見上げた。
 あまりに視線を上げる自分におかしくなるくらいで、そうしてしまう理由をラーメン屋さんのスープのいい匂いに負けないように考えてみた。

 きっと背の高い建物が多いからなのだろう。
 その合間に見えるものがなんなのか、妙にそれが確かめたくて仕方なかった。

 でも見えるのは、暗い空だけ。
 明るすぎて星も見えやしない。
 そしてまた、あざ笑うように見える月。

 それでも道しるべを探すかのように、夜道を歩けばわたしはまた空を見上げるのだろう。
 果たして、それでなくしたような気がするものは見つかるのか。
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by fastfoward.koga | 2007-01-30 23:59 | 一日一言