言霊の幸わう国

もしかしたらの先

 冷たい風が吹く中、横断歩道が青になるのを待っていた。
 反対側の歩道で待つ、同じく寒げな人の列を見ながら、「たら」と「れば」について考えていた。

 もしかしたら、という世界は存在しない。
 どんなに妄想をふくらませようとも、そんな世界は実現しない。

 でも、ふと思う。
 1度逃したチャンスがまた巡る幸運にめぐまれたとき、これはもしかしたらの世界なのかと。

 寒さに耐えられず自分で自分の腕を抱きながら、そう思った瞬間に否定した。
 今目の前ににあるのは、やり直すためのものではなく新たに巡ってきたものに違いないと。

 予期せぬ訪問者に自分は翻弄されていると、来た道を戻りながら心の中でつぶやいた。
 いったい誰のしわざなのか。
 そんなつまらないことを続いて考えた。

 涙も出るし、ため息も出るし、絶句もするし、途方にも暮れる。
 でも身から出た錆。

 捨てゼリフを放ったのだ。
 わたしは、手を離すときにえぐるような言葉を口にした。

 受けて立とう。
 視線は下げずに、前を見なくては。

 きっと、相手は凛としたわたしを望んでいる。
 もしかしたらではなくその先にいる、今ここでこの2本の足で立っているわたし。
 そうでなければ、ならぬのだ。
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by fastfoward.koga | 2007-02-03 00:00 | 一日一言