言霊の幸わう国

極意

 昨日の夜は、買ってきたばかりの本を読んでいた。
 夕飯を食べて、部屋を整えて、よしとクッションを抱えてベッドの上に乗っかったのが19時24分。
 ぱらぱらとページをめくって文字の大きさとページ数を確認した。
 考えていたのは、何時間で読めるかということ。
 わたしには、その本をどうしてもその日のうちに読み終えたいという思いがあった。

 いつも以上に、表紙も丁寧に開き、文章も丁寧に追った。
 その本を読むきっかけをくれた人に、しっかり応えたいと思っていた。

 土曜日に届いたハガキに、まだ読みかけだけれどその本の主人公にわたしが重なる、と書かれていた。
 その本は、本屋で存在は知っていたけれどどうも手を出せずにいたものだった。
 冷たい雨の降る中、本屋へ走ろうかとも思ったけれどあせるきもちを落ち着かせて読むほうがいいような気がして、1日待ってから手にした。

 3軒目の本屋で見つけたときは、これで今晩は眠れるとなぜか思った。

 主人公が自分に似ているかどうかは、読んでみてもわからなかった。
 でもイメージが重なる、としたためられた言葉の意味はわかるような気がした。

 文字どおり、一気に読んだ。
 最近理由もなくわーんと泣きたいきもちがくすぶっていたので、読みながら何度も何度も泣きたくなった。
 でも、読みきるまでは泣くわけにはいかないと、強情なきもちがむくむく現れた。
 ここで泣いたら、ハガキの主に申し訳ない。
 そんな意味のないこだわりだけが、挫けそうになるきもちを支えていた。

 できる限り、わたしはがんばった。
 がんばったのだけれど、晴れ晴れした気分とはうらはらに、今朝はぼんやりしたまぶたのまま仕事へ向かった。
 最後の2ページで、城は落ちたのだ。
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by fastfoward.koga | 2007-02-19 20:57 | 一日一言