言霊の幸わう国

山頂への道程

 さっき書き上げたものを、クリックひとつで消してしまった。
 もう同じことを書くエネルギーも情熱も感じないので、違うことを書くことにする。


 わたしは書くときも話すときも、言葉の選び方には注意する。
 それ敬語を正しく使おう、というようなことではなく、今この瞬間にふさわしい言葉はどれだろう考えることだ。
 だから、人から間違っていると指摘されたり、自分で気づいたりすると軽く落ち込むことがある。
 いつだって言葉をうまく操りたいのだ。
 
 本を読んだり、人と話していると、おもしろい言葉の選び方をするなと思う人がいる。
 それは、ある流れの中で、石にでもつまづくように言葉が浮き出すような。
 自分では埋めることのできなかった隙間に、しっくりとなにかが埋まるような。
 そんな感じがする。
 
 今読み終えた藤代冥砂の「クレーターと巨乳」は、途中でいくつもの石につまづき、いくつもの隙間が埋められた。
 言葉なのに、言葉以上のものを持つ言葉。
 そんな感じがした。

 タイトルひとつとってもそうだ。
 表題もそうだし、「君の芸術が終わってしまう前に」や「太陽のバブル」なんかは、タイトルをページの隅に何度も確認しながらどんな物語なのかと考えて読んだ。
 そして読み終えて、もう1度タイトルをじっと見た。
 じわっと広がる言葉のシミ。
 そういうことは、わたしにとってはとても稀なことなのだ。

 写真家だからなのか、文章が映像的だった。
 でも描写がくどいということもなく、ただ淡々と、どこまでも淡々と言葉が綴られていた。
 写す人が書くと、こういう言葉が並ぶのかとじんとした。

 ブログを書き始めて、2年。
 少し言葉慣れしていたところがあったのだけれど、実のところ自分はまだ富士山の麓にいる程度だなと思った。
 まだまだ学ぶべきことはある。
 死ぬまでに頂上へ辿りつけたら、まあいいか。
[PR]
by fastfoward.koga | 2007-02-25 20:20 | 一日一言 | Comments(6)
Commented by hakase_0816 at 2007-02-25 23:37
僕も仕事柄、お客さんと話す機会がありますが、
言葉一つでお客さんを困らせたりしてしまうことがあります。
で、それっきり連絡無しって事も^^;

現役の大臣ですらちょっとした一言が辞任まで追い込まれるような事態になりましたからね
(実際には辞任してませんが)

言葉って難しいですね
Commented by mamepanapollo at 2007-02-26 19:13
これは読みたい!と思って先ほどアマゾンで注文してしまいました。
昨夜ちょうど同じ頃 『もう、家に帰ろう』 藤代冥砂、田辺 あゆみ
をホットカーぺットの上でペラペラと読んでいたのでした。
この写真集にそえられた藤代冥砂の言葉もまたぐっとくるのでした。



Commented by itr-y at 2007-02-26 19:19
人はそれぞれいくつかの「型」みたいなものを持っていますよね。
話し方も言葉の選び方も、いくつかのパターンの中から選びとっていて、それは大抵の場合それほど多くはない。展開の仕方もそうした型にそってやってたりします。
僕も書き進めていくうちにそうした自分のクセやパターンをいやがうえにも知ることになりました。
それを是正しようとしたり、時には全部丸投げしてしまったりしながら文章って出来るのかもしれないですね。

富士山にたどり着くのも、東京からと京都からではえらい違いがあります。
麓までの道のりも決して楽ではないと思いますけれど。
Commented by fastfoward.koga at 2007-02-26 20:31
hakaseさん、こんばんは。
ほんと、言葉をひとつ間違えただけでエライことになりますね。
あの大臣、いつ辞めるんだろうとわたしはずっと思っています。
言葉はやっぱりその人を創る一部だと思うので、軽く見ると痛い目にあいますね。
Commented by fastfoward.koga at 2007-02-26 20:33
mamepanapolloさん、こんばんは。
「もう、家に帰ろう」ですか。
表紙の田辺あゆみの表情がとても印象に残っています。
藤代冥砂はおもしろいですよ。その世界に、どっぷりつかってみてください。
よかったら、感想聴かせてくださいね!
Commented by fastfoward.koga at 2007-02-26 20:39
itr-yさん、こんばんは。
温かいお言葉、ありがとうございます。
確かに京都から富士山は遠く見ることもできませんが、いい歳なんでね。
あんまり自分を甘やかしてもいけません(笑)。

今は自分のくせやパターンにはまらず、もう少し枠を広げて書いてみたいなという気はします。
でも少しくらいだと、自分でも気づかないかもしれませんが・・・。