言霊の幸わう国

◆9つの話◆   2.まつげにともる雪

 目の前を、真横に雪が通り過ぎる。
 でも思うほど寒さは感じない。
 不思議だなと、少し視線を遠くにやった。
c0047602_22261516.jpg

 飛行機から見下ろす秋田は、思っていたよりも真っ白だった。
 ずっと確認していた積雪量は、わたしが降り立つ数日前から着実に数字を増やしていた。

 秋田空港からエアポートライナーに乗り、まずは田沢湖駅へ。
 荷物をロッカーに預け、お腹をそばでふくらませて、バスで乳頭温泉郷へ。
 少し冷えた足先も、温泉ですぐに温まった。

 露天風呂にひとり。
 何度も何度も、頬に雪が当たった。
 見上げると、すぐにまつげに雪がともる。

 それがうっとおしくなって顔を下げる。
 でも、目の前の景色が見たい。
 そんなこどものようなくり返し。
 
 雪の露天風呂。
 開放的で、孤独で、静寂すぎて、思わずはしゃいでしまった。
 気をつけてください、と書かれた貼り紙を読み損ねて、濁ったお湯に足をつけるときに段差に気づかず指先をしこたま打った。
[PR]
by fastfoward.koga | 2007-03-14 21:48 | 旅行けば