言霊の幸わう国

◆9つの話◆   5.桜並木の幻影

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 角館には桜の木がたくさんある。
 武家屋敷を見て回りながら、あれも桜、これも桜、といくつも目にした。
 遠くに近くに、数え切れない桜の木。
 植物にくわしくないわたしでも、なぜか幹を見ただけで桜の木はわかってしまう。

 まだ枝には雪がしっかりとしがみついている。
 桜が花開くまでにはまだまだ時間がかかる。
 それでも、じっと枝先を遠く近く見つめていると見えたような気がした。

 白が、桜色に変わる。

 桧木内川堤の桜並木を、くるぶしあたりまで雪に埋まりながらほんの少し歩いた。
 向こうに見える川はまだまだ寒々しい。
 吹く風も強い。
 さしていた傘も気を抜いたら、あっという間に飛ばされた。
 でも、寒さは感じなかった。

 堤防を下りて、遠くから桜の木々を眺める。
 真っ白な雪景色の中、茶色い幹が力強かった。

 それを見て、わたしは励まされたのか。
 貶められたのか。
 なぜかそんなことを自問自答した。  
 
 風の強い日に桜の花びらがくるくる舞う景色を、見てみたいと思った。
 それはきっと妖しげな姿。

 カタカナで書かれた「シダレザクラ」が暗号のようだったのが、印象的だった。
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by fastfoward.koga | 2007-03-16 22:25 | 旅行けば