言霊の幸わう国

◆9つの話◆   5.桜並木の幻影

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 角館には桜の木がたくさんある。
 武家屋敷を見て回りながら、あれも桜、これも桜、といくつも目にした。
 遠くに近くに、数え切れない桜の木。
 植物にくわしくないわたしでも、なぜか幹を見ただけで桜の木はわかってしまう。

 まだ枝には雪がしっかりとしがみついている。
 桜が花開くまでにはまだまだ時間がかかる。
 それでも、じっと枝先を遠く近く見つめていると見えたような気がした。

 白が、桜色に変わる。

 桧木内川堤の桜並木を、くるぶしあたりまで雪に埋まりながらほんの少し歩いた。
 向こうに見える川はまだまだ寒々しい。
 吹く風も強い。
 さしていた傘も気を抜いたら、あっという間に飛ばされた。
 でも、寒さは感じなかった。

 堤防を下りて、遠くから桜の木々を眺める。
 真っ白な雪景色の中、茶色い幹が力強かった。

 それを見て、わたしは励まされたのか。
 貶められたのか。
 なぜかそんなことを自問自答した。  
 
 風の強い日に桜の花びらがくるくる舞う景色を、見てみたいと思った。
 それはきっと妖しげな姿。

 カタカナで書かれた「シダレザクラ」が暗号のようだったのが、印象的だった。
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by fastfoward.koga | 2007-03-16 22:25 | 旅行けば | Comments(6)
Commented by まっく at 2007-03-17 00:30 x
■雪でした あなたのあとを・・・なんとなくついて行きたかったぁぁ♪
そんな風景を思い出しますたー。
言われたときには景色が「ほっかり」包んでくれてますた。
そんなモノトーンの世界、いいよね。
歩く足跡まで 続いてる感じがするからね。
自分の足で歩いた文章が すこしだけ顔を出してるねkogaちゃん。
景色が色をほんの僅か変えて貴女を待ってってくれてたような気配すら見えてくるよ。
そこに貴方がいた・・・そんな木々達の「言霊」聞こえましたか?


Commented by Popul-marine at 2007-03-17 02:00
満開の桜に雪が積もった夜のビジョンを夢で見たことがあります。
Commented by BoneWhite at 2007-03-17 13:58
雪と桜。そんな対比がハッとします。考えた事が無かった!
桜も咲いた時だけで冬はどれが桜の木か分からないのは私です★

一人旅か…最近一人で知らない場所で食事する事が何度かあり
憧れつつ自分には無理だと思っていた一人旅が
ちょっと見えてきました。
分からないものです、(頑固な)考えも変わるもんです。
Commented by fastfoward.koga at 2007-03-18 21:17
mackさんへ
「すこしだけ」?
ちと、不服(笑)。
Commented by fastfoward.koga at 2007-03-18 21:18
populさん、こんばんは。
夢で見たのですか!
そんな夢のあとの目覚めは、どんなきもちになるのでしょうね。
Commented by fastfoward.koga at 2007-03-18 21:18
Boneさん、こんばんは。
わたしもそんな対比は初めてかもしれません。
ひとり旅も、行きたいから行ってみる、でよいのかもしれません。
行きたいほうにきもちが傾いたときには、ぜひ。