言霊の幸わう国

◆9つの話◆   6.待ちくたびれて

 角館から秋田へ向かう途中、乗っていた新幹線が止まった。
 乗車時間、6時間半。
 いつもなら1時間はかからない移動だ。

 新幹線に乗ったのは15時半ごろ。
 予定よりも少し遅れて、こまちは角館駅に到着し出発した。
 空いていた窓際のシートに腰を下ろし、暖かな車内で少し疲れを感じていた。

 前を走る新幹線の停車と、上りの新幹線の通過待ち、強風の影響で進むべき路線での運転見合わせ。
 わたしの乗ったこまちは、次の駅の大曲のホームにどっかりと腰を落ち着けてしまった。

 メールをして。
 本を読んで。
 すきな人と電話で話して。
 パンを食べて。
 隣のシートに載せた荷物に突っ伏して眠って。
 メールの返信をして。
 またすきな人と電話で話して。
 携帯の電池が切れて。
 うちに公衆電話から電話して。

 外はだんだん陽が傾き、いつしか真っ暗になっていた。
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 21時ごろにやっとあと2駅のところから秋田へとこまちが動き出したとき、それまでずっと見ていた窓の下の雪の窪みが愛しく思えた。
 なんてことのない窪み。
 でも長い間、わたしはそれを見ていた。
 それをそのまま残して、こまちは最後の力を振り絞るように走り出した。

 改札を出てホテルへ向かう途中、乗車時間を頭の中で指折り数えた。
 計6時間半。
 どうりでお腹がすくはずだと思った。

 でもどうしてだろう。 乗っているときには、時間の進みが遅いようには思わなかった。
 待たされるいつもの嫌な感じもなかった。
 自分でも思っていた以上に、その状況を楽しんでいたのかもしれない。
 が、ホテルへ着いたら忘れていた疲れがどっと出た。
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by fastfoward.koga | 2007-03-18 21:09 | 旅行けば