言霊の幸わう国

◆9つの話◆   7.風の鳴る中で眠る

 ぐったりした体を癒すために、バスタブに並々とお湯をはった。
 しばらくぼーっと浸かっていたら、少し重かった体の動きがよくなったような気がした。

 もそもそと寝支度を整えていると、ふと風の音が気になってカーテンを開けた。

 10階から見下ろす、交差点。
 信号を渡る人の姿が、小さくて飛ばされそうだった。

 分厚いガラスで分断されたこっち側とあっち側。
 真横に横切る雪はすぐそこだけれど、窓はびくともしなかった。

 もう少し眺めていたいような、もう眠りたいような。
 ちょっとの間、またぼーっとしてカーテンを閉めて、電気を消した。
 横になると、広めのベッドと低めの枕がかなり快適で心地よかった。

 たぶん、すぐに眠りについたはず。
 でも遠くで風がびゅーびゅー、ごーごーいう音が聴こえていた。
 それでも、わたしはぬくぬくと眠った。

 高い高い塔の上、妙な守られ感と満たされ感でいっぱいになっていた。
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by fastfoward.koga | 2007-03-19 22:31 | 旅行けば