言霊の幸わう国

寄り道道草遠回り

 昨日は会社の歓送迎会。
 いつものことだけれど、会社の飲み会は中途半端なアルコール摂取量と大阪から帰る邪魔くささで変な酔いのまわりかたをする。

 微妙に同じ方向になる人がおらず、店の前から地下街へ下りてゆく人たちと別れてひとり別の駅へ向かった。
 梅田の東通りから淀屋橋へ向かって歩いた。

 つもりだったのだけれど、まっすぐ南へ向かって歩いているつもりが道は少しずつ東へそれていたようで思いがけないところへ行き着いた。
 京都人はどこの道は規則正しい碁盤の目になっていると思っているから、困ったものだ。

 できるだけ知っている道は歩きたくないと、アルコールでぼんやりする頭で考えていた。
 むくんだせいで少し窮屈に感じる靴で鳴らす足音に、自分で耳をすませながら歩いていたら、無性にどこまでもどこまでも歩いていきたくなった。
 
 歩きたい衝動と帰れなくなるという抑制。
 これはいかんと、誰かに止めてもらおうと携帯電話を取り出した。
 でも、「すぐ折り返す」と電話を切られた。
 これまたいかん、ととぼとぼ歩いていたら、メールがきた。
 暗い道を歩きながら何度かメールのやりとりをして、やっと「お帰りなさいまし」と言われてほっとした。

 川を目指して歩いていたわたしは、川に辿りつく前に桜並木に行き当たった。

 たぶん、あれほど長く桜を見るのは今年最後だろう。
 もう桜を愛でる時間は、ないと思う。あれよあれよと言う間に、桜は散っているだろう。
 ライトアップされ、屋台の立ち並ぶその上を覆うように咲く桜。
 ひとりで歩いている人などおらず、人とぶつからないようにしながらときどき見上げては桜を眺めた。

 なぜか今年は、どの桜を見ても心が反応しない。
 いつもの年のように湧いてくるものがない。
 花びらの色が薄く、素っ気なく見える。

 今年のわたしの目には色眼鏡がかかっているのか。

 それでも、駅ふたつ分、遠回りした甲斐はあったなと思ったのだ。
 それくらいのことは思えた。
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by fastfoward.koga | 2007-04-07 14:04 | 一日一言