言霊の幸わう国

ア リトル

 わたしの中には、馬がいる。
 それも荒馬。
 茶色い毛並みで、足が太くてがっしりした馬。
 決して、レースで颯爽と走るような美しい馬ではない。

 その馬が、よく暴れる。
 これでもかというくらいに全身を震わせ、大声を張り上げ、体の中のごろごろした固まりを吐き出そうともがく。

 そんなわたしの中の荒馬を、わたしの中のわたしは必死で抑えようとする。
 手を替え品を替え、試行錯誤している。

 前までは最後の手段は、眠らせることだった。
 まるで麻酔銃を打ち込むように、無理やり力を奪っていた。

 でも最近は、じっとその目を覗き込むとしだいに動きが静かになる。
 嵐が過ぎ去るのを待つように、様子を窺っているとすっとじたばたさせた脚を下ろすのだ。

 最近、メールをするときに形容詞の使い方にふと手が止まることがある。
「すごく」そう思っているけれど、そう書くにはためらいがあって。
 ちょっと引き算して形容詞だけにしておこうかと考えたり。
 でも物足りない気がして、やっぱりなにか足したくなる。

 そうしばらく悩んで、結局「もう少し」とか「ちょっと」と書く。
 でも、ほんとうはそうではない。
 そう書くときほど、そうではない。

 でもそう書いたあとのわたしの中の荒馬は、ただの馬になっている。
 その目は静かで穏やかだ。
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by fastfoward.koga | 2007-04-18 22:56 | 一日一言 | Comments(2)
Commented by mackworld at 2007-04-19 02:14
■馬かぁ・・・。
一度乗馬してみたら、世界が違って見えるかもすれんだすなぁ。
まだ幼い頃、母の実家には馬がいて、のっけてもらったけど、気分よかよー馬に乗ってパカランパカランと走るって。
「生き物」の大きな背中にのっかってるのって。
Commented by fastfoward.koga at 2007-04-19 23:25
mackさん、こんばんは。
どっちかと言うと、乗りこなすより飼いならすかな。
荒馬は、じゃじゃ馬なのです。