言霊の幸わう国

深淵

 今日、初めて胃カメラを飲んだ。
 麻酔が効いてぼんやりする意識の中、何度かゴホゴホと咳払いをし、涙がつつつと3筋流れたのを記憶している。
 痛みは感じていないはずなのに、涙が出ることが不思議だった。

 検査が終わったあとは、ベッドでうとうとした。
 横になってすぐ、お医者さんがなにも異常がなかったと知らせに来てくれた。
 写真を見ながら、ハイハイと返事をしてまた横になった。
 あとで、異常なし、の言葉は夢の中のできごとのように思えた。

 はっと目覚めて、少しあわてて廊下に出た。
 まだふらふらとしていたからもう少し寝ていればよかったと思ったけれど、きっと10分も経っていないはずなのになんだかとても長い間寝てしまったような気がしたのだ。
 待合室のイスに座り、診察中のことを思い出そうとしたら、記憶の途切れ方が唐突で少し怖くなった。
 眠っていたというよりは、意識を失っていた感じ。
 その深さは、たぶん今まで辿りついたことがない。

 深いというと、わたしは土よりも水を思い出す。
 穴のような深さより、水の底へ進む深さ。

 今日辿りついたところは、濃紺の世界ではなく黒いカーテンに包まれた世界だった。
 もう1回、行ってみたいような。みたくないような。
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by fastfoward.koga | 2007-04-21 20:16 | 一日一言