言霊の幸わう国

夜の公園

 今週は、誰のどんな優しい誘いも断って、ひとりで過ごそうと決めていた。
 頑なに、頑なに。
 でもそろそろひとりは退屈だと思い始めていた。

 それでも夕飯を食べて1時間ほどは、部屋でじっとしていた。
 けれど、無性に柿の種が食べたくなって、散歩がてらコンビニへ出かけていった。
 行きは遠回りしながら、ぶらぶら明るいところを選んで歩いた。
 帰りはコンビニの袋をぶらぶら提げて、暗いところを選んで歩いた。

 今日はなぜかまだ飲んでもいないのに、どこまでもどこまでも歩いてゆきたくて仕方なかった。
 帰ることなど一切考えず、行けるところまで行ってしまいたい、そう思った。
 そう思ってしまったら、まっすぐ帰ることができなくなった。

 自分で自分のきもちを持てあまして、道すがらにある公園に足を踏み入れた。
 プラスティックでできた今どきの遊具。
 狭くて低い入口をくぐり、ステップを上がった。
 上がったときはどうしようかなんて考えていなかったけれど、上がりきったらそこに腰を下ろすしかないような気がした。

 見上げると、背の高い木のもっと向こうに月が見えた。
 遊具越しに見る月。
 狭いけれど天井のない、その珍しい空間にしばらく佇んでいた。

 手にしていた紙パックのミルクティを最後にずずずと飲み干したら、思った以上に音が響いた。
 ひっそりする公園で、少しどきりとした。

 帰りは、すべり台から下りた。
 わたしのこどものころよりも短いと見て思っていたのに、すべると意外に心地よいスピード感があった。
 コンビニの袋をベンチに置き、少し小走りでさっきと同じようにステップを上がった。
 ジーパンのおしりに、ざらざらっと砂がまとわりつく。
 でもそれも気にせず、3度すべり下りた。

 すべったあと、ぴたっと終点におしりがおさまるあの感覚。
 ささやかな快感だった。
 おかげで歩き足りないきもちも、同じようにおさまった。
 公園を出てうちへ向かう足取りは、少し軽くなっていた。
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by fastfoward.koga | 2007-04-28 22:36 | 一日一言