言霊の幸わう国

生と死

 本を探している。
 自分のためではなく、贈り物の本。
 いつも立ち寄る小さめの本屋ばかりを覗いているので、まだ見つからない。

 今日2軒目の本屋でも、その本は見つけることができなかった。
 ないものはないのだとさっぱりとあきらめて、自分用の本を物色することにした。

 数日前に訪れたばかりの本屋だったので、品揃えはほとんど変わっていない。
 手にする本はないかと思いつつ、そういう気分だったのか文庫1冊とハードカバー2冊をレジへ運んだ。

 途中、1冊の文庫本を手にした。
 タイトルを見て、ぱらぱらとページをめくり、著者の経歴を読んだ。
 出身を確かめて、探していた本だと確信した。
 でも元へ戻した。
 もう読まないのだ。
 わたしはその本を、おそらく一生読むことはないのだ。

 今までそういう巡りあいを、旬だと思っていた。
 でもそれは違っている。そんな一方的なものではない。
 本とわたしの波長。
 それが合うか合わないかが、正しいように思う。

 生かされる本。
 葬られる本。
 1冊1冊の本には、問題も責任もない。
 ただ波長が合わなかっただけ。
 それは悲しいけれど、そういう気分だったとあきらめるしかない。
 無力な本とわたしには、どうすることもできないのだ。
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by fastfoward.koga | 2007-05-24 23:11 | 一日一言