言霊の幸わう国

核心に触れず

 いつもの電車が地上に出ると、空は薄い色をしていた。
 青と桃色。
 そしてその間を取り持つ橙色。

 色合いのやさしさからか、その空を見てなにかが始まるような気がした。
 もう1日も終わり、太陽は沈んでゆくというのに。
 いったいどうしたことか。

 心に引っかかるものを見つけると、その正体が知りたくなる。
 わたしはそんな答え探しがすきなのだ。

 わたしの後ろへ後ろへと逃げようとする太陽の芯を、追った。
 首を伸ばし、左肩のもっと向こうへ視線を飛ばした。
 でも答えはビルに邪魔されて捕まえられなかった。

 芯に近づけば近づくほど、空は透明感を増した。
 そこには、ガラス玉みたいな甘さもあった。

 背の高い建物がなくなって視界が広がるころ、太陽は山の向こうへ消えていた。
 結局、答えは手にできなかった。

 首を捻る必要もなくなり、広げていた文庫本に視線を戻して思った。
 答えばかりを追わなくてもいいということか、と。
 たまにはその周りの余韻に浸れということなのかもしれない。

 そんなふうに納得させて、帰路へ着いた。

 ベスパにまたがったまま交差点で見上げた空は濃紺。
 どうして完全に陽が落ちたあとよりも、まだ少し太陽の光が残っている今のほうが空の色を濃いと感じるのだろうか。
 不思議だ。

 余韻には浸るけれど、やっぱり答えが知りたい。
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by fastfoward.koga | 2007-05-27 20:39 | 一日一言