言霊の幸わう国

パンドラの箱

 毎日話し足りない。
 話したいことや言葉が、どんどんどんどん抽斗の奥にしまわれてゆく。
 そろそろ、なにかの拍子に膨らんだ袋がぱーんと破裂しそうな気がしていた。

 話したいなら、話せばいい。
 でも、それをためらわせることがあった。

 話してしまうと、うやむやにしていたことが事実になること。
 1度口を開いたら、この世のものとは思えないくらいの汚い言葉が口をついてくるんじゃないか。
 そんなことを怖れていた。

 でも人恋しさには勝てなかった。
 ぽろぽろと話し始めたら、アルコールの酔いもあって少し気が楽になった。

 人を批判する話をした。
 したけれど、思っていたよりも静かに話は終わった。

 うちに着いてから、話を聴いてくれた友人にありがとうとメールをした。
 やっと一息つけた、そんな気になった。

 でもその夜、わたしは夢の中で、鬼気迫る表情で誰かを罵っていた。
 罵っている興奮とその自分の表情、目覚めてもそのどちらも頭にこびりついていた。
 そんな夢を見たことは夢ではないのだと、改めて思った。

 その夢は、夢で全部吐き出したからもうないよという意味なのか。
 それとも、まだ胸の中に溜めているものがあるだろうという意味なのか。
 どちらなのかは、ピンとこない。

 けれど、わたしは一晩で、ずっと閉ざし続けた箱を開けてしまったのだ。
 飛び出したのは、どろどろした思い。
 うまく表に出せなかった分だけ、その汚さは増しているかもしれない。

 願わくは、箱の中に残る最後のものが明るくて温かくて心休まるものであるように。
 強くならねば。
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by fastfoward.koga | 2007-06-18 19:34 | 一日一言