言霊の幸わう国

陸上魂

 昨日から、大阪で世界陸上が始まった。
 会場の長居陸上競技場がいつも使う地下鉄御堂筋線沿いにあるせいか、いつも以上に外国人を見かける。
 会社の前のホテルも、スポーツウエアに身を包んだ外国人がうろうろしていた。

 早朝の男子マラソンに始まり、男子400メートル障害の予選、女子10000メートルの決勝と、なんとなくテレビ観戦していた。
 マラソンのあの最後のデッドヒートや、10000メートルの駆け引き。
 そして残念ながら予選落ちした、為末大選手の走り。
 だんだん、ぐいぐいときもちが引き寄せられた。

 わたしは中学生のころ、陸上部だった。
 膝が弱かったので、たいしたことはしていない。
 それでも、テレビから伝わる競技場の、あのトラックの空気にやられてしまった。

 どんなにあのころから時間が離れても、思う。
 陸上選手の、ここ1番へのコンディションの整え方は底知れないなと。
 
 例えば、先日の高校野球の決勝戦。
 延長や再試合を乗り越えて優勝旗を手にした、佐賀北高校の野球部員には感心する。
 体力も気力も毎回万全にして試合に臨んだからこそのあの結果。
 集中力や緊張感をキープすることは、確かに容易いことではない。

 でも、でも、とわたしは思う。
 たった数秒で結果の出る競技で、それまでの成果をすべて出し切ることはなんて難しいのか、と。

 だから昨日の為末選手の走りは、残念だった。
 彼は今、どんなことを考えているのだろう。
 昨日はそんなことを考えていると、まるで自分のレースのように感じ眠れなかった。

 今、男子100メートルの朝原選手の準決勝を見ていた。
 目標にしていた決勝には、残念ながら進めなかった。
 確かに昨日の予選の走りの方が力みがないように思えたし、事実タイムもよかった。
 レース後のインタビューは、生々しくて痛々しくて直視できなかった。

 こうしてまた、わたしは今晩なにが原因だったのか、わかるはずないのに頭を悩ますのだ。
 いっちょまえのように、ずうずうしく。

 久しぶりに蘇った緊張感。
 トラックのざわつきや、落ち着きのなさ。
 ゴムの匂い、スパイクの尖った音。
 
 そういうものに後押しされて、せっかくだから、と思い始めた。
 結果ではなく、自分の肉体を駆使して一瞬に賭ける人たちの姿をこの目で見てみたい。
 なんとか、なんとか、仕事をやりくりして、競技場へわたしも走りたい。
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by fastfoward.koga | 2007-08-26 21:09 | 一日一言