言霊の幸わう国

本の虫、鳴く

 わたしはだいたい、同時進行で2冊の本を読んでいる。
 1冊は出先で読めるようにカバンの中、1冊は寝る前に読むために枕元に。

 どちらの本も、栞を挟んでいたページを広げると迷うことなく1点に視線がゆく。
 ほぼ正確に。
 重複することなく、続きを読み始めることができる。

 閉じるときに、次はここからだと念じるわけでもない。
 でも本を開いた途端に、続きの一文へすーっと吸い寄せられる。

 まるで、ページが閉じられていた時間は消し去られているかのようだ。
 いや、閉じた事実さえ、なかったことにされているのかもしれない。

 本を読んでいると、他のことをしているときと違い、時間の感覚が狂う。
 早く感じたり、遅く感じたり。

 本を読む間だけ、わたしの時間は、時計とは違う針の進み方をする。
 秋の夜長、本を広げればいつまでたっても夜明けない。
 本の虫も、楽しさのあまり思わず鳴く。
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by fastfoward.koga | 2007-09-14 23:16 | 一日一言