言霊の幸わう国

バン!

 今、部屋はきな臭い。
 偶然目にした言葉がきっかけで、静かにすばやくイスから立ち上がり、抽斗からいくつかの古い手紙を取り出して燃やした。

 初めは手紙1通、ハガキ1通、カード1通、計3通を小さくちぎっただけだった。
 でもそれでは腹の虫がおさまらず、小さな銀色のお菓子の缶を取り出して、ちぎった手紙に火をつけた。

 ちょうど、スガシカオの「黄金の月」をリピートで流していた。
 スガシカオは歌う。

  「ぼくの情熱はいまや 流したはずの涙より
  冷たくなってしまった」


 そこでわたしは合いの手を入れるように、いやいやわたしの怒りも情熱も熱いよと心の中で呟く。
 見つめる先には、青と言うよりは緑に輝く小さな炎。
 炎は赤色より青い色の方が温度が高いと聞いたことがあるけれど、緑はどうなのだろう、とかなんとか思っていた。

 小さくちぎった手紙が灰になったら、灰さえもなくなればいいとキリキリした。
 目の前の黒い残骸さえも疎ましい。
 全部消えてしまえと、灰をビニール袋に入れ口を縛り、缶をきれいに洗って、両方を洗面台のゴミ箱に入れた。

 そこまでの一連の作業を終え、階段を上るわたしは笑顔。
 ばかにこだわってんなーという思いと、よーし見てろよという思い。
 ここで、オマエモカヨ、と倒れるわけにはいかない。
 
 部屋に戻ると、怖ろしく煙たい。頭が痛くなりそうだ。
 匂い消しにと焚いたお香も、負けてしまうくらい。
 でも、わたしは負けない。
 
「バン!」とピストルで相手を一撃するように、ファブリーズをひと吹き。
 匂いが消えたら、いくつもの過去の残像ともおさらばだ。

 秋はお別れの季節(実はふられる前から、この言葉がやけに頭を巡っていた)。
 あれもこれもと、さよならするものが多いなぁ。
 愚痴も多いしなぁ。
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by fastfoward.koga | 2007-10-27 21:01 | 一日一言