言霊の幸わう国

取捨選択された言葉

 チチが昨日から入院した。
 そのせいか、昼間ハハとうちにいると心もとない感じがした。
 よくあることなのだけれど、なぜか。

 自分の部屋のクローゼットを開けながら、ふとハハに話してみようかなと思う話題がいくつか頭を過ぎった。
 でも、すぐにやっぱりやめようと決めた。
 もうどこから話していいかわからないことが、多すぎる。

 ハハとはよく話すほうだと思う(チチもだけれど)。
 20代前半は仕事の話も、当時つきあっていた彼氏とつきあって別れたことも話していた。
 それが、だんだんと話題を選ぶようになってきた。

 この話はしてもよし、これはやめておこう、これくらいならいいか。
 そんなふうに取捨選択して、だんだん話す内容が薄っぺらになっているような気もする。

 クローゼットを閉めながら、いつからそんなふうになったのか考えた。
 たぶん、親に言えない恋愛をしてからだなと回想した。

 秘密がほしいと甘えて言ったことがある。
 若気の至り。
 よくそんな恥ずかしいことが言えたもんだ。

 でも、秘密を持つことで大人になったような気がした。
 25歳を過ぎて、自分をそんなふうに初めて思った。

 歳を重ねるごとに、親に言えない秘密はどんどん増えてゆく。
 優越感と罪悪感。
 そのバランスを崩さないことが、今は大人なのかもしれないと少し思ったりする。

 飲み込む言葉、お腹に納めたままの言葉。
 ないならそのほうがいいのだろうけれどなくすことができないなら、せめて毎日ありがとうという言葉は思ったときにすぐ言うようにしている。
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by fastfoward.koga | 2007-11-06 22:13 | 一日一言