言霊の幸わう国

散歩するなり

 今日は昼から休みをもらっていた。
 なんだか得した気分でうきうきしていたら、午前中の仕事はあっという間に片付いた。
 帰り支度をするのにもスキップするかの勢いでいたら、職場で失笑を買った。

 せっかくだからと、お昼ゴハンを食べたあと、念願だった大阪城へと足を向けた。
 職場が引越ししてご近所さんになったので、晴れた日に行きたいなと思っていたのだ。

 通勤途中に、その存在をちらちらとアピールしてくる天守閣。
 歩くたびに大きく豪華になるその存在を、今日は何度もじっくり眺めながら歩いた。

 空は高く、少し歩くと汗ばむくらいのいいお天気。
 足取り軽く進むブーツの足元には、落ち葉が散らばっていた。
 踏んでその感触と音を楽しみたいわたしは、前後の人を確認して歩いた。

 横断歩道の白い部分だけを歩くこどものように、乾いていそうな落ち葉めがけて足を下ろす。
 かさかさ、こそこそ、くしゅくしゅ、さくさく。
 信号の赤で足を止めるのが、もったいなかった。
 もっともっといい感触と音を、と変なアドレナリンを密かに出して歩いていた。

 30分ほど歩いて天守閣を真下から見上げたときは、久しぶりに来たなーという感じがした。
 中に入って上りまではしなかったけれど、たまには来るもんだとひとりごちた。

 途中、お堀の中に入って迷路のような高い石垣に囲まれたところを歩いていると、大阪市の職員さんが一生懸命落ち葉を箒でかき集めていた。
 掃いても掃いても、そのすぐそばから小さな風が落ち葉を元の場所へさらってゆく。
 それでも箒を動かし続けるおじさんを、わたしは横目で見てその場を通り過ぎようとした。
 そのとき、それまでよりも大きな風がひゅっと吹いた。
 おかげでおじさんの努力は一瞬にして、落ち葉と一緒に吹き飛んだ。
 思わず小さく肩を落としたおじさんの作業着姿の背中が、申し訳ないけれど微笑ましかった。

 そんな秋の道を歩きながら、なぜかコブクロの「桜」を歌っていた。
 桜の花びら散るたびに届かぬ思いがまた一つ~、の部分を何度も口ずさんだ。

 落ち葉舞い落ちる季節に、桜。
 どうもわたしの散歩時間は半年遅れているらしい。ではなく、早いのか。
 どっちでもいいけれど、ちょうどそのくらい楽しみのある散歩をしていなかったことに今気づいた。

 歩くべし。
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by fastfoward.koga | 2007-11-15 20:44 | 一日一言