言霊の幸わう国

隣人は冬

 会社のビルを出て、カバンにしまっていたマフラーをすぐさま取り出した。
 ぐりぐりにマフラーを巻く。
 同僚とはすぐに別れ、交差点で信号が変わるのを待った。
 寒くて手持ち無沙汰で、思わず上着のポケットに手を突っ込んだ。
 でも収め具合が悪く、しばらくは入れたり出したりをくり返した。

 何度か手を出したところで、諦めて手を握りしめた。
 爪をちょうど生命線のところにはめ込むように、指を包み込む。
 掌に触れた指先が、少しかさかさして感じた。

 手を見て、そのまま下げた目線を足元に移すと、街灯に照らされた自分の影が前に伸びていた。
 薄い影。
 でも、長い。

 寂しい感じのする冬が、そばにいる気がした。

 肌寒さは心細さを連れてくるから、嫌なのだ。
 明日は、コートで出かけよう。
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by fastfoward.koga | 2007-11-18 20:57 | 一日一言