言霊の幸わう国

雨女がゆく ~一畑電鉄

 2度目のお参りを終え、わたしは一畑電鉄(通称:バタデン)の駅へ向かった。
 名残惜しさを感じつつ、電車に揺られながら、出雲よ、ありがとうと小さくつぶやいた。

 川跡駅で、松江しんじ湖温泉駅行きの電車に乗り換えた。
 車内はがらがらで、2両編成の電車には数えるほどの人しかいなかった。
 そのせいか、肌寒さがつきまとい、ひと駅ごとに開く扉をうらめしく思った。

 ガイドブックをめくり、松江の地図を頭に入れる。
 そのままぼんやりとガイドブックを開いたままで、「さんご」のことを考えていた。
 登場人物はふたり。男と女。
 ふたりをこの黄色い電車に乗せ、ほんの少し離れて座らせ、空いた車内で周りには聞こえない状況の中で、込み入った話をさせようと決めた。

 電車に揺られながら、雨に降られる宍道湖を見つめていた。
 雨はどんどん強くなっている。
 出雲の青空が嘘のようだった。

 騙された、と思ったのに、腹立たしさや悔しさはなかった。
 ただしていたのは、傘の心配だけ。
 ホテルに置いてきた傘が、何度も頭を過ぎった。
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by fastfoward.koga | 2008-02-07 22:38 | 旅行けば