言霊の幸わう国

雨女がゆく ~堀川めぐり

 松江城の近くを歩いていると、必ず目にする船。
 それが松江の堀川めぐりだ。

 松江城をぐるっと囲むお堀を、1周約50分で巡る観光船。
 途中船の屋根を下ろし、人も体を直角に曲げなければ通れないほど低い橋をいくつか通過する。
 歩いたときとはまた違う目線の高さで松江城とその周辺の町並みを見ることができ、冬にはこたつ船になるという松江の名物らしい。

 今までなら、こういうものはひとりのときは避けていた。
 グループで来ている人たちの中に、ぽつんと参加することに恥ずかしさと気詰まりさを感じていたのだ。
 でも今回は、お城や塩見縄手を巡っている間に、あっち側からこっち側を見てみたいと思い、迷わず船に乗った。

 1番最後に乗り込んだわたしは、船が動き出すと先頭になった。
 こたつがあるとは言え、顔に直撃する風は冷たかった。
 時折、みぞれが雪になり、目を細めて何度も首を動かして前を横をと流れる景色を見た。

 さっきまでわたしがいたお堀沿いを歩く人たちが、こちらを見ていた。
 その視線がうらやましそうなものに思え、そうそうこちら側はいいよ、とちょっと優越感に浸ったりした。
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 船はのんびりしたペースのようで、でもすいすいと水の流れに沿って進んだ。
 1周はあっという間だった。

 いつも見ているものも、角度や高さが違えば目に映るものはまったく別のものになる。
 どんなに寒さで身を縮めても、暑さにうなだれても、懲りずに探しにいってしまうのは、そのくらいその瞬間がすきだからだ。
 あとどのくらい、見たことのないものが世の中にはあるのだろう。
 わたしはそのうち、あといくつくらい見ることができるのだろう。
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by fastfoward.koga | 2008-02-17 20:12 | 旅行けば