言霊の幸わう国

ワンワード

 今とにかく、人の言葉に耳を傾けることに気をかけている。

 親にも言われるが、わたしの話し方は語尾を曖昧にしないせいか、時に人にプレッシャーをかけてしまう。
 威圧的なのだ。
 恐らくそれは、言葉だけでなく存在そのものの影響もあるだろうけれど。

 無言の圧力。
 そのせいで、雑談には笑顔で応じるあの人が仕事の話になると、キュッと身構える。
 一瞬にして、目の前に壁が作られる。
 きっと本人はそのつもりはないと思う。
 でもわたしは、彼女に無意識のうちに壁を作ることでなにかを守ろうと必死にさせてしまうのだ。

 こうなると、なにを言っても、わたしの言葉は壁にぶち当たるだけで彼女に届くことはない。
 それを打破したいと、帰りのバスの中でスケジュール帳のメモのページを開き、聴いてみたいこと、教えてほしいことを書き出した。
 そして最後に、わたしから伝えたいことを書いてみた。
 そこまで辿り着くのは、そう容易なことではない。
 でも、まずは始めなくてはならない。
 とにかく、聴くのだ。

 そんなことを考えながらバスに揺られていると、ふとさっきまで一緒だった友の顔が思い浮かんだ。
 話がはずんで気づくとわたしは話し役になり、友は聞き役になっていた。
 思い出すと、ひとりで話しすぎたんじゃないかといやあなきもちになった。

 考えすぎだ。
 それを考え出すと、気を許せる人と一緒にいても気も許せない。

 他の人たちは、どうやってバランスをとっているのだろう。
 バランスがうまくとれないと考えているのは、自分ひとりだけなんだろうか。
 それとも、みんな考えている当たり前のことなんだろうか。

 そこまで考えて、気づいた。
 思考の入口に、わたしは戻ってきた。
 わたしも聴いてほしいのだ。
 声が枯れて、言葉を尽くしきるまで。
 いや、ほんとうはたった一言聴きたいだけなのかもしれない。
 大丈夫、だと。
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by fastfoward.koga | 2008-03-24 22:45 | 一日一言