言霊の幸わう国

木場公園

 トーキョーには、早朝6時半。新宿のバスターミナルに着いた。
 ファーストフードや長居してもよさそうなカフェで時間を潰し、友人のうちへ行く前に東京都現代美術館へ向かった。
 岡本太郎の「明日の記憶」を見るためだ。

 ラッシュは避けたいなと思いながらも、長居したカフェにいるのも厭き席を立った。
 地下鉄を乗り継ぎ、9時少し前に美術館へ到着した。
 美術館や博物館は9時から開館されるもの。
 その思い込みで開館時間を調べずに行ったら、10時からだった。

 こういうところがトーキョーだと苦々しく思いながらも、桜の咲き始めている美術館隣の木場公園をぶらぶらと歩いた。
 トーキョーは、京都や大阪よりもひと足先に桜が咲きだしていた。
 こんなところで桜を見上げるとは、と日焼け止めを塗っていない肌を気にしながら、園内を1周した。

 30分ほど、公園の外周に沿うように歩いているとき、飛んできたボールをうまく捕らえるように、ひっかかっていた考え事の答えが見つかった。
 なんだ、そういうことか、とつい口にしてしまい、すれ違ったタクシーの運転手さんに怪しまれないかとあとで思った。

 午前中の、薄く雲がかかる空の下、見知らぬ公園で考えていたこと。
 考えながら見ていた風景。
 それはひと塊になって、胸の中のずっと下のほうに静かに沈んでゆく。

 忘れないだろう。
 考えていたことを実行して、たとえ結末が惨めで悲しいものになったとしても、忘れないだろうと思う。

 あの公園にまた行ってみたい気もする。
 けれど、次に行ってももうあのときと同じきもちになることはない。
 それはほんとうに、パズルのピースがピッタリとはまるように、少しでもずれていれば成り立たない時間だったのだ。
 久しぶりに、そんな感覚を手にした。
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by fastfoward.koga | 2008-04-01 20:25 | 一日一言