言霊の幸わう国

シンクロする

 ペースを乱す本と、乱さない本がある。

 浅はかだったわたしは、前者がおもしろい本だとずっと思っていた。
 明日朝早いのに、物語にぐいぐいと引っ張られて本を閉じられない。
 そういうことが、いい本との出会いだと思い込んでいた。

 が、しかし。
 後者の、そうではない、いい、おもしろい本があることを知った。

 半月以上かけて読んだ堀江敏幸の「河岸忘日抄」。
 毎晩眠る前に、少しずつ読んだ。
 短い日は数行。
 1番長く読んだのは、昨日の夜。253ページから317ページまで一気に読んだ。

 どこまでも淡々とした文章。
 嵐が来ても、謎が解かれても、大家さんが死んでも、そこに書かれた主人公「彼」の時間はわたしのそれと同じように流れていると感じた。
 わたしがブログに書く「永遠に世界から離れるときに持っていく八つ」のひとつ「永遠に続く小説」は、きっとこんなふうなんだろう。
 この本を開くと時間がぴったり寄り添って、なかなかなくならない栞の左側のページたちが当たり前に愛しかった。 

 何千冊もの本を読んで、やっと辿りついた。
 運命の赤い糸は、繋がっていた。という感じ。
 あらあら、縁結びの力はこんなところで発揮されちゃった。
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by fastfoward.koga | 2008-04-15 21:17 | 一日一言 | Comments(2)
Commented by tabikiti at 2008-04-16 18:42
淡々とした文章 堀江敏幸
気になりますね。
今年出会った一冊の本の9回目を読み終えようとしています。
何度読んでも新しい発見があり面白い、それとも記憶力がおちてきたのか・・・何回位読めば飽きるのかまだ先が見えない。
Commented by fastfoward.koga at 2008-04-16 19:43
太美吉さん、こんばんは。
堀江敏幸は、2年前のわたしじゃ良さはわからなかったと思います。きっと。
それよりも、太美吉さんが読み返すその本が気になります。
今度こっそり教えてくださいね。