言霊の幸わう国

朝の散歩

 毎年のことなのだけれど、4月になると電車が混む。
 そしてゴールデンウィーク明けには、混み具合も少しましになる。
 わたしが朝からの出勤の日に乗る電車は学生も多く、例年の混み具合は容易に予想できた。
 今年はそれを先読みして、今月だけはいつもより1本早い電車に乗ろうと決めた。

 起床は5時5分。
 そのあと1時間ほどで支度をし、6時24分の電車に乗れるようにベスパで駅へ向かう。
 途中1度乗換えをし、電車を降りるのが7時21分。
 そこからもう1駅地下鉄に乗るのが会社に申請している通勤ルートなのだけれど、10分強歩けば会社に着くので、どんなにどしゃぶりの雨でも地下鉄には乗らず歩いている。
 そうすると、会社には7時30分過ぎには到着してしまう。

 始業時間は8時30分。
 他はみな9時始まりなので、フロアはまだシンとしている。
 そういう職場もすきだけれど、そればかりもな、と思い、歩く距離を調節することにした。
 ひとつ先の駅まで行って歩いたり、遠回りしたり、寄り道したり。

 まだ波に乗り切れていないオフィス街をすたすた歩くのは、新鮮だ。
 決して早すぎるという時間ではない7時30分。
 通りにはすでに本調子の人と、そうでない人が入りまじっていて、どちらにも属していない顔をしてわたしはその間をすり抜けてゆく。
 まだ閉まっているシャッターの知らん顔ぶりも、ほどよい距離感があってほっとする。

 わたしは、目的がないとぶらっと出かけたりできない。
 ちょっと散歩にと思っても、目的地を決めたあと、折り返して最後のゴールが頭に描けないと歩いていても嘘くさく、そわそわしてしまうのだ。
 散歩を演じていると言えばいいだろうか。

 なので、最近の日課はちょうどいい朝の散歩だ。
 時間に余裕もあり、目的地も決まっていて、まだ歩いたことのない通りはたくさんある。
 これほどの好条件は、そうなかなかない。

 そんなことから、2駅手前から歩いてみようかと思っている、と仕事の合間に話したら、会社の子に言われた。
「疲れて、朝から仕事ができないなんてことにならないでくださいね。」

 確かに。
 目的地は会社で、目的は仕事をすることだった。
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by fastfoward.koga | 2008-04-16 23:59 | 一日一言