言霊の幸わう国

 久しぶりにともだちと飲みに行ったお店で、傘を取り違えられた。

 最後の客として出口へ向かったら、行きとは違うビニール傘を差し出された。
 お店の人は弁償しますと平謝りだったけれど、時間が経つにつれて不安になった。

 たかが傘。
 でも、じーっとできるだけきもちをフラットにして考えると、ネイルを施した爪の先が欠けてしまったように、小さいけれど気になって仕方ない。
 何度も無意識に欠けた爪をなぞるように、傘のことばかり考えていた。

 もう戻って来ないと思う。
 それだけ思い入れがあったかというと、我ながら疑問。
 でももう、あのときもこのときも差していた、あの傘を差せないかと思うと寂しいような。

 新しい傘を手に入れたとしても、たぶん違う。
 きもちの空白は別のもので埋めるんだろうな、なんて。

 急に、思い入れすぎか。
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by fastfoward.koga | 2008-05-10 23:59 | 一日一言