言霊の幸わう国

春風

 ここ数日、ずっと心細い思いがついて回っていた。
 拭っても拭えなかったのか、拭おうともしなかったのか、よくわからないけれど。
 今日は朝から最高潮にすーすーして、今にも砂地の足元がざらざらと崩れてゆきそうな感じがした。
 ぎゅーっと身が縮むような気がして、何度か迷った挙句カバンから携帯を取り出した。
 そして朝7時前の電車の中で、絶対にもう起きている人にたたたっとメールをした。
 昼までに返事がくればいいと、送信の終わった液晶画面をパタンと閉めた。
 それだけで少しきもちは落ち着いて、このあとの1日の長さに思いを馳せた。
 乗換駅に電車が滑り込み、ドアへと近づいてカバンの紐を肩に掛け直したときに、かすかに左耳に聞こえた音。
 くるりの「春風」。
 メールの着信音だ。
 携帯を取り出さずとも、メールを読まずとも、誰からでなにを書いてくれたかわかった。

 それはなんと心強かったことか。
 風は背中を確かに押してくれた。
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by fastfoward.koga | 2008-05-15 22:59 | 一日一言