言霊の幸わう国

色移りゆく

 昨日仕事から帰り、自分の部屋に入ったら、やけに机のパソコンが目に付いた。
 閉じられたノートパソコン。
 今日は開かないほうがいいなと思い、電源を入れることすらしかなった。
 その代わり、と言ってはなんだけれど、テレビを見ながら足の爪にネイルを施した。
 数10本ある中から、迷わずオレンジ色を手にした。
 いつものように右の親指の爪から塗り始めたけれど、どうもしっくりせず。
 塗り直す気にはならなかったので、そのまま10本の指を2度塗りし、最後にトップコートを重ねた。
 23時を回り、湯船に浸かりながら見た足の指はやっぱりさっきと同じで、わたしの肌の色には似合わないなと思った。
 昨年はそうでもないように、思っていたのだけれど。

 今日は休みでゆっくり眠っていいのに、なぜか6時ごろから1時間ごとに目を覚ました。
 8時過ぎにもういいかとふとんから出、牛乳1本、新聞、のいつもの順序で1時間ほどぼーっとしていた。
 出かけたい場所はいくつもあるものの、タイミングを図っているところで、お天気も下り坂だしできかける気にはならないかと、今日1日のことを考えていた。
 遅めの朝食を食べながら、再放送の「冬のソナタ」を思わず見、はっと思い出し数日前に買った切り絵の本を取り出した。
 ハハにいらない折り紙をもらい、机の上に本とはさみ、鉛筆を広げて徐に切り絵を始めた。

 まず折り紙を三角に折る。
 それだけのことが、難しかった。
 頂点を合わせて折ると、左右の角が微妙にずれるのだ。
 テキストどおりに折り、鉛筆で線を引き、はさみで線を辿って切るのだけれど、これまた同じ模様ができない。
 おかしい、おかしいとひとり言と動作をくり返すうちに、折り方もだんだんこつが掴めてきた。
 そのうち伸びた爪で紙を折り返していると、爪の方が折れないかと心配になり、定規を持ち出して使うようになった。
 こういうことをすると、ほんとうに性格というものがよく出るなといつも思う。
 
 昼過ぎか夕方近くになってから降るのかと新聞の天気予報を見て思っていたのに、雨は早々に、午前中から降り始めていた。
 白いレースカーテンの隙間からその気配を感じ、シトシトと音を鳴らす雨を認識したところで、ふーっと蘇る記憶があった。
 それはもう映像も匂いも色もなく、ただ輪郭だけが残ったような記憶だった。
 これはいったいなんだったかと記憶の抽斗を探ると、案外すぐに雨降りの夏休みの日だとわかった。
 平日で親はおらず、少し暗い部屋の中でひとり、机に恐らく宿題を広げているのだろう。
 黙々と問題を解いている、ずっと昔の自分の姿を見たような気がした。

 今週初めに、近畿は梅雨入りした。
 何枚もの折り紙を折りながら、頭の中で色をなぞった。
 季節は薄ピンクから薄黄緑、そして限りなく白に近い青に変わった。
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by fastfoward.koga | 2008-06-05 20:39 | 一日一言 | Comments(0)