言霊の幸わう国

初心忘るべからず

 数日前に、手紙を書いた。
 離れた町に住む大切な友へからの手紙の返事だ。

 封を切って、2度読んで、夕飯を食べながらなにをさしおいても今夜は返事を書こうと決めた。
 書き始めると、手にした万年筆の滑りが悪く、便箋との相性がよくなかったかと思った。
 字はだんだん乱れ始め、想像していたような、白い便箋に紺のインクがきっちりと納まる姿にはほど遠くなってしまった。
 途中で、何度もイチから書き直したくなった。
 でも、しなかった。
 届いた友の思いに同じだけのものを返そうとするなら、書き直すこともそれをきっかけにペンを置いてしまうこともしてはいけないと思ったのだ。

 そうして、書いた。
 がむしゃらに、書いた。
 最後に1度だけ読み返して、封筒に宛名を書いてすぐに封をした。
 書き記した思いが飛び出して、ためらわないように。

 その思いのまま、ポストへ青い封筒をすとんと落とした。
 恐らく、月曜に届くはず。
 友よ、ちゃんと郵便受けを見ておくれ。


 1通の手紙を書き上げたら、手紙というものについて考えることがやめられなくなった。

 旅先からの絵ハガキとも、ブログとも違う。
 たったひとりの人に向けて、便箋がある限りどこまでも書き続けられる。
 思いさえあれば、書ける。

 そんなことを考えていたら、JUDY AND MARYの「手紙をかくよ」という曲のことを思い出した。
 でもメロディも歌詞も、どうしても思い浮かばなくて、さっきうちに帰ってきてからCDの歌詞カードを引っ張り出した。
 歌詞を見たら、絡まった糸はするっと解けた。
 思わず、小さな声で口ずさんだ。

 今日も1通の手紙が届いた。
 短い文章の中に、胸をうずうずさせるたくさんのキーワードが含まれていた。

 そう、言葉とは、手紙とはこういうものだったのだ。

 手紙を書こう。


  「あなたが教えてくれた うれしい たのしい やさしい気分
  遠い空で  ああ 今 同じ気持ちでいるなら
  大きな文字で手紙をかくよ  ありがとう」

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by fastfoward.koga | 2008-06-14 20:44 | 一日一言