言霊の幸わう国

拾ったものが捨てられない

 朝から大雨、と思って長靴を履いて仕事に行ったら、バスの中で雨が上がり始めた。
 せっかく履いたのにと、会社までの道のりをゴムのぺこぺこする音をさせて歩いた。

 今日は、変なお天気だった。
 雨が止み、晴れ間がさしたかと思うと真っ黒い雲がまた空に広がり、吹き降りの雨を降らせ、また勢いをなくし、帰るころには傘なしでもいいくらいのお天気になっていた。

 土日の空いたオフィス街の道を歩くのが、すきだ。
 まだぼんやりと街全体が眠っているようで、人の少ない通りを歩いていると眠いけれど早起きした甲斐があったような気さえする。
 オフィスの中もがらんどうで、必要な場所だけつけた電気が、人の少なさをより一層際立てる。

 お手洗いにと、エレベーターホールを抜けようとしたとき、向かい側のビルの2階ほど下にある窓のそばで女の人が佇んでいるのが見えた。
 気になってしばらく見ていると、ときどき手に持っているものを口元へ運んでいるので、窓の外を見ながらぼんやり飲み物を口にしているのだなとわかった。
 わたしはそれを見ながら、しばらくぼんやりした。

 わたしのいる階は9階。
 同じような高さのビルやマンションが多いので、それほど見晴らしがいいわけではないけれど、先日いいお天気だった日の夕方、同じエレベーターホールで夕陽の残像を見た。
 太陽自体はビルに隠れ見えなかったけれど、そのとき高い場所にいれば、地上にいるよりもずっと長く、いつまでも夕陽を感じることができるのだなと思った。

 見上げる空は、どんよりと重い思い曇り空。
 地上にいるよりは、どうにかがんばれば手が届かないでもないような気がする。
 そんな近さ。

 人のいない場所は思考回路が回りやすいようで、すーすーする頭の中を、小さな日常の拾いものを見つけるところころと転がしてしまう。
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by fastfoward.koga | 2008-06-22 21:07 | 一日一言 | Comments(2)
Commented at 2008-06-23 00:46
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fastfoward.koga at 2008-06-23 22:22
鍵コメさん、こんばんは。
そう、書き続けてください。
期待しております。