言霊の幸わう国

DNA

 ハハによく、チチに似ていると言われる。
 最近のことだ。

 10代、20代のときは、表面的な性格は圧倒的にハハ似だと自覚していた。
 ムキになって意見を主張するところ、几帳面さ、人付き合いでのほどほどな要領のよさ、テキパキ加減。
 学生のころ、PTAで学校によく出入りしていたハハの立ち振る舞いを見た先生に、おまえはお母さんによく似ているな、と言われたことがあった。
 当時はうれしくはなかったけれど。

 それが歳を重ねるごとに、チチの行動に理解を示せることが多くなってきた。
 ハハはわたしとは逆で、なぜこんなことをするのか、あんなことをしたのか、と疑問に思うことが多いようだけれど、わたしがこうじゃないの? と解説するとふーんと納得したのかしないのか、曖昧な返答をする。

 わたしがチチに似ているところは。
 本をたくさん読む。
 さみしがりやのくせに、素直にそう言えないところ。
 世話焼き。
 道に迷っても、とりあえず思った方向にハンドルを切る。
 頑固で、ひねくれ者。
 色が白くて、耳が立っているところ。
 よく寝る。

 そういう、ひとつひとつにDNAを感じる。

 一方で、手先が器用なところや、辛抱強いところは残念ながら似なかった。
 チチの性格や性質の中でひとつだけ授けてもらえるなら、手先の器用さをきっと選ぶだろう。
 こどものころは、チチにはできないことはないんじゃないかと思っていたくらいで、今でもチチが職場で作ったものを見ては憧れに近いため息を洩らす。

 でもこうして書きながら、両親に似ているところと似ていないところを考え、ふと思考が立ち止まる。
 似たくないと反面教師にした性格も行動も、ふたりのそれがなければ生まれなかったことなのだ。
 結局は、どちらにしてもDNAの成すことか。
[PR]
by fastfoward.koga | 2008-06-28 21:35 | 一日一言