くるくる回る 高岡少年と高岡大仏
2008年 07月 17日
サンダーバードは15時50分に高岡に到着した。
日暮れまではまだたっぷりあると、わたしはリュックを背負い勇んで歩き出した。
が、結局はどこも16時半ごろには終い支度を始めていて、あと1時間は早く着いていなければならなかったなとすぐに反省することになった。
どうしたものかと思いながらも、とりあえず目の前にあった路面電車に乗り、3つ目くらいの駅ですぐ降りた。
駅前の観光案内所でもらった地図を片手に、まずは山町筋の土蔵造りの町並みを目指した。
資料館は間もなく閉館だったためスルーし、土蔵のしっかりした造りの旧家を眺め、そうか、これが高岡かと心の中で呟いた。
気づくと、どこも充分に見ることができないことが少しプレッシャーになり、少し足早に歩いてしまっていた。
どこかきもちが急いていて、もう仕方ないと宥めながら、次は格子造りの町並みが見られる金屋町へ向かった。
途中の道は、片側一車線のやけに広い道路だった。
でも行きかう車はまばらで、どことなく町全体の雰囲気がのんびりしたものに映った。
さっきから高校生が自転車を颯爽と漕いでは、前から後ろへと流れていった。
学校が近くにあるのかと思いながら見ていると、反対側の車線から3人の男子高校生が自転車に乗ってこちら側へと渡ってきた。
車のいない、少しカーブのかかった道路。
彼らは等間隔で同じ曲線を描いて、わたしの横を順に通り過ぎていった。
あまりのすごさに背中で笑っていると、それを知ってか知らずか、1番後ろの男の子が、今スッゲーシンクロしてた! と大きな声で言っていた。
わたしは心の中で、うん、きれいやったよーと返事をした。
日常のささやかで、かつ劇的な美しさを見た。
金屋町で折り返し、また駅の方向へと向かって歩いていると、リュックの重みがだんだん肩にのしかかってきた。
でももうすく慣れるだろうと重さに気をとられないようにしていると、橋に差し掛かった。
橋の真ん中あたりで2人ずつ2列で歩く小学生の男の子とすれ違った。
目を合わせたいような、合わせたくないような。
きもちが引っ込んで、目は合わさず行き過ごした。
でもなんだかそれももったいないような気がしていると、最後にぽつんとひとりの男の子が歩いてきた。
手には開いた黄色い傘。空は青空。
今度はためらわずじっと見ると、「こんにちは」と数歩前から言ってくれた。
わたしも「こんにちは」と、ゆっくり返した。
数10メートル進んで振り返ると、彼はまだ傘を開いたまま歩いていた。
黄色い傘が、ずっと向こうで揺れていた。
最後はに立ち寄ったのは、高岡大仏。
大仏さまの前に立ち、手を合わせるとなぜかほっとした。
漂ってくるお線香の匂いにも安心した。
こんなことは、初めだった。
大仏さまの裏に回ると、黒い顔の大仏さまがいた。
一瞬怖いと思い、慌てて目を閉じてまた手を合わせた。
怖いかと思うから怖いのだと念じてからそっと目を開くと、大仏さまが泣き顔に見えた。
駅に戻り、この町で逃したものを頭の中で整理していた。
すると待合室の小さなスクリーンに、瑞龍寺の写真が現れた。
真っ白い玉砂利に映える、古く大きな門。
逃したせいか、その絵が目に焼きついた。
日暮れまではまだたっぷりあると、わたしはリュックを背負い勇んで歩き出した。
が、結局はどこも16時半ごろには終い支度を始めていて、あと1時間は早く着いていなければならなかったなとすぐに反省することになった。
どうしたものかと思いながらも、とりあえず目の前にあった路面電車に乗り、3つ目くらいの駅ですぐ降りた。
駅前の観光案内所でもらった地図を片手に、まずは山町筋の土蔵造りの町並みを目指した。
資料館は間もなく閉館だったためスルーし、土蔵のしっかりした造りの旧家を眺め、そうか、これが高岡かと心の中で呟いた。
気づくと、どこも充分に見ることができないことが少しプレッシャーになり、少し足早に歩いてしまっていた。
どこかきもちが急いていて、もう仕方ないと宥めながら、次は格子造りの町並みが見られる金屋町へ向かった。
途中の道は、片側一車線のやけに広い道路だった。
でも行きかう車はまばらで、どことなく町全体の雰囲気がのんびりしたものに映った。
さっきから高校生が自転車を颯爽と漕いでは、前から後ろへと流れていった。
学校が近くにあるのかと思いながら見ていると、反対側の車線から3人の男子高校生が自転車に乗ってこちら側へと渡ってきた。
車のいない、少しカーブのかかった道路。
彼らは等間隔で同じ曲線を描いて、わたしの横を順に通り過ぎていった。
あまりのすごさに背中で笑っていると、それを知ってか知らずか、1番後ろの男の子が、今スッゲーシンクロしてた! と大きな声で言っていた。
わたしは心の中で、うん、きれいやったよーと返事をした。
日常のささやかで、かつ劇的な美しさを見た。
金屋町で折り返し、また駅の方向へと向かって歩いていると、リュックの重みがだんだん肩にのしかかってきた。
でももうすく慣れるだろうと重さに気をとられないようにしていると、橋に差し掛かった。
橋の真ん中あたりで2人ずつ2列で歩く小学生の男の子とすれ違った。
目を合わせたいような、合わせたくないような。
きもちが引っ込んで、目は合わさず行き過ごした。
でもなんだかそれももったいないような気がしていると、最後にぽつんとひとりの男の子が歩いてきた。
手には開いた黄色い傘。空は青空。
今度はためらわずじっと見ると、「こんにちは」と数歩前から言ってくれた。
わたしも「こんにちは」と、ゆっくり返した。
数10メートル進んで振り返ると、彼はまだ傘を開いたまま歩いていた。
黄色い傘が、ずっと向こうで揺れていた。
最後はに立ち寄ったのは、高岡大仏。
大仏さまの前に立ち、手を合わせるとなぜかほっとした。
漂ってくるお線香の匂いにも安心した。
こんなことは、初めだった。
大仏さまの裏に回ると、黒い顔の大仏さまがいた。
一瞬怖いと思い、慌てて目を閉じてまた手を合わせた。
怖いかと思うから怖いのだと念じてからそっと目を開くと、大仏さまが泣き顔に見えた。
駅に戻り、この町で逃したものを頭の中で整理していた。
すると待合室の小さなスクリーンに、瑞龍寺の写真が現れた。
真っ白い玉砂利に映える、古く大きな門。
逃したせいか、その絵が目に焼きついた。
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cool-october2007 at 2008-07-20 08:56
きれいな空ですね!
僕もデジカメを持ち歩いてますが、なかなか
こんな色は出せませんよ。
旅行楽しんできてくださいね。
僕もデジカメを持ち歩いてますが、なかなか
こんな色は出せませんよ。
旅行楽しんできてくださいね。
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fastfoward.koga at 2008-07-20 14:29
coolさん、こんにちは。
この日はほんとうにお天気がよく、基本的に傘の心配のいらない旅でした。
そう言われれば、空はきれいに晴れてました。
鎌倉もそうですが、屋外にある大仏様は晴れの下で見るといいものですね。
この日はほんとうにお天気がよく、基本的に傘の心配のいらない旅でした。
そう言われれば、空はきれいに晴れてました。
鎌倉もそうですが、屋外にある大仏様は晴れの下で見るといいものですね。
by fastfoward.koga
| 2008-07-17 20:34
| 旅行けば
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Comments(2)