言霊の幸わう国

カテゴリ:本の虫( 153 )

10月の巻

1 伊坂幸太郎  アイネクライネナハトムジーク・幻冬舎
2 いしわたり淳治
         うれしい悲鳴をあげてくれ・ちくま文庫
3 三浦しをん  まほろ駅前狂想曲・文藝春秋


 10月は並べてみると軽めのものばかりなのに、3冊しか読めませんでした。
 実はある文庫本を足かけ3か月通勤カバンに入れていて、それがブレーキになりました。
 それはまた、11月の巻で。
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by fastfoward.koga | 2014-12-21 20:45 | 本の虫 | Comments(0)

9月の巻

1 松家仁之   優雅なのかどうか、わからない・マガジンハウス
2 堀江敏幸   一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ・中央公論社 ※
3 白岩玄    未婚30・幻冬舎
4 川上弘美   古道具 中野商店・新潮社 ※


 松家仁之、恐るべし。
 タイトルといい、チョイスするテーマといい、さすが元編集者といった感じがします。

 帯には「48歳、再び独身。」とありますが、まさに一行目が「離婚をした。」から始まります。
 その彼が2度目となる独身生活を謳歌する中で、結婚生活時に恋をした女性と再会。
 そのあと、松家仁之はどんな展開を用意しているのか。
 単純な恋愛小説であるわけはありません。
 どきどきわくわくして読みました。

 その一方、白岩玄の『未婚30』は、婚約から結婚への道程に足を踏み入れた男女の「揺れ」が描かれています。
 どこまでもその揺れが微細で、心の隙間に染み入ること染み入ること。
 婚約という晴々した状況だというのに書き出しはどんよりしていて、読み進めれば進めるほど雲行きが怪しくなり、いったいどうなるのかと心配になるほどでしたが。
 これまた、うまく波に乗せられてエンディングに辿りつきました。

 どちらの作品についても、これ以上は語りません。
 わたし自身、偶然同じ月に読んだ2冊ですが、続けて読むのも結構おもしろい流れかもしれません。
 2冊とも、ぜひご一読を。
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by fastfoward.koga | 2014-10-28 21:56 | 本の虫 | Comments(0)

8月の巻

1 宮本輝    幻の光・新潮文庫 ※
2 林真理子   白蓮れんれん・集英社文庫
3 谷崎潤一郎  春琴抄・新潮文庫 ※
4 谷崎潤一郎  細雪(上)・新潮文庫 ※
5 谷崎潤一郎  細雪(中)・新潮文庫 ※
6 谷崎潤一郎  細雪(下)・新潮文庫 ※
7 北村薫    八月の六日間・角川書店

 ※印は読み返した本です。

 
 北村薫の『八月の六日間』は、書店で何度も買おうかどうしようか迷っていた1冊でした。
 迷いの要因は今の自分が読むとはまりすぎていると感じたからでしたが、夏の終わりに、小さな本屋で再会したとき、ようやく読む気になりました。
 内容は極端に要約すると、アラフォーの女性雑誌編集者があちこちの山に登る話なのですが、帯には「自分も山を歩いて無心になった気分になれる」とか「元気をもらえる」、「滋養深い」と書かれており、正直買うのにためらったのはこのコピーが引っかかっていたのだと読み終えて気づきました。
 実際自分が読み終えて、元気をもらえる感覚がわからないでもありません。でも、物語にはもっと違うものが描かれているのにな、と思わずにいられませんでした。
 わたしはこの物語を読んでいて、どっと疲れました。それは、主人公の心身の疲労感がリアルに感じられたからです。そして最後の最後にほおっと息をつき、そのあとすがすがしさがやってきました。

 帯のコピーを見て、そうか元気になれるのかと読んだ人にも、あちこちにちらばっている刺のような言葉を逃さないでほしいと思います。
 流れるように読めるだけに、流して読むにはもったいない作品なのです。


 そして8月、印象に残っているのはやはり『細雪』です。
 お盆休みの期間に数日かけて読んでいたので、夢にまでぼんやりと小説に描かれた昭和初期の阪神間の風景が出てきたほどどっぷり浸かっていました。
 三女雪子の煮えきらなさ、末っ子妙子の身勝手さにきりきりしながら、1番共感するのは二女の幸子やわあ、なんて思いつつ、これだけの長さの物語を読むのは久しぶりだったので、ほんとうに楽しみました。 

 そして、読み終えたあとにおまけがひとつ。
 今読んでいる堀江敏幸の散文に須賀敦子の名が出てきて、ふと本棚から彼女のムック本を手に取りました。
 追悼特集として河出書房出版から出ていたその本に確か堀江敏幸の文章があったなと、ペラペラめくっていたら、偶然にも須賀敦子の『細雪』の評論が掲載されていました。
 こういうご縁が、読んだあともわたしを楽しませてくれます。


 数年ぶりにどこにも旅せず移動もしなかった夏でしたが、山登りの疑似体験と昭和初期へのタイムトリップで夏は終わりを迎えました。
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by fastfoward.koga | 2014-09-06 21:58 | 本の虫 | Comments(0)

7月の巻

1 本谷有希子  自分を好きになる方法・講談社
2 青山七恵   ひとり日和・河出書房出版 ※
3 綿矢りさ   ひらいて・新潮社
4 長嶋有    夕子ちゃんの近道・新潮社 ※
5 ヘッセ・高橋健二訳
         デミアン・新潮文庫 ※


 久しぶりに読み返した長嶋有の『夕子ちゃんの近道』、おもしろかったです。
 登場人物それぞれの持ち味がじわじわっとがこみ上げてきて、寝る前に読みながら、むっちゃおもしろいなあと思っていました。
 今回は瑞枝さんという35歳の女性(作品の中では、四捨五入すると40だと本人は言っている)に肩入れして読んでいましたが、おそらくそれは瑞枝さんよりは年下の主人公を瑞枝さんを通して見守るようなきもちでいたからかもしれません。
 その証拠に、本作の一番最後に収められている書下ろしの一編、すっかり話の筋を忘れていましたが、「パリの全員」でみんなに黙って去っていたはずの主人公がみんなとパリにまで行っていて、ほっとしたのでした。
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by fastfoward.koga | 2014-08-14 19:44 | 本の虫 | Comments(0)

6月の巻

1 朝井リョウ  もういちど生まれる・幻冬舎文庫
2 林真理子   胡桃の家・新潮文庫 ※
3 朝吹真理子  流跡・新潮社 ※
4 夏目漱石   坊ちゃん・角川文庫 ※
5 村上春樹   女のいない男たち・文芸春秋


 6月に読んでおもしろかったのは、なんといっても夏目漱石の『坊ちゃん』でした。
 前回はあまり面白味を感じず、主人公の坊ちゃんにいらっとした印象だけが残っていたのですが、今回はがらりと変わりました。
 夏目漱石の書く文章の小気味よさがぴたっとはまり、滑るように読みました。

 5月に読んだ『思考のレッスン』で丸谷才一が谷崎潤一郎の文章のうまさを褒める場面がありましたが、今さらながら文豪と呼ばれる人の文章にきちんと触れられた気がしました。
 これが文芸を学んでいるときになぜできなかったのか・・・。後悔と反省でいっぱいですが、学んだからこそ気づけたのだと調子よく考えてみたり。

 この調子で、ご無沙汰している谷崎にも再び手を伸ばしてみようと思います。
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by fastfoward.koga | 2014-07-12 20:18 | 本の虫 | Comments(0)

5月の巻

1 クラフト・エヴィング商會
         テーブルの上のファーブル・筑摩書房 ※
2 湯本香樹実  岸辺の旅・文春文庫 ※
3 堀江敏幸   燃焼のための習作・講談社 ※
4 丸谷才一   思考のレッスン・文春文庫 ※

※印は、読み返した本です。


 堀江敏幸の『燃焼のための習作』を読み返すのは何度目か。枕元に置いて毎晩読み進めていましたが、今回は途中から気になる個所に付箋紙をつけていました。
 1番初めにつけた付箋紙の下には、「(前略)ひとまわりほど年下の、不思議と話が通じる友人がいて、ひと頃その友人が異国の大河の岸に繋留された船に住んでいたことがあった」という文章があるのですが、そう、この物語は今年読み返した『河岸忘日抄』と繋がっています。
 別世界で読んでいた主人公を頭のどこかに置きながら、別の時間で進んでいる物語を読むという不思議。
 と、ここまで書いて、そうだこの物語はもうひとつ別の物語とも繋がっていたのだと思い出しました。
 せっかくなので、近いうちにそれも読み返そうと思います。

 閑話休題。
 わたしが堀江敏幸の小説がすきなのは、必ずと言っていいほど登場する記憶についての記述です。
 この『燃焼のための習作』でも、こんな文章がありました。少し長いですが、引用しましょう。

「枕木(主人公)の若い友人は、かつて手紙のなかで、記憶にレ点を打つという詩人のような表現を使った。忘れていないかどうかをチェックするのでも、忘れたものを呼び覚まそうとするのでもなく、ただ目の前に現れた記憶に敬意を表し、慈しみの心をもって印をつけること。(中略)枕木は心の中でレ点を打つ。それらが消えてしまうか保存されるかはどうでもいいことだ。記憶はときに自立する。こちらがどんなに環境を整え、どんなに刺激を与えても水面に出て来ない時間の層があり、なにもしていないのに自分の方から湧き上がってくる古層の水がある。表に出てきたものがその後どうなるか、タグをつけていつでも場所が分かるようにしておけばいいのだが、それでは正しい意味での記憶にならないと枕木は考える。記憶が眠っている場所は、ひとによって大きく異なる。縦穴もあれば横穴もある。神隠しはそのどちらでも起きうるのだが、記憶はおそらく他者の縦穴や横穴ともつながった複雑な坑道ができて、はじめてその存在が特定されるようなものではあるまいか。じぶんひとりで掘り出そうと思ってもできない相談なのだ。(後略)」

 ちなみに、貼った付箋紙はそのままにしておきます。
 今度読み返したとき、付箋紙の下の文章をどんなふうに感じるのか。
 楽しみのためにとっておきます。
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by fastfoward.koga | 2014-07-12 20:06 | 本の虫 | Comments(0)

4月の巻

1 グレイス・ペイリー 村上春樹訳
        最後の瞬間のすごく大きな変化・文春文庫
2 パム・ヒューストン 鷺沢萠
        愛しのろくでなし・講談社 ※
3 小川洋子/クラフト・エヴィング商會
        注文の多い注文書・筑摩書房
4 平野啓一郎 あなたが、いなかった、あなた・新潮文庫 ※


 えー、またこれだけしか読んでないの、と思う数。
 いやいや、どれもじっくり向き合って読みました。
 目標100冊は目標とし、こだわるのは量より質です。
 今月読み返したパム・ヒューストンの『愛しのろくでなし』と平野啓一郎の『あなたが、いなかった、あなた』は、いずれも手に取るのは2度目でした。
 前回はとりあえず読み終えただけ、と言ってもいい程度しか付き合えなかったのですが、ようやく作品と仲良くなれた気がします。

 特に『あなたが、いなかった、あなた』のほうは、初読は房総半島を鉄旅しているときでしたが、どこで何を読むか、それはとても大切なことなのだと今回実感しました。
 中に収められている「フェカンにて」は、主人公の作家がフランスのフェカンという街を旅する話です。
 それを、女ひとりでリュックを背負って旅をしている途中に(しかもローカル鉄旅で)読んでも、残念ながらフィットするわけもなく。
 こういう作品は、日常に根をはった状況で読むからこそ、描かれる情景が溢れ出るのだと思いました。

 わたしの読書歴もなかなかなものだと思いますが、ここでまた読書の方法について学ぶとは。
 読書って、ほんとうに奥が深いです。
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by fastfoward.koga | 2014-05-11 20:27 | 本の虫 | Comments(0)

3月の巻

1 有島武郎   小さき者へ・生まれ出づる悩み・新潮文庫
2 堀江敏幸   河岸忘日抄・新潮社 ※ 
3 西加奈子   円卓・文藝春秋


 え、こんだけしか読んでないの、と思いました。
 3冊ですよ、3冊。
 でも、久しぶりに読み返した堀江敏幸の『河岸忘日抄』、よかったです。
 本棚で背表紙を何度も眺めながら、そのタイミングがいつくるのかと思っていました。
 読み返したいきもちはずっとありましたが、今ではないと手に取らずにいたのです。

 前回読んだより、作品の深みに入り込んでゆけた気がします。
 行間の、いや白紙部分にある小説の世界が見えました。
 毎晩、日数をかけて読み進めましたが、振り返ると幸せな時間でした。
 願い叶ったり。
 読書の醍醐味です。 
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by fastfoward.koga | 2014-04-05 20:19 | 本の虫 | Comments(0)

更新情報 15 (図書室)

 久しぶりに更新しました、コガ図書室
 蔵書は、1,098冊となりました。
 さあ、まだまだ読みますよ。増やしますよ。
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by fastfoward.koga | 2014-03-11 21:03 | 本の虫 | Comments(0)

2月の巻

1 スコット・フィッツジェラルド 村上春樹訳
           グレート・ギャッツビー・中央公論社 ※
2 遠藤周作   女の一生 一部・キクの場合・新潮文庫 ※
3 長嶋有     泣かない女はいない・河出書房新社 ※
4 酒井順子   ユーミンの罪・講談社現代新書
5 伊坂幸太郎  ラッシュライフ・新潮文庫 ※


 アカデミー賞前で、やたらとレオナルド・ディカプリオを目にしていたので、ふと思い出して「グレート・ギャッツビー」を手に取りました。
 前回はあまり記憶に残らなかった物語も、2度目となるとエピソードのひとつひとつがなめらかに頭に入りました。
 これきっかけで、映画を見るつもりです。

 そして酒井順子の「ユーミンの罪」。
 わたしはユーミンはどんぴしゃの世代ではありませんが、書評を読んだり、「日本の恋と、ユーミンと」も聴いていたので、おもしろがりながら読みました。
 わたしからするとユーミンの歌う世界は、ひと世代上の人たちのもので、ある種バブルの象徴的な感じがありました。
 読んでいる間に、バブル臭のようなものを感じ始めたころから、アルバムが発売されても聴かなくなったということを思い出しました。
 疑問に思うのが、この、わたしが感じたことすらもひと世代下の人たちには理解できるのか、共有できる感情なのか。そういえば、わたしより下の世代の人たちはユーミンをどんなふうに聴いていたか。
 そんなことを考えながら、読んでいました。
 
 と、読書と映画や音楽をリンクさせながら読んだひと月でした。

 いやしかし、ペースはかなり遅いですね。
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by fastfoward.koga | 2014-03-09 21:28 | 本の虫 | Comments(0)