言霊の幸わう国

カテゴリ:本の虫( 153 )

更新情報 14 (図書室)

 久しぶりに更新しました、「コガ図書室」
 ちょびちょび登録していましたが、あれよあれよという間に、蔵書は1065冊です。

 先日実家に帰ったとき、少し本を整理(処分)しようかなと思ったのですが、背表紙を眺めていると、その本を選んだときのこと、読んで感じたこと、読んでいるときに起こった出来事、読み終わったあとまた読み直したことなどが額のあたりを駆け巡りました。

 また、いつか。
 いつかね。
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by fastfoward.koga | 2013-04-08 22:46 | 本の虫 | Comments(0)

3月の巻

1  万城目学   かのこちゃんとマドレーヌ夫人・角川文庫
2  本谷有希子  生きてるだけで、愛・新潮文庫 ※
3  宮部みゆき  名もなき毒・幻冬舎 ※  
4  石持浅海   Rのつく月にはきをつけよう・祥伝社 ※
5  向田邦子   夜中の薔薇・文春文庫 ※ 
6  山崎ナオコーラ
            カツラ美容室別室・河出書房新社 ※
7  綿矢りさ    憤死・河出書房新書  
8  朝井リョウ   何者・新潮社 
9  夏目漱石   夢十夜・岩波文庫 ※  
10 内田百閒   百鬼園随筆・新潮文庫

※印は、読み返した本です。


 3月は、1・2月の若干の遅れを取り戻しました。
 いったいいつ読んでいたかというと、ぎっくり腰で会社を休んだり、養生のためにともだちとの約束をキャンセルしてもらった時間ででした。
 寝返りをうてないときも、うてるようになっても、横になって本を開いて文字を追ってしばらくすると指をはさんで目を閉じて、それをくり返していました。
 ぎっくり腰というあほらしさに鬱々とするきもちを感じながらも、開き直って本を読み始めると、それはそれはありがたい時間となりました。

 10冊読んだ中で読みがいがあったのは、直木賞を受賞した朝井リョウの『何者』です。
 物語には、就職活動中の大学生たちが登場します。
 今の「シューカツ」というものを少なからずメディアを通して知っているつもりでいましたが、描かれる見に迫る切実さには心のどこかで息を止めて読む自分がいました。

 あのときシューカツから逃げていなければ。
 いやというよりは、シューカツに向き合えない自分から逃げていなければ。
 どうなっていただろう。
 そんな思いが、数度頭を過ぎったのです。

 朝井リョウの文章は、読みやすいです。
 本人は会話は今の話し言葉を意識しているとどこかのインタビューで話していましたが、特に違和感はありません。
 ささくれのない文章です。
 なにか近しいものを感じながら読んでいたら、ひょんなところで彼が堀江敏幸氏のゼミ出身だということを知りました。
 その事実は、わたしにとって太鼓判。
 朝井リョウは、継続的に読んでいこうと決めました。

 そして今月もうひとつある師弟関係。
 夏目漱石と内田百閒。
 こちらふたりの作品は、偶然並行して読んでいました。
 かたや、現代小説ばかり読んでいたのでちょっとここらでと手に取った『夢十夜』と、整骨院通いの途中で買った『百鬼園随想』。
 後者は、養生する間に読むにはユーモラスでいいかなと選びましたが、読みながら何度も小さく笑いが洩れました。
 さすが百閒先生。今会いたい人、ナンバーワンです。 
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by fastfoward.koga | 2013-04-08 22:00 | 本の虫 | Comments(0)

2月の巻

1 津村記久子 カソウスキの行方・講談社文庫 
2 藤谷治    船に乗れ! Ⅰ合奏と協奏・ジャイブ 
3 ジョアン・ハリス・那波かおり訳
           ショコラ・角川文庫 ※ 
4 角田光代   空中庭園・文春文庫 ※ 
5 石井睦美   キャベツ・講談社文庫
6 藤谷治     船に乗れ! Ⅱ独奏・ジャイブ
7 クラフト・エヴィング商會
           ないもの、あります・ちくま文庫 
8 藤谷治    船に乗れ! Ⅲ合奏協奏曲・ジャイブ


 小説には、読み始めから鍵穴に鍵がはまるように物語に入りこめるものと、そうでないものがあります。
 2月に読んだ3冊『船に乗れ!』は、後者にあたる作品でした。
 この3冊、実は手にしていたのは2年近く前。
 2010年の本屋大賞にノミネートされ、しばらく経ったあと友人から借りたものでした。
 借りたといっても、返してくれなくていいからねという友人の言葉に甘え、本棚に置きっぱなしにしていましたが、100読を目標に掲げた今年、お財布事情が厳しいときにふと思い出してやっとページを開きました。

 借りたの単行本だったため通勤に持ち歩くには重く、寝る前に読んでいましたが、なかなか読み進められませんでした。
 それは睡眠不足の毎日だったというだけではなく、著者へのイメージがそうさせていたのだと思います。
 さかのぼること数年前、わたしは著者藤谷治のデビュー作を買って読んだことがありましたが、その作品と相性が悪く、それはこれまで出会った作品の中で今でも1番と言えるものでした。
 そのせいで、本屋大賞7位というブランド的なものにひかれ借りたものの、読む気にはなかなかなれなかったのです。

 案の定、読み始めはしっくりこない文章に手こずりました。
 けれど主人公と主人公を取り巻く世界が描かれたところで、やっとひと山越えた感じがしました。
 なんせ3部作の物語なのです。物語の世界の大枠が数ページでできあがるわけがありません。
 起承転結の「起」から「承」に移るまでは、じっと我慢だと内心思っていました。
 そうして読み終えた1部(1冊)以降はつっかえることなく、最後は睡眠時間を削ってまで読みました。

 物語はチェリストの高校生の男の子が主人公で、彼の高校3年間を描いています。
 舞台は、決して一流とは言えない音楽科の高校です。
 わたしはどの登場人物にも感情移入できず途中もどかしい思いもしましたが、努力しても届かない世界があるという事実を描く物語に最後は胸が詰まりました。
 主人公にふりかかった、そして自ら招いた出来事との数々とその結末に、正直厳しさを感じました。
 けれどそれこそが本屋大賞にノミネートされた理由なんだなと、最後に理解できたのでした。
 
 3部作を読み終えて作品、著者に対して思うことは多々ありますが、手応えを感じられた読書体験となりました。 
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by fastfoward.koga | 2013-03-10 17:30 | 本の虫 | Comments(0)

1月の巻

1 宮部みゆき  誰か・実業之日本社 ※
2 湊かなえ   夜行観覧車・双葉文庫
3 安東みきえ  頭のうちどころが悪かった熊の話・理論社 ※
4 山崎ナオコーラ
           この世は二人組ではできあがらない・新潮文庫
5 川上未映子  ヘヴン・講談社文庫
6 重松清     とんび・角川文庫
7 島本理生   真綿荘の住人たち・文春文庫


 目標8~9冊をいきなりクリアできませんでしたが、気負うことなく読んだ7冊です。
 出だしは良好、でよいでしょう。

 先月は、1月から始まるドラマの原作を2冊読みました。
 湊かなえの『夜行観覧車』と重松清の『とんび』です。
『夜行観覧車』はさすが湊かなえというスピード感で読ませる作品でしたが、ドラマのほうは配役を見て首をひねり、1話目だけで見るのをやめました。
 ただのドラマになっちゃったなあ、というのがわたしの感想です。
 彼女の作品は多々映像化されていますが、これはいただけないと思ってしまいました。

 一方の『とんび』ですが、こちらはすでにNHKでドラマ化されているものを見ていました。
 そちらの配役もストーリーもかなり印象深かったので、今やっているTBSとはどうしても比較してしまうのですが、ふと、その前に原作はどんなふうにヤスとアキラの親子を、そのふたりを取り巻く人たちを描いていたのか気になり、やっと手に取りました。

 読んでみると、NHKのドラマにあった印象的だったエピソードがオリジナルだったり、人物設定が少し違っていました。
 TBSのほうも息子アキラの大人になってからの場面はオリジナルですが、佐藤健が原作で描かれていたアキラが大きくなった姿をふわっと想像させてくれます。

 長い長い物語を限られた時間に凝縮するのだから、取捨選択はもちろんあることです。
 でも視聴者ではなく読者としての立場から言わせてもらうと、残しておいてほしいエピソード、場面、言葉が削られてしまうことはやはり残念です。
 それは往々にしてあることですが、今まで原作をうまく映像化したなとわたしが思う作品がふたつあります。
 田辺聖子の『ジョゼと虎と魚たち』と、伊坂幸太郎の『重力ピエロ』です。
 このふたつは、とにかく構成や脚本がうまいなあと思いました。

 願わくば、『とんび』もそうなってほしいものです。
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by fastfoward.koga | 2013-02-03 21:57 | 本の虫 | Comments(0)

12月の巻

1 吉田篤弘   空ばかり見ていた・文春文庫 ※
2 伊坂幸太郎  SOSの猿・中公文庫
3 伊坂幸太郎  夜の国のクーパー・東京創元社
4 三浦しをん  まほろ駅前番外地・文春文庫
5 鳥原隆志   たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく・中経出版
6 伊坂幸太郎  マリアビートル・角川書店
 ※印は、読み返した本です。


 11月終盤から、伊坂幸太郎の『SOSの猿』と『夜の国のクーパー』を読んでいました。
『SOS』は通勤で、『夜の国』は寝る前にと読み分けていましたが、これがまたなかなかページを捲る手が止まってしまい。
 伊坂作品には珍しく、遅々として読んでいました。
 しかしながら、読むのが遅いからおもしろくなかったわけではありません。
 物語に描かれた言葉の中から、その下に沈む「現実」はなんなのか。
 それを考えていたら、文字から視線が何度もそれました。
 この2作品は、時を改めて読み返すほうがよさそうです。

 そして最後に、これぞという伊坂ワールドを求めて読んだのが『マリアビートル』。
 こちらは読み出したら坂道を下るようにスピードに乗ったので、年末の休みに3時間ほどで読了。

 こうして2012年の読書は、計63冊で終了しました。
 2013年は、久々に100冊を目指します!
 1ヶ月、8~9冊ペース。
 まず今月、楽しみながら読んでクリアしましょう。
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by fastfoward.koga | 2013-01-04 22:41 | 本の虫 | Comments(2)

11月の巻

1 山田詠美   マグネット・幻冬舎文庫 ※


 1ヶ月に1冊しか読み終えていないとは、我ながら驚きです。
 なぜ1冊しか読み終えていないかは、12月の巻で。
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by fastfoward.koga | 2013-01-04 22:17 | 本の虫 | Comments(0)

10月の巻

1 堀江敏幸   雪沼とその周辺・新潮文庫 ※
2 松家仁之   火山のふもとで・新潮社    
3 堀江敏幸   いつか王子駅で・新潮文庫 ※
4 安東みきえ  天のシーソー・ポプラ文庫ピュアフル
5 西川美和   きのうの神さま・ポプラ文庫
6 村上春樹   象の消滅・新潮社 ※

※印は、読み返した本です。


 パソコンの買い替えなどをしていたので、ひと月遅れで書いております。

 2か月前の読書記録がなんだかとても遠くに感じますが、リストを並べてみて思ったのは、なかなかいいチョイスだなということ。
 この時期は、別で記事を書いた松家仁之の『火山のふもとで』を皮切りに、質の高い小説が読みたいと思っていた時期でした。

 わたしの中では堀江敏行の文章はテッパンですが、それ以外だと安東みきえの『天のシーソー』は読後じんわりとするものがありました。
 物語は、ミオとヒナコという幼い姉妹ふたりを中心に進みます。
 小学生のころ、中学生のころ、感じたなあという思いが綴られているのですが、特に「毛ガニ」という作品がわたしはすきです。
 読み終わったあと、電車の中でふうっと息を吐きました。
 懐かしい思いが、体の中にある重いものを浄化してくれているような気がしました。 
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by fastfoward.koga | 2012-12-24 18:38 | 本の虫 | Comments(2)

9月の巻

1 山田詠美   山田詠美対談集 メンアットワーク・幻冬舎文庫 ※
2 宮部みゆき  模倣犯(上)・小学館 ※
3 宮本輝    青が散る・文春文庫 ※                          
4 宮部みゆき  模倣犯(下)・小学館 ※
5 向田邦子   思い出トランプ・新潮文庫 ※ 
※印は、読み返した本です。

 
 8月に読んだ宮部みゆきの『楽園』に登場する女性を追いかけ、発売当初に読んで以来、久しぶりに『模倣犯』を読み直しました。
 実家に置いてきていたので取りに帰ったものの、あまりの分厚さと文章量に(しかも上下巻ある)気後れしましたが、文庫だとたいがいな厚さがある上にこちらは5巻になるため、持ち歩くのはあきらめて文芸書をうちでずっと読んでいました。
 引越し後の寂しさのせいもあったものの、物語は救われない思いが多すぎて、夜寝る前に読んだあとは夢にまで出てくるほど重苦しかったです。
 それでも読み始めたらやめることはできず、一縷の希望を求め、最後は休みを1日つぶして読みきりました。
 世の中にこんな悲しい小説が必要あるのかと何度も自問自答していましたが、美しいものだけを残すのが小説ではないのだと思いました。

 この小説を、次に読み返すのはいつごろか。
 そのときどんなことを感じて読むのか、できれば違うものを感じられるようになっていたいと、なぜか切に思います。
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by fastfoward.koga | 2012-10-13 20:35 | 本の虫 | Comments(0)

8月の巻

1 宮本輝    オレンジの壷(下)・講談社文庫 ※                   
2 宮本輝    にぎやかな天地(上)・講談社文庫
3 宮本輝    にぎやかな天地(下)・講談社文庫
4 湯本香樹美  岸辺の旅・文春文庫
5 綿谷りさ   勝手にふるえてろ・文春文庫
6 宮部みゆき  楽園(上)・文春文庫
7 宮部みゆき  楽園(上)・文春文庫
8 小路幸也   マイ・ブルー・ヘブン 東京バンドワゴン・集英社文庫


 こんなにも小説を読んだのは、いつぶりか。
 8月はただただ、物語を紡ぎだす言葉を追いかけました。

 7月から始まった宮本輝ブーム。
『オレンジの壷』を読み返すことから始めましたが、ここは読んでいないものを! と勇んで書店へ行き、迷った挙句手に取ったのは『にぎやかな天地』でした。
 読み始めてから、きもちよく文章が体に入ってゆくのが爽快でした。
 物語の舞台は京都と西宮の甲陽園周辺ですが、馴染みがあるということを差し引いても、読んでいる自分が物語の中にいるという感覚にわくわくしました。
「自分が物語の中にいる」という表現はよく使われるものではありますが、わたしが感じたのは、自分が物語の登場人物になったようであるというのとは違い、物語が繰り広がる世界にぴたりとくっついている、という感覚でした。
 続きが気になって、引越し作業の手を止め一気に読んだ下巻。
 読み終えたのは午後でしたが、ごろりと横になっていたわたしは最後のページに指を挟んだまま、うとうとしました。
 クーラーの設定温度を高めにしていたせいもあり、無意識に汗をぬぐいながら、頭の中でうごめくビジョンが夢か現実か判別がつかめませんでした。
 けれどぼんやりした頭で、あぁ今自分は物語の世界にほんとうに入り込んだのだと思い、それを言語化したときに、眠っているはずの自分の胸の中から湧き上がってくる不思議な感情に、意識は最後のとどめで押し流されてゆきました。

 長らく本を読んでいますが、こういう体験はまれです。
 小難しいことなど考えず、ただ物語に身を浸す。
 それはまさに至福です。

 最後に、宮本輝の関西弁は最高です。
 関西弁で小説を書く作家は他にもいますが、わたしは彼の関西弁が1番しっくりきます。
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by fastfoward.koga | 2012-09-30 21:50 | 本の虫 | Comments(0)

7月の巻

1 村上春樹   世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上)・新潮社文庫 ※
2 谷川俊太郎  ひとり暮らし・新潮文庫
3 村上春樹   カンガルー日和・講談社文庫 ※
4 三浦しをん  舟を編む・光文社
5 吉田修一   日曜日たち・講談社文庫 ※
6 宮本輝    オレンジの壷(上)・講談社文庫 ※
 ※印は、読み返した本です。


 すっかり忘れていました「本の虫」。
 明日から10月だというのに。

 7月は、憑き物が落ちたように「小説」が読みたいと書店と自分の本棚の背表紙を見つ出した月でした。

 なにを切望していたのか、最近のわたしの脳は老化が始まっており数ヶ月たつと思い出すこともできませんが、とにかく「小説」が読みたくて仕方ありませんでした。
 ただの小説ではない、カッコつきの小説。
 ミステリーのように謎が解けるわけでなければ、読みながら大団円が待ち受けていることがわかるようなものではない物語。
 そこで、なぜか急に思い出して実家の本棚から探し出した宮本輝の『オレンジの壷』。
 久しぶりに、通勤電車の中で本が閉じられなくなるぐらい、夢中で読みました。
 そしてここから宮本輝がマイブームになり彼の作品をいくつか読んでいますが、その話は次の「8月の巻」に移すことにしましょう。

 余談ですが、『オレンジの壷』は、確か前回読んだのは南九州を旅していた列車の中でした。
 車窓の景色を気にしながら、これってどんなエンディングだったんだっけ、とそんなことを考えていました。
 いつか同じ本を持って、同じところを旅してみたいと思います。
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by fastfoward.koga | 2012-09-30 21:24 | 本の虫 | Comments(0)