言霊の幸わう国

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「週末は甲府にいます」  ~石段上って身延山

 すっかりご無沙汰してしまいましたが、前回はこちらまで書いてました。 → ★★★


 バスを降りて、宿からのお迎えの車に乗り換えるころは気にならなかった雨も、宿の露天風呂に入ると頭の上に落ちてくる雫が気になった。
 明日の天気はいかがなものかと気にしながらも、夕飯を食べてまた温泉に入って、敷いてもらったおふとんにごろんとすると、わたしはすぐに睡魔が。
 旅前はなにかとばたばたしていて睡眠時間も充分とれていなかったので、この日はぷつんと糸が切れたように22時半ごろ寝てしまった。
 旅先の早寝。
 これもまた、いいものなのだ。

 翌朝、K嬢に何時まで起きていたのかと聞いてみると、結局ワールドカップの試合(確かアルゼンチン対ドイツだったか・・・)を最後までひとりで見ていたと言う。
 夕飯後1番先に眠いと言っていたのに、試合が気になったた模様。
 3人の中で1番の宵っ張りのY嬢も初めは一緒に見ていたけれど、確かにわたしが途中暑くて目が覚めたときに隣でコテンとなっていた姿を見たような。
 共に旅をするのももう何度目、という間柄なので、こういうところは自由なのだ。


 朝ごはんをさくさくっと食べたわたしたちは、荷支度を済ませると送迎バスで再び甲府駅に。
 前日の夜にどうしましょうかと相談した結果、最終日は、行きと同じ身延線に乗り、身延駅で下車して身延山久遠寺をお参りして帰ることにした。

 身延駅からはバスに乗り、終点の身延山で下車。
 そばで軽く腹ごしらえをしてからは、三門をくぐっていざ287段の菩提梯(ぼだいてい)。
 真下から見るとてっぺんが見えない、この急勾配の石段は、結構な大仕事だった。
 でもなぜか、こういう石段を見ると、やってやろうじゃないかとむらむらやる気が起きる。
 そして上りきったら、誰に向って言っているのか自分でもわからないまま、上ったでーと心の中で叫ぶ。
 わたしは、そういうことがすきなのだ。

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 それでもここは、途中石段を数えるこどもたちに抜かされたり、滝のような汗をかいたり、休み休みでないと上れなかった。
 けれど休みすぎるときもちが萎えそうで、息が落ち着いてしまう前に、こういうときこそマイペースを貫かねばとわたしはひとりどんどん上った。
 時折振り返ると、K嬢とY嬢ふたりが下のほうで休んでいる姿が見えた。
 
 果たしてどのくらいの時間がかかったのか。
 石段のてっぺんで、ひと息つくまで過ごした時間は結構あったと思う。
 高い分だけ太陽も近いけれど、空気はさわやかで、風が少し吹いても思わず顔を風上に向けた。
 こういうときはいつまでもこうしていたいなあと、少し思うのだけれど、そうしていられないせっかちな自分を知りながらも、その短いひとときが欲しくて坂や石段をわたしは上るのかもしれない。

 まずは本堂に入り、お参り。
 中でゆっくりしたいなと一旦正座をしたけれど、目指すはまだ上。
 靴を履いて、宝物館の裏手から身延山ロープウェイに乗って、山頂の奥の院に向った。

 空に雲がかかっているから期待してはいけないと思っていたけれど、案の定山頂から富士山を望むことはできなかった。
 梅雨時に来たのだからと自分を慰めるものの、雲の向こう側に頭の中にどこかで見た富士山の映像を浮かべていた。
 いつかどこかで、びっくりするような美しい富士山の姿を目にすることができたらいいなと思う。

 奥の院をお参りしたあとは、おみくじを引こう! と3人で運試し。
 いつものように、いっせいのーでーと抽斗から取り出したおみくじを引っくり返す。
 3人の真ん中で表を向けられたおみくじのふたつは、凶。
 手にしていたのは、K嬢とわたし。
 なんとなくそんな気もしてんけど、と口にはしたけれど、実際に引いてしまうときもちは沈む。
 でも、なんとなくしたそんな気というものが、やっぱり正しいような気もしていた。

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 来た道を戻り最後に三門をくぐって振り返ると、空はさっきよりもずっと青かった。
 ごつごつした石の参道も、もちろん石段も、山頂の道もみな決して歩きやすいところではなかったけれど、この時期に来るべくして来たというきもちは自分の中に生まれていた。
 いつかこういうきもちが、どこかへ繋がる。
 あのときのあれだ、と思う。
 そのための今なら、惜しみなく歩かねば。

 と、がんばったあとは自分にご褒美。
 帰りの特急から、三人三様。
 すきなビールを片手に、家路へと着いた。
  
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 おしまい。
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by fastfoward.koga | 2010-08-09 22:18 | 旅行けば

海あり山あり 日本列島輪切りの旅

★7月23日(金)
 19:36 京都深草発 ⇒(高速バス)⇒ 22:10 福井駅東口着   -(車内で夕飯)-

★7月24日(土)
 9:08 福井駅発 ⇒(越美北線)⇒ 10:46 九頭竜駅着 
 10:58 九頭竜駅発 ⇒(越美北線)⇒ 12:22 福井駅着   -(昼食)-
 12:46 福井駅発 ⇒(北陸本線)⇒ 15:40 富山駅着
 15:44 富山駅発 ⇒(北陸本線)⇒ 16:14 魚津駅着   -魚津散策(夕食) -

★7月25日(日)
 7:19 魚津駅発 ⇒(北陸本線)⇒ 9:37 直江津駅着   -直江津散策-
 10:51 直江津駅発 ⇒(信越本線) ⇒ 11:35 柏崎駅着   -柏崎散策(昼食)-
 15:22 柏崎駅発 ⇒(越後線) ⇒ 16:32 吉田駅
 16:35 吉田駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 16:47 燕三条駅着   -ホテルチェックイン-
 19:26 燕三条駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 19:39 吉田駅着
 19:59 吉田駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 20:06 弥彦駅着   -弥彦散策(弥彦灯籠まつり)-
 22:26 弥彦駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 22:50 燕三条駅着 ※臨時列車

★7月26日(月)
 7:56 燕三条駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 8:05 東三条駅着
 8:16 東三条駅発 ⇒(信越本線)⇒ 9:05 新潟駅着(遅延)
 9:21 新潟駅発 ⇒(越後線)⇒ 10:14 吉田駅着
 10:20 吉田駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 10:28 弥彦駅着   -弥彦散策(昼食)-
 13:21 弥彦駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 13:34 吉田駅着
 13:34 吉田駅発 ⇒(弥彦線)⇒ 13:52 東三条駅着
 13:56 東三条駅発 ⇒(信越本線)⇒ 14:23 長岡駅着
 14:31 長岡駅発 ⇒(上越線)⇒ 14:48 越後川口駅着
 15:56 越後川口駅発 ⇒(飯山線)⇒ 16:23 十日町駅着   -十日町散策(夕飯)-

★7月27日(火)
 -十日町・松代周辺(「大地の芸術祭の里」)散策(昼食)-
 16:14 十日町駅発 ⇒(飯山線)⇒ 19:08 長野駅着   -(夕飯)-

★7月28日(水)
 8:12 長野駅発 ⇒(信越本線)⇒ 8:55 妙高高原駅着   -笹ヶ峰周辺トレッキング-
 16:40 妙高高原駅発 ⇒(信越本線)⇒ 17:20 長野駅着   -(夕飯)-
 
★7月29日(木)
 -長野市(善光寺)散策-
 8:56 長野駅発 ⇒(長野電鉄・長野線)⇒ 9:15 須坂駅着
 9:19 須坂駅発 ⇒(長野電鉄・長野線)⇒ 9:48 湯田中駅着   -湯田中散策-
 11:07 湯田中駅発 ⇒(長野電鉄・長野線)⇒ 11:43 小布施駅着   -小布施散策(昼食)-
 14:04 小布施駅発 ⇒(長野電鉄・長野線)⇒ 14:12 須坂駅着
 14:28 須坂駅発 ⇒(長野電鉄・屋代駅)⇒ 15:05 屋代駅着
 15:30 屋代駅発 ⇒(しなの鉄道)⇒ 15:36 戸倉駅着
 15:38 戸倉駅発 ⇒(しなの鉄道)⇒ 15:53 上田駅着  -(夕飯)-

★7月30日(金)
 8:19 上田駅発 ⇒(上田バス)⇒ 9:00 別所温泉着   -別所温泉散策-
 10:50 別所温泉発 ⇒(上田バス)⇒ 11:05 無言館着   -無言館見学-
 11:37 無言館発 ⇒(上田バス)⇒ 11:56 別所温泉着
 12:29 別所温泉駅発 ⇒(上田電鉄・別所線)⇒ 12:59 上田駅着
 13:17 上田駅発 ⇒(しなの鉄道)⇒ 13:35 小諸駅着   -小諸散策(昼食)-
 15:14 小諸駅発 ⇒(小海線)⇒17:29 小淵沢駅着
 17:33 小淵沢駅発 ⇒(中央本線)⇒ 18:12 岡谷駅着   -(夕飯)-

★7月31日(土)
 8:42 岡谷駅発 ⇒(中央本線)⇒ 8:47 下諏訪駅着   -下諏訪散策-
 9:28 下諏訪駅発 ⇒(中央本線→飯田線)⇒ 11:53 元善光寺駅着   -元善光寺散策-
 13:17 元善光寺駅発 ⇒(飯田線)⇒ 13:27 飯田駅着   -飯田散策(昼食)-
 14:41 飯田駅発 ⇒(飯田線)⇒ 18:13 豊橋駅着
 18:27 豊橋駅発 ⇒(飯田線)⇒ 18:46 豊川駅着   -豊川散策(夕飯)-

★8月1日(日)
 -豊川散策-
 9:38 豊川稲荷発 ⇒(名鉄・豊川線)⇒ 9:49 国府駅着
 9:53 国府駅発 ⇒(名鉄・名古屋本線)⇒ 10:38 名鉄名古屋駅着   -(昼食)-
 12:00 名鉄バスターミナル発 ⇒(高速バス)⇒ 14:10 京都深草着 


 9日間を、めいいっぱい旅した。
 でも、こうして時刻表を記しながらもう1度自分の辿った道筋を確認すると、とても遠いことのように感じる。
 飯田市の元善光寺さんにお参りしたのは、もう昨日のことなのだ。
 1日1日を思い返すと、むずむずする。
 

 今回の旅は、順路を決めるまでに時間がかかった。
 いつもなら路線図を見れば、ふわっと行くべき場所が浮き上がって見えるような気がするのに、今回は実際に時刻表を捲り、最後の日の行程まで作ってしまわないと、どこへ自分が向おうとしているのかわからなかった。
 でもそれも、出来上がってしまったらこっちのものだ。
 行ってしまえば、単純だから、ああやっぱりここでよかったと思うのだから。

 陽射しをいっぱい浴び、滝のような汗もかいたけれど、心地よい風にもたくさん吹かれた。
 うっすら焼けた跡も、日焼け止めクリームに負けた肘も、荷物の重みでできた二の腕の痣も、いつか消えてしまう。
 それでも残る記憶が自分にあるなら、いつかそれが自分の背中を押してくれるはず。
 だから、毎度のことながら、帰り道に次の旅に思いを馳せる。


 ※ 山梨旅も書き終えてない上に、今週試験があるので、旅の模様は少し時間をかけて書きマース。
  またどうぞよろしくお願いします。
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by fastfoward.koga | 2010-08-01 21:00 | 旅行けば

「週末は甲府にいます」  ~ミレーと芥川

 バスで昇仙峡から甲府駅へ戻り、遅めのお昼。
 ここはやっぱりほうとうでしょうと、駅前の「小作」という有名なお店に入る。

 ガイドブックで見るだけで、味の想像などできるものではない。
 というか、今回の山梨行きはなににおいても予想も期待もしていなかったので、良くも悪くもフラットな状態。
 だから注文したほうとうのお汁をひと口、口にしたあと、そのおいしさにうおーっと唸った。
 岩手のじゃじゃ麺に続くヒットやわあと、食べる食べる。
 中からはひと切れが大きなかぼちゃに、合計1個半はあったじゃがいも。
 それでなくとも平打ちの太麺だけでお腹がふくれるものなのに、軽く2食分はあるボリュウムに、食べ切れずにごちそうさまをさせてもらった。
 でも、おいしかった。
 次も行ったら、必ず食べる。

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 お店を出ると、予報どおり午後から雨。
 傘を広げ次に向ったのは、山梨県立美術館。
 2009年1月にできたミレー館が目的だったのだけれど、いやいや山梨県すごいでとつい言ってしまうほど、展示品の内容が充実していた。
 特に、絵に疎いわたしでも知っている「落ち穂拾い、夏」はまじまじ眺めた。
 もう1枚はオルセー美術館にあるそうだが、同じ絵が2枚ある理由なども解説されていて、そんなすごいものをここ山梨で見ることになるとはなあと感慨深いものがあった。

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 美術館を出たあとは、芸術の森公園を横切り県立文学館へ。
 通常文学館というと、その土地に縁のある文学者の展示品が中心なのだが、ここは日本で一番芥川龍之介にまつわる収蔵品が多いという。
 その中でもわたしが一番興味を惹かれたのは、芥川の筆跡が残された『羅城門』の原稿だった。
 この作品は芥川が何度も書き直していることで有名で、その過程がガラスケースの中に順に並べられていたのだけれど、そのケースの手前に体を持たせかけ、こどものように上から覗くようにしてそのひと文字ひと文字を追いかけた。
 ひと通り見ても、またその文字が気にかかり、ぐるぐる巡りながらも結局3回見に戻った。
 芥川がすきだと明言したりしないのに、なぜかこの人のことは気にかかるんだよなあと、まだ神経衰弱に本格的に悩まされる前の、笑ってはいないのに笑ったように見える芥川の写真を見た。

 ほんの少し陽が傾き始めても、外はまだ雨。
 コガトラベル代表、ちょっと芥川にうっとりしすぎてバスの時間を見落としたため、タクシーで甲府駅へ。
 荷物をコインロッカーから取り出し、また別のバスでその日の温泉宿へ。
 途中、武田信玄を祭った武田神社の前を通り過ぎ、終点まで乗車。
 そしてここでもやっぱりK嬢は下車が近くなってから目を閉じ、それをY嬢とふたり指さして笑うのはいつものこと。
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by fastfoward.koga | 2010-07-19 16:02 | 旅行けば

「週末は甲府にいます」  ~水しぶきたっぷり昇仙峡

 今回の甲府行き。特に行きたい場所があったわけではなかった。
 ただ、全都道府県への旅を終えた今、自力&自腹で行っていない場所を今度は行ってみようというきもちで山梨を選び、行くなら県庁所在地からという半ばお堅い頭で考えた結果だ。
 だから、期待らしい期待はしていなかった。
 もともと、行ったことのない場所に行くだけで充分楽しめるので、そんなきもちはあえて用意などしていなくてもいいのだ。

 でも、甲府は楽しかった。
 想像以上に、楽しかった。
 もちろんひとりじゃなかったことも理由のひとつだろうけれど、もしひとりで同じコースを巡ったとしても、必ず同じことを思ったはずだ。
 行ったことのない場所があるということ。
 それってもったいないなあと、また今回の旅でも思った。

 2日目の朝は7時過ぎに起き出し、各々のペース配分は互いに熟知しているのでもたもたせずに支度と荷造りは完了。
 コガトラベル代表、ちょっと勘違いしてかなりの大回りで甲府駅までご案内するも、K嬢とY嬢には文句も言わずについてきていただいた。
 駅で軽く朝食をとり、まずはバスで昇仙峡を目指す。
 下調べではグリーンライン経由のバスに乗車しようと考えていたのに、ロータリーに入ってきたバスがそうだとすっかり勘違いし、出発したあとに昇仙峡までの経路が違うことをアナウンスで気がついた。
 数分差で昇仙峡行きのバスが何本もあるとは思っていなかったのだ。
 あら~と思ったけれど、こういうハプニングも旅には付きものと、ロープウェイ近くのバス停で降りることにした。

 が、これの間違いが幸い。
 あとで知ることとなるのだが、昇仙峡周辺を一方通行で散策するならロープウェイ側からグリーンラインへと向うほうが下りになっていて楽だった!
 間違えてみるもんだと、ひとり、内心思っていた。

 ということで、とりあえずロープウェイに乗ってパノラマ台駅へ。
 残念ながら、昼から雨という予報が出ていたので、上ってみても周辺は靄がかかっていて、景色を望むことはできなかった。
 まあ梅雨時期だ、仕方がないかと思いつつも、高いところにいるという感覚はいいきもちだった。

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 速いスピードでぐんぐん上り、ぐんぐん下るロープウェイをあとにし、そこからはぶらぶら話をしながら道なりに歩く。
 途中、巨峰のプレミアムソフトという看板を目にし、三人で「プレミアム」が気になるなあ、帰りに食べようかと話をする。
 実はこの時点では折り返すつもりでいたのだが、言いだしっぺの代表自らが距離感を掴んでおらず、結局遊歩道を下るだけ下ったらそのまま帰ってしまったために食べることはできなかった。
 代わりに、バスに乗る前に普通の巨峰のソフトクリームを三人で分け合って食べた。

 少し細い道に入りそのまま道なりに進むと、大きな水音が聞こえ始めた。
 行く先に開けた場所が見え、立ち止まる人たちの様子から滝や! と察してふいに振り返ると、想像していた以上の大きな滝、仙娥滝(せんがたき)が現れた。
 昨年茨城県で見た袋田の滝も横幅があり、たいがい大きいと思ったけれど、こちらの滝は高さがあるせいかもっと迫力があった。
 手すりのある場所まで近づくと、微かに水しぶきが顔中に当たる。
 普段空気清浄機にマイナスイオンが出ると書かれていてもあまり信用していないけれど、そこでは思わず「マイナスイオンだ」と言ってしまうほど感じるものが違っていた。
 滝が高いせいではない。
 そういう場所では、知らず知らずのうちに恩恵を受けようと、顎が上がり視線が上に向くのだ。
 単純だが、胸の上あたりでつっかえていたものが解けてゆく感じがした。

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 三人でテンション高めに、近くから遠くから滝を眺める。
 その滝も昇仙橋を渡ってしまうと見えなくなり、川の流れに沿って歩いているうちにだんだん小さくなる水音を寂しく思った。
 でも、さすがに滝ほどの迫力はないけれど、川面に上がる水しぶきも力強くて見ていても飽きなかった。
 理由はわからないけれど、わたしは静かに打ち寄せる波よりも、ぐいぐい流れる川を見ているほうがすきなのだ。
 そこにベンチがあったなら。
 しばらくじいっと見ていたことだろう。

 滝の周辺からしばらくは賑わっていた遊歩道も、みな車で来ているのか、ほとんどの人が折り返していなくなってしまった。
 それじゃあと、ここぞとばかりに道いっぱいに広がって三人で歩いていると、脇に立つ電柱にクマのイラストを見つけた。
 へえ、クマが出るのか。
 一緒に書かれている注意書きには、クマが出たのは7月3日午前8時30分ごろとある。
 見覚えのある日付に脳が反応し、しばらく思考回路がショートしたあとよくよく考えたら、7月3日とは今日ではないか!
 
 そこからは三人で賑やかしい声を出しながらバス停へ向った。
 鈴の代わりにでもなればいいと思っていたのだ。

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by fastfoward.koga | 2010-07-14 22:19 | 旅行けば

「週末は甲府にいます」  ~そわそわ列車がゆく

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 7月2日の金曜日、19時47分。
 わたしは甲府に向う特急の中にいた。

 少し早く仕事を終え、新大阪でY嬢と待ち合わせし、京都駅からK嬢が合流。
 ビールを飲みながら新幹線で静岡駅まで行き、在来線に乗り換え、甲府到着は19時59分。
 未踏の地と誕生日のそわそわで、初めて乗る身延線の車窓もゆっくり見ることもできずにいた。

 陽が落ちてからは、山間を走るせいで外は暗かった。
 でも甲府駅に近づいてくると停車する駅の感覚も短くなり、灯りがぽつりぽつりと見えてくる。
 さー、今度はお店でビールだ、ビールだと思っていると、案の定K嬢がひとりうつらうつらしている。
 目的地が近くなると寝てしまういつものその姿を、通路を挟んだY嬢と、気づかれないようにこっそり写真を撮った。

 雨にはあわずここまで来たから、できればめでたいこの今日1日、傘はささずにいたいなと願いながら、こどものように両手で覆いをつくって窓の外を覗き込む。
 1度目はY嬢に降ってないと伝えたけれど、席から見える運転席の窓にはついたばかりの雨らしき跡。
 再び暗い外を眺めると、ちょうど通過した踏み切り前に止まっていた車のワイパーはみな止まったまま。
 地面も濡れている様子はないから、きっと今ぱらっと降り出したのかも、と訂正した。

 おかげさまで甲府駅周辺は降っておらず、ホテルに辿り着くまで傘はささずにすんだ。

 荷物を持ったまま夕飯を食べる店を探し、3軒目でなんとか落ち着けた。
 ビールで乾杯して、ふたりからお祝いにカードやリクエストしたプレゼントをもらったりしていると、わーいと誕生日気分に浸るものの、未知の37歳はどことなく不安定。
 毎年自分で誕生日に旅へ出る準備をするせいか、新しい年齢への心構えは自然とできるのに、今年はなぜだか実感が湧かない。

 そういうそわそわも持ったまま、少し駅から離れたホテルへチェックイン。
 日付が替わって少ししてから眠ったけれど、夢は見なかった。
 ただ、誕生日も終わるの早いなあ、なんて思って目を閉じた。
 今はもうただの1日。
 そう考えているうちに、すとんと眠りに落ちた。
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by fastfoward.koga | 2010-07-12 21:59 | 旅行けば

鹿児島スリーデイズシックスストーリーズ ―番外編(ハナウタコバージョン)

 鹿児島スリーデイズでご案内役を担ってくださったハナウタコさんが、ご一緒してくださったときの写真をアップされています(一部、わたしの後頭部も登場してます)。
 わたしのぼんやりスナップとはまったく異なる、味のある写真です。
 どーぞ、ページを前に後ろにと、他のお写真も含めご堪能ください。

 で、そのあと「鹿児島スリーデイズシックスストーリーズ」を読み返すと、違ったものが見えるかも!?

 ★★★ ⇒ harmonico
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by fastfoward.koga | 2010-05-16 20:42 | 旅行けば

鹿児島スリーデイズシックスストーリーズ ―最後にちんまりした思い出

c0047602_23163692.jpg (特急「はやとの風」)













c0047602_2318969.jpg (仙巌園の手入れされた生垣)











c0047602_23212334.jpg (言わずと知れた5.7頭身の西郷さん)













c0047602_23223834.jpg (桜島フェリーとふたりの影)











c0047602_23233910.jpg (湯之平展望所からの眺め)











c0047602_2325029.jpg (猫ランド(仮名))













c0047602_23265788.jpg (霧島神宮の石段の苔)










 ほんとに、おしまい。
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by fastfoward.koga | 2010-05-03 23:30 | 旅行けば

鹿児島スリーデイズシックスストーリーズ ―帰港

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 ハナウタコさんと話しているときに、何度かホテルでのことを話すときに「うちに帰って」と言い間違えた。
 今までにそういうことは、あんまりない。
 ホテルはホテル。
 一時的な休息の場所にすぎない。

 きっと鹿児島は居心地がよかったから、言い間違ったんだろう。

 桜島から鹿児島市へ向うフェリーで、戻ることの懐かしさが湧いてきた。
 夕方の海。
 水面はきらきら輝き、甲板に立っていると吹き飛ばされそうになるほどの風が吹いてくる。
 帰るよ、戻るよと言いながら。

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 おしまい。
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by fastfoward.koga | 2010-05-03 23:07 | 旅行けば

鹿児島スリーデイズシックスストーリーズ ―グリーングリン

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 旅先で、いろんなものを目にする。
 目にして抱く感情は、様々。
 驚愕、歓喜、落胆、寂寥、思慕。

 そんな中で感情は湧かず、空っぽの体で背筋の伸びる場所というところがある。
 霧島神宮は、そういう場所だ。

 お天気は下り坂で、1日目、2日目と違い空は青々としていなかったけれど、ここの緑は活き活きとしていた。
 特に、苔。
 ハナウタコさんと共に、苔を触り、そして撮りまくる。
 端から見たらおかしなふたり。
 
 お参りをして、まよけのお守りを買い、おみくじをひく。
 最近は手を合わせても、願いごとは出てこない。
 近況報告をするだけだ。
 おみくじは、直接自分の手で引くようになっていた。
 かき回したりせず、右手人差し指に最初に触れたものをそのまま摘み上げる。

 開いてみると、「小吉」の文字。
 なんとなく予感めいていたので、妙に納得して読む。
 すると、書いてあることは悪くない。

「はなされし かごの 小鳥の とりどりに たのしみ おおき 春の のべかな」
 (籠の中にいた小鳥が放されて自由にとび歩く様に苦しみを逃れて楽しみの多い身となる運です
  世の為人の為に尽くしなさい
  幸福まして名も上がります)

 ほおっと思い、続いて「恋愛」のところを見てガクリ。
 ひと言、「深入りするな」。
 ひとりでは持て余し、ハナウタコさんに見せて笑った。

 まよけが効いてくれるといい。

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by fastfoward.koga | 2010-05-03 22:23 | 旅行けば

鹿児島スリーデイズシックスストーリーズ ―うまいもん三昧

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 鹿児島スリーデイズ中は、ほんとうにたくさんのおいしいものをいただいた。

 まずは1日目のお昼。
 名を、「百年の旅物語 かれい川」というそれは、九州駅弁人気投票2年連続1位という代物もの。
 駅弁だけでなくコンビニのお弁当ですら、冷めてもいいようにと濃いめの味付けがされているがために普段から買うことがないのだけれど、これは違った。
 甘く炊いたしいたけに、たけのこの味がしっかり出ている炊き込みご飯。
 揚げ物も油っこくなく、野菜のどれもが新鮮ないい味がした。
 なかなか口に入らないというプレミアも若干味の格付けにプラスされたのかもしれないけれど、どれもこれも薄味のわたしが目をむく上品な味付けで、人気があるというのは納得できた。
 あんなにおいしい駅弁、お弁当を食べたのは初めてだった。

 続いて、1日目の夜。
 しっぽりと湯豆腐に焼酎。
 京都人に湯豆腐なんて、と案内してくれたハナウタコさんは言いましたが、いやいや。
 京都にはない具たくさんの湯豆腐で、アルコールが入らないくらいお腹いっぱいになった。
 いつもの調子で「とりあえずビール」と注文してしまったけれど、あの焼酎はもう1杯は飲みたかったなあ。
 そこのお店の焼酎は、お湯割りではなくすでに水で割ったものを燗にしているそうで、小さなコップに注がれたそれは、鹿児島に来たんだなあと思わせてくれるひと品だった。

 2日目の朝は、ホテルでバイキング。
 年々少食になっているので、パンや白米などの炭水化物は摂取せずお昼に備えるわたし。
 旅に出たときだけ、大食いになりたいといつも思う。

 お昼は、ラーメンなどと悩んだ挙句とんかつ。
 もちろん、黒豚。
 さーとんかつだ! と勢い勇んだものの、メニューを見たらかつ重が食べたくなってしまった。
 卵がすきなもんで、丼物に弱いのだ。
 豚はとっても柔らかく、おだしも辛くないのでとてもおいしかった。
 ハナウタコさん曰く、こっちは甘い味付けだからということだったけれど、醤油辛いのがどうも苦手なので、わたしには鹿児島の食事は合っているのかもしれない。

 そして鹿児島最後の夜は、しゃぶしゃぶ。
 鍋は黒豚だけでなく鶏しゃぶと半々にできるということで、目を輝かせて両方を頂く。
 鍋もさることながら、そのお店には「豚のたたき」なんていうものがあり、豚はよく火を通しなさいと言われて育ってきたので思わず目をむいた。
 わくわくしながら口に入れると、鶏を食べているような食感。
 臭みなどまったくなく、これが豚? という感じ。
 世の中、まだまだおいしいものがあるんだなあと、噛みしめて食べた。

 3日目の朝は、前夜ホテルに帰ったのが2時前だったので、朝食は食べずに水分補給のみに努めた。
 おみやげを買う間に、通りかかったドトールでアイスロイヤルミルクティを1杯。

 そして鹿児島最後の食事となる、昼は鶏。
 鹿児島市内にもお店があるというのに、ハナウタコさんに車を飛ばしてもらい、わざわざ霧島の山の中に向う。
 風情のあるお店で、昼間っから焼肉プレートを前に鶏をじゅうじゅう焼いて、油を飛ばしまくる。
 そして、お目当ての鶏刺し。
 お店のすぐ横でさばかれているのであろうその鶏はもちろん新鮮で、生なら大丈夫~、と食べたハツーがつるんつるんしておいしいことおいしいこと。
 後ろの席のおじさんたちがとりめしを食べているのをちら見しながら、ごはんはもう入らないねえとそこは潔くあきらめた。
 どうしてこんなに少食になってしまったんだろうと、軽く自分に失望。
 でも外に出て、お店のご主人から「おいしかったですか?」と聞かれ、顔を晴れやかにいして「はい」と答えた自分に満足することにする。

 こうしてハナウタコさんに案内してもらったお店のどこでも、時間をかけて食事を味わった(ハナウタコさん、ありがとー)。
 それはもう、後からきたお客さんたちにどんどんぬかされて笑ってしまうほど、ゆっくり頂いた。
 おかげで800グラムのお肉を見に纏い帰宅。
 まだ600グラムくらいとは仲よくしている、今日この頃。
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by fastfoward.koga | 2010-05-03 21:05 | 旅行けば