言霊の幸わう国

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備えあれば憂いなし

 風邪引きさんの代役で、残業をした。
 次々と出口に向かう人たちが、雨だ雨だとわたわたしながら傘を手に帰っていった。
 なんとなく自分が帰るころには止むだろうと思いながら、わたしは仕事を続けた。

 でも、雨は止まなかった。

 傘はあるー? と聞いてくれた声に大丈夫です、と返事をして職場をあとにした。
 エレベータで地上に降りると、細かい雨が降っていた。

 1度暗い空を見上げ、ストライプのほっそりした傘を広げた。
 置き傘ひとつ。
 それだけで、久しぶりにほわんとした気分になれた。
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by fastfoward.koga | 2007-10-30 22:55 | 一日一言

全部自分

 わたしの悪い癖は、忘れっぽいところだ。
 自分が腹を括って決めたことを、どかーんと大波が来てさらわれるときれいに忘れてしまう。
 でも、波にさらわれたあと元の位置に戻ってきて、落ち着いてしばらくすると思い出す。
 そうそう、わたしあのとき覚悟を決めたやん、と。

 昨日は、約束を数ヶ月も守ってくれていなかった不義理な人に心底腹を立てていた。
 この間の失恋よりも、自分の感情にブレーキをかけられないかも、と思ったくらいだった。

 でも今日、昼間っからごろごろしながら本を読んでいて、その人と出会ったときのことを思い出した。
 出会って、悩んで、同じようにこの部屋で、決心したのだ。

 きっとこっちは荒波だ。
 それでも行ってみよう、と。

 選んだのは自分。
 引き返さなかったのも自分。
 ここにこうしているのも自分。

 全部、自分。

 いつも嫌なことや悲しいことがあると誰に向かってというわけではないけれど、わたしはこう叫ぶ。
「わたしがなんか悪いこと、したんかー」と。
 そしてそのあと、誰だかわからない相手に言い過ぎたなと思って、今度は呟く。
「バチが当たったんやろか」と。

 でも実のところ、腹まで括って自分が決めて選んだこと。
 そんなわけはない。
 全部、自分なのだ。
 どこからどこまで行っても、自分ありき、なのだ。

 しかし。
 意外とわたしは棘の道を選ぶ人間なのだということに、気づいた。
 そのわりに道半ばで発揮するへなちょこぶりを、なんとかしなくては。

 次、強い決意と共に選んだ道は、例え迷っても、腹を括った自分の強さを忘れずに行きたいと思う。
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by fastfoward.koga | 2007-10-28 19:54 | 一日一言

バン!

 今、部屋はきな臭い。
 偶然目にした言葉がきっかけで、静かにすばやくイスから立ち上がり、抽斗からいくつかの古い手紙を取り出して燃やした。

 初めは手紙1通、ハガキ1通、カード1通、計3通を小さくちぎっただけだった。
 でもそれでは腹の虫がおさまらず、小さな銀色のお菓子の缶を取り出して、ちぎった手紙に火をつけた。

 ちょうど、スガシカオの「黄金の月」をリピートで流していた。
 スガシカオは歌う。

  「ぼくの情熱はいまや 流したはずの涙より
  冷たくなってしまった」


 そこでわたしは合いの手を入れるように、いやいやわたしの怒りも情熱も熱いよと心の中で呟く。
 見つめる先には、青と言うよりは緑に輝く小さな炎。
 炎は赤色より青い色の方が温度が高いと聞いたことがあるけれど、緑はどうなのだろう、とかなんとか思っていた。

 小さくちぎった手紙が灰になったら、灰さえもなくなればいいとキリキリした。
 目の前の黒い残骸さえも疎ましい。
 全部消えてしまえと、灰をビニール袋に入れ口を縛り、缶をきれいに洗って、両方を洗面台のゴミ箱に入れた。

 そこまでの一連の作業を終え、階段を上るわたしは笑顔。
 ばかにこだわってんなーという思いと、よーし見てろよという思い。
 ここで、オマエモカヨ、と倒れるわけにはいかない。
 
 部屋に戻ると、怖ろしく煙たい。頭が痛くなりそうだ。
 匂い消しにと焚いたお香も、負けてしまうくらい。
 でも、わたしは負けない。
 
「バン!」とピストルで相手を一撃するように、ファブリーズをひと吹き。
 匂いが消えたら、いくつもの過去の残像ともおさらばだ。

 秋はお別れの季節(実はふられる前から、この言葉がやけに頭を巡っていた)。
 あれもこれもと、さよならするものが多いなぁ。
 愚痴も多いしなぁ。
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by fastfoward.koga | 2007-10-27 21:01 | 一日一言

高校球児3年の夏

 ひとつひとつの感情を、量り間違えないように過ごした1週間。
 今ある感情と事実を、丁寧に扱ってきたつもりだ。

 ティッシュペーパー1枚分の涙を、数回流した。
 泣いてしまえば、という思いの反面、泣いて感情をごまかしたくないという思いがあり、後者が勝って今に至る。
 まあ、要は淡々としているのだ。

 そうやって自分の胸に耳を当てるようにして、今の思いを表現するならばとずっと考えていた。
 まだ思いが固まっていないから無理かなと思いつつも、行き当たることができた。

 今のわたしは高校球児のようだ。
 それも3年生の夏。
 精一杯やって甲子園に出場できた。
 でも甲子園で思うような結果が残せず、勝利した相手校の姿が遠くに見えている。
 足元には甲子園の土。
 しゃがんで袋に詰めることは簡単だ。
 でも、自分はそれはしない。
 自分の望んだものを、勝敗とは別にして、手にしていないのに甲子園の土を自分は持って変えることはできない。
 そう考えている。

 もう自分はこの甲子園の土を踏むことは、この先2度とないだろう。
 もう少しここにいられたら。
 でもそれができないことを、自分はよくわかっている。
 これまでやってきたことは、ここまでのことだ。
 ここを出たら、野球とは違うなにかを求める生活が始まる。

 立ち止まっても、振り返っても、いられない。
 次の道がある限り、また歩いてゆこう。
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by fastfoward.koga | 2007-10-25 23:08 | 一日一言

ともに生きる

 最近、「求めない」(加島祥造著)という本が売れているらしい。
 わたしも先日、新聞広告でこの本の存在を知った。

 その広告には、「求めない すると、本当に必要なものが見えてくる」というコピーが書かれていた。
 失恋したばかりのわたしは、隣にいるチチの存在をいつも以上に意識しながらその言葉を飲み込んだ。
 そうか、求めなければこの寂しさも悲しさもなくなるのか。
 と、求めない世界への扉に手を触れようとした瞬間、違うだろうと即座に手を引っ込めた。

 一昨日、立ち寄った本屋さんでこの本を見つけた。
 小さな白い本を手にとって見た。
 ぱらぱらとめくり、嫌気がさして棚に戻した。

 だから、わたしはこの本を読んではいない。
 でも誤解を生むタイトルであり、コピーだと思う。

 なにも求めなくていいのは、持っている場合のことだ。
 求めなくて、なにがいったい充足するというのか。
 いつまでたっても空っぽは空っぽのままじゃあないか。

 なくして、なくしたものの大切さを知ることも。
 今持っているけれど、もう少しほしいと思うことも。
 やっぱりあっちがいいと思ってしまうことも。
 止められないことは、間違いなくある。

 無になれれば、求めずに生きてゆけたら、邪念を振り払って心安らかに一生を暮らしてゆけるのかもしれない。
 でもわたしは、人との別れに泣いて、失敗に嘆いて、思い通りにならないことに憤りを感じ、いつまでも欲と闘い、そして共存しながら生きてゆく。
 自分の涙もため息も、自分で拭ってやるさ。 
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by fastfoward.koga | 2007-10-23 23:28 | 一日一言

太陽と隙間

 職場の引越し後、少し早めにうちを出て、ひと駅分を歩いて通勤している。
 毎日、行きも帰りも違う道を通るようにして、新しい町の景色を目に馴染ませてようとしているのだ。

 今朝はかなり冷え込んだ。
 寒い寒いと腕をさすりながら、職場のあるビルまでを靴音を鳴らして歩いた。
 途中こどもの声につられて、横断歩道でふと左を見ると大阪城の天守閣が道の向こうに見えた。
 朝陽に照らされたお城は、白く光る清々しい空気の中、生まれたての姿のようだった。

 そして。
 日曜日でガランとした職場からは、16時ごろになると大きな窓から夕陽が射し込んできた。
 同僚と、きれいだねぇと言い合った。
 17時過ぎに会社を出ると、夕陽は少し色を薄くしていた。
 交差点で西の空を眺め見ると、水色とオレンジを混ぜた空。

 ほっと肩の力が抜ける瞬間。
 ビルの隙間を埋めるものは、きもちの隙間も埋めてくれる。

 さっき別れたすきな人に対して、ありがとうというきもちになった。
 やっと、そう思えた。
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by fastfoward.koga | 2007-10-21 22:35 | 一日一言

 ふられた(白状)。

 朝、出かけるために部屋着を脱いで、鏡の前で裸になった。
 ワンピースに着替えながら、鏡に映った自分を見た。

 肩から腕のあたりで視線が止まって、わたしはやっぱり誰でもなくわたしなのだなと思った。
 すきな人からいろんなことを教わって、影響を受けて、それらは血となり肉となり自分の中にしっかりと馴染んでゆくけれど、芯の部分は変わりようがない。

 軸がぶれた分だけ、あとがつらくなる。
 どうせ変わりないのなら、芯はぶっとくありたい。
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by fastfoward.koga | 2007-10-19 22:43 | 一日一言

アーネスト・ヘミングウェイ 『誰がために鐘は鳴る』

 「持ちこたえ、防備を固めなさい」

 様々な新しさを求めるにあたり、4ヶ月ぶりに開いた。

 一体、どーいう意味なのか。
「防備を固める」の意味はわからないけれど、とりあえず「持ちこたえ」は、失恋してもめげるなよ、という意味か。

 とにかく、前に進みましょう。
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by fastfoward.koga | 2007-10-19 17:33 | 答えはそこに

そうだ、ちょうど明日はごミの日だ

 会社の引越しで整理癖、というか捨て癖がついたのか、家でも休みの日に少しずつ片づけをしていた。
 古雑誌、使い古しのアダプター、抽斗の奥にしまった雑貨。
 ちゃんと分別してゴミ袋に入れてゆく。
 様々なゴミに自分の余分な脂肪を見るかのような、そんな気になっていた。

 今日も、手帳の整理、棚の整理、パソコンと携帯メモリーの整理、写真の整理、記憶の整理。
 ゴミと手離す荷物に分けた。

 終わった恋は、完全に不要物。

 捨てる行為で、エネルギーが湧いてくる。
 スピード感が出てくると、捨てるものがなくなってもまだ捨てたいと思いが止められない。
 ちと、やりすぎかな。

 明日の朝、ゴミと荷物が部屋からなくなったら完璧。
 目覚めたら、そこはスタートライン。
 はい、次いってみよー。
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by fastfoward.koga | 2007-10-18 22:54 | 一日一言

そばに

 特別な今日よりも。
 大切なものがそばにある今日が、毎日続いてゆく今日がいい。

 と、思っている。
 今日この日。
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by fastfoward.koga | 2007-10-16 21:31 | 一日一言