言霊の幸わう国

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吠えずに拗ねる

 会社帰りの道すがら、いくつも灯りが目についた。公園の街灯、飲み屋の看板、信号機の赤。遠くに高層マンションの灯り、そのもっと向こうに昨日より太った三日月。
 電車を降りてから暗い道を歩いていると、後ろで大きな音がした。振り返ると高架を電車が通り過ぎていった。ガラガラ、ガラガラ。横断歩道を渡ったあと、自分の中に居座った寂しさを形容しようと頭の中で言葉を回転させた。さっきの電車のように音も見た目も空っぽなのか、首筋を駆け抜ける風のようなスースーする感覚なのか。そこまで考えて、形容などする必要もないと考え直した。今感じているのは寂しさそのもの。大きさはソフトボールぐらいだろうか。
 期待していたことが叶わなかった。会えると思っていたのに、会えなかった。どうして今日の月は黄色すぎるのか。もっと白くて夜空に溶けるくらいでいいのにと月に拗ねる。
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by fastfoward.koga | 2009-04-30 22:19 | 四〇〇字・課題

満腹飽和

 昨日の夕方から、胃が痛い。心当たりとしては、仕事3割、勉強3割、ひと口ふた口ほどの食べ過ぎ3割、残り1割は寂しいからかだなんて分析した。それは冗談として、普段は飲んでいたらキリがないから飲まないようにしている胃薬を、昨日今日は続けて服用した。ゴミ箱に放り込んだ水色の薬の袋を見ていたら、今日の自分の行動は珍しいと別の場所から見ている自分に気づいた。薬を飲んですごく楽になるという感覚はない。ただ痛みは治まる。そこを求めていた。
 夕飯は少し残し、部屋に戻ってから退屈しのぎに図書館で借りているお菓子の料理本を眺めた。作る気はないから写真のページばかりを探してページを捲った。いつも読むのは文字ばかり書かれている本だから、こうやってパラパラ眺めることはめったにしないが楽しい。テキストの知識を詰め込みすぎて、頭もお腹も満腹になっていたのかもしれない。
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by fastfoward.koga | 2009-04-29 23:10 | 四〇〇字・課題

列車旅を楽しむには ~四国春旅

 徳島の夜が明けた。
 前日寝る前に何時に起きるか悩みながら睡眠をとり、8時過ぎに起床。
 ホテルで無料の朝食を軽く食べ、徳島駅発9時48分の列車に間に合うようかなり余裕を持ってチェックアウトをした。
 ほんとうは早起きしてホテルのそばの城山あたりもぶらっとしてみたかったけれど、ギチギチのスケジュールは結局あとでツケがくるとやめておいた。
 ここを訪れるのは今回が最後ではない。今度来たときに楽しみを取っておこう。
 迷ったら、そう思うことにしている。

 徳島駅には、出発時間の20分ほど前に到着。
 わたしなりの列車の旅の掟で、始発の列車に乗るときは早めに駅に向かうことにしている。
 それはなぜかというと、列車旅を楽しめる席を早めに押さえるためだ。
 直射日光が当たらなくて人の出入りの気にならない、しかもトイレがそう遠くない席。
 トイレって? 、とローカル列車に乗らない人は不思議に思うかもしれないが、これが結構重要。
 ローカル線を旅しようと思うと平気で数時間列車に乗りっぱなしになり、トイレに行きたいと下車すると次の列車は1時間あとなんてことはザラだ。
 そして列車旅のときは、荷物が大きいので席に置きっぱなしで貴重品だけ持って行くことになるためそう遠い場所に座るのはなと、付かず離れずの席を選ぶのだ。
 そんな自分なりのこだわりのある席を確保するためには発車ギリギリではならぬと、いつも早めの行動を心がけている。

 改札前のキオスクでおにぎりを2個と飲み物、チョコレートを買ってすでにホームに停車していた列車に乗り込んだ。
 今日は乗り継ぎの関係でお昼を食べるタイミングがないので、食料は必需品。
 それでなくてもお腹がすいたりすることもあるから、チョコレートの類は持っていておくとさらに安心。
 わたしの中では、ローカル列車の旅は不便さを楽しむものだけれど、チョコレートのようにちょっとしたプラスがあると小さな幸せを感じられる。
 それも楽しみのひとつだったりする。

 窓際の席に座り、横にリュックを置く。
 時刻表をリュックの外ポケットに差し、文庫本は膝の上に。
 これで準備は整った。
 いつ列車は発車してもいい。

 まだ動かない窓の外を1度眺め、わたしはお腹の底から湧き出るあの列車旅の楽しさを思い出そうとしていた。
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by fastfoward.koga | 2009-04-28 18:36 | 旅行けば

無地に広がる世界

 今日も睡魔と闘いながら、テキストを読む。
 が、眠いと文章が頭をすり抜けていってしまうので、何度も読み返す部分出てくる。
 いっそテキストも目も閉じて、と思うのだけれどなぜかふんばった。

 金・土の休みに手をつけられなかったレポートに着手する。
 机にじっと座っているのが苦手なので(これからどーする!)、気分が乗らないと机が遠い。
 でも読んだばかりのテキストに書いてあったとおり、気づいたことや感じたことをメモすることが大切だという言葉どおりに勉強してみることを決めたので、抽斗から引っ張り出したルーズリーフにたらたらと言葉を綴る作業をくり返した。

 テキストを読んでいると、可能性を感じる。
 でもそれは実行したらの話。
 読んでいるだけでは、自分は変わらないから世界も変わらない。
 やったらやっただけ違うものが手に入るという確信が心の中にあって、妙に前向き。
 それはいつまで続くかわからないけれど、変わる手ごたえを持ち続けたら意外にできるかもよ、と自分に言ってみる。

 昔から使っていた罫線の引かれていないルーズリーフに広げる、そして広がる世界は無限だった。
 囚われる前に、書いてしまえと誰かが言う。 
 今は、溢れるのを待ってはいられない。取り出すのだ。
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by fastfoward.koga | 2009-04-26 21:54 | 一日一言

沸点

 ちょっと金欠気味なので、最近はあまり本屋の巡回を意識的にしていなかったのだけれど。
 いやー、やっぱり行ったらあかんね。
 まったく買うつもりがなかったのに、欲を抑えられずに雑誌を1冊買ってしまった。
 その名は、『Discover Japan』
 表紙には「世界がうらやむ あなたの知らない日本。」と書かれている。

 中には全都道府県の情報が、山盛り。
 行った場所も、行っていない場所も、離れた町からはとてつもなく魅力的。
 屋久島、小豆島、鳥取砂丘、房総半島、河口湖、十和田市現代美術館、五島列島。
 旅への思いが、ぼこっぼこっと湧いてくる。

 ああ、日本は広い。果てしない。
 
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by fastfoward.koga | 2009-04-25 21:56 | 一日一言

追う背中

 夕暮れ時に車を運転していたら、信号待ちをしているときにふと鼻先に感じた匂い。
 あ、雨の匂いがする。
 声には出さずに、胸の中で言葉にした。

 雨の匂いがする、という短文で思い出す人がいる。
 その人が雨の匂いをさせていたということではなく、雨の匂いの話をしたのだ。

 電話でのその会話をリフレインしていたら、今日誕生日だということも思い出した。
 毎年送っていたバースデイカードは、同じことしか書けなくて絞りだして言葉を紡いだ。
 届くと、たいていすぐありがとうという電話がかかってきた。
 すぐじゃなくても、ありがとうはいつも言ってくれた。

 どんなことも、あなたが選んだことはあなたらしいとわたしは思うと思う。

 そんなようなことを書いたことがある。
 ズルイなあとあとで電話がかかってきた。
 わたしは彼の逃げ道を遮断したのだ。

 でもそんなことをしなくても、彼はやる人だ。
 ときどき目にする名前を見れば、その姿を見ていなくても想像はできる。
 わたしはその見えぬ姿に、いつまでたっても励まし続けられている。
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by fastfoward.koga | 2009-04-24 22:02 | 一日一言

我が道は

 書くことを勉強しようとすれば、いつかきっと書くことに迷いが生じることはわかっていた。書く気にならないとか書こうとしても書けないとか、そういうことも想定の範囲内だ。
 強迫観念で次々テキストを読む。中毒。掻き立てるものが正負どちらの感情なのかわからないから、途切れると正直怖い。
 数冊のテキストから学んだのは、とにかく書くこと。迷うきもちもメモする。イメージを言葉にして捉える。真似でも書く。書こうとする姿勢を保ち、書こうとする努力と時間を惜しまない。
 千里の道も一歩から。ローマは一日にして成らず。目の前に広がる道のりはガッタガッタだけれど、ゴールは20000字超。さあペンを片手に、行ってみよう。
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by fastfoward.koga | 2009-04-23 23:24 | 四〇〇字・課題

高速バスのシンデレラ ~四国春旅

 四国への旅は、大阪駅発の高速バスから始まった。
 仕事を終えたあとこまごました用事を済ませながら時間を潰し、最終の21:20で徳島へ向かった。

 座席は運転席の真後ろ。
 リュックは隣の座席に置き、文庫本を開いて出発を待った。
 読んでいたのは、『重力ピエロ』。
 映画の公開前に復習しておこうと思って、旅のお供にした。

 バスは湊町バスターミナルを経由し、阪神高速湾岸線を走り出した。
 しばらくはカーブが続き、北港あたりからすーっと窓からの景色が広がった。
 間近は海で、少し向こうに尼崎の町の灯りが見えた。
 本は開いてみるものの、外の景色に気をとられてうまく文字が追えなくなった。

 高速バスというといつも乗るのは夜行バスばかりで、夜の景色を眺めながら走ることはほんとうに珍しい。
 しかも外はキラキラしていて、ぐーっと胸にこみ上げるものがあった。
 胸の高鳴りは、今日だけは特別に遅くまで起きてていいよ、と言われたこどものころの大晦日を思い出させた。

 いつもは見ることのない景色は、久しぶりのひとり旅への意気込みを強くさせる。
 ひとときの記憶も感情もこぼすことのないようにときもちは踏んばるのだけれど、いとも簡単にキラキラに混じって猛スピードで後ろへ後ろへと流れていった。

 徳島駅に到着したのは23時59分。
 バスを降り、目的のホテルへとまっすぐ向かった。
 そこは、24時を過ぎると宿泊料金が安くなるシンデレラプランというものがあるのだ。

 ちゃっかり者のシンデレラは、24時07分にチェックインを済ませ1日を終えた。
 さあ、明日から列車の旅が始まる。
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by fastfoward.koga | 2009-04-22 22:45 | 旅行けば

初幽体離脱

 吐いたことに気づいたハハが、その瞬間小さく叫んだ気がする。外に出たあとは、慌てるハハの傍らにぼうっと立っていた。
 車に酔って吐いたのだから汚れた洋服への不快感や嫌悪感を抱いてもよさそうなものなのに、そういう感じは一切なかった。吐いてしまったという事実と真正面から対峙していた。けれど我慢しなくてよくなったことへの開放感と罪悪感の入りまじる思いをこどもがうまく処理することができるはずもなく、まだ小さな足で呆然と立っていることしかできなかった。
 すうっと、体から意識を持つ自分が抜けてしまっていた。でもその自分がそのあとどこへ行ったかはわからない。でも今こんなことを書いているのだから、ちゃんと体に戻ってきたのだろう。

 課題 「最初の記憶(私の一番古い記憶)」

 みなさんの最初の記憶、1番古い記憶はなんでしょう?
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by fastfoward.koga | 2009-04-21 21:35 | 四〇〇字・課題

かわいい人

 笑った顔がかわいかった。三十過ぎた男の人に失礼かもしれないけれど、背中に向かってもう1度かわいい! と大声で心の中で叫んだ。
 それは同じフロアにいる男の子。普段は笑っていないと仏頂面に見えるけれど、ちょっとしたところに垣間見られる礼儀正しさが密かに気に入っていた。
 1回目はわたしが入口のセキュリティを解除したところに彼がやって来て、扉を開けて待っていた。2回目は彼が先で、扉を支えて待ってくれていた。実は炊事場で後ろを通り過ぎたのが彼だとわかったのでタイミングを外そうかと躊躇したのだけれど、いやいやそれはかえってわざとらしいと追いかけていったのだ。
 恐らくわたしの慌てぶりと、さっきとは逆のシチュエーションだと思ったことからきた笑顔なのだろう。理由はなんでもいい。笑ってくれると、わたしの顔も自然とほころぶ。


※ しばらく、課題のために400字でブログを書くことにします。
  気が向いたら、やめると思いますが(笑)。
 
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by fastfoward.koga | 2009-04-20 22:30 | 四〇〇字・課題