言霊の幸わう国

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夏至はいつ?

 陽が断然長くなった。
 
 陽が長いと、なんでもできそうな気がする。
 なんだってできる気がする。
 でもほんとうはなんにもできない。

『1Q84』を読み終えるまでは。
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by fastfoward.koga | 2009-05-31 20:56 | 一日一言

緑とオレンジの『1Q84』

 待ちに待った村上春樹の新作『1Q84』発売!
 仕事が終わるのももどかしく、本屋へ駆け込み!
 さー、仕事も睡眠もレポートも忘れて・・・。
 読めたらいいな(希望)。

 表紙を開けただけで、ドキドキする。
 緑とオレンジが眩しい。
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by fastfoward.koga | 2009-05-28 22:27 | 一日一言

ネクタリン

 あ、ゾロメだと思った。
別れ話を切り出された瞬間やばいと救いを求めるかのように見つめたのは、部屋に置かれたデジタル時計だった。時間は午後三時三三分。それから数時間、宥めたり賺したり脅したりいろいろしてみたけれど、男の決意は固く交渉は決裂した。わたしはフローリングにぺたりと座って、なんでもないふうを装って手近な雑誌を捲りながら、もうどうしようもないことなんだという思いを噛みしめた。
 頭が電池切れになったように思考を停止しているわたしのそばで、男はちゃきちゃきととりあえずの荷物だけカバンに詰め、残りの荷物は次の休みに取りに来るからと告げて出て行った。
「合鍵はそれまで持ってていい?」
 玄関先で振り返ってそう聞く男に、わたしはどうぞとセリフを棒読みするように言い放った。
 まったく予想していなかったわけではない。出かけようと誘っても適当にごまかされていたし、最近食事を一緒にとることもなかった。タイミングを外されている印象はあったけれど、切り出されるのが別れ話だったとは。
 正直なところ、最近さあ、と気に入らない点をいくつか指摘されるくらいだと高をくくっていた。逆にケンカをきっかけに結婚のことでも口にしてくれるかと思っていた。
 男がいなくなったからもう強がる様子を見せる必要もないしと、わたしはしばらくじっとしていた。下げた視線を動かすことすら、億劫だった。穴が開くほど見つめたじゅうたんには食べカスなのかゴミなのかが挟まっている。よく見るとテーブルにもカップの跡がついているし、棚にもうっすら埃が溜まっている。どれもが胸の中で消化しきれない大きく渦巻くヘドロのようなものと交じり合い、吐き気がしそうだった。
 もういやだ。いやだ。
 力を振り絞って立ち上がり、ハンディモップを探した。
 掃除を始めて、勢いにまかせて部屋にある男の所有物を捨ててやろうかと思ったりもした。でもあとでゴミを捨てに行くことを想像したらバカバカしい。男のものはできるだけ触れないようにして黙々と掃除を続けた。
 でもひとつだけ、昔のアルバムを見つけたとき容易に開いてしまった。思えば、開こうとしたときに頭の中ではもうひとりの自分がやめろと言っていたような気がするのだけれど。
 適当に開けたページには、高山に男とふたりで旅行したときの写真があった。高山祭りで賑わう町、朝市の風景。市内を歩き回ってあちこちでシャッターを押した。そんなふうにふたりで出かけるたびに写真を撮り、それを整理したのは男のほうだ。
 アルバムを閉じ、表紙に手を添えたまま考えた。あの男は、部屋をあとにするときこの写真をどうするのだろう。
 シンクを磨き、風呂を洗い、掃除機をかけ、ひとつひとつ課題をこなすようにやった。一ヶ所そうじを終えるたびに感じる達成感と終わったらあとはどうしようという恐怖心で、きもちはぐらぐらしていた。恐怖心がピークになったとき、男が荷物を取りにくるときに部屋にいるべきかどうか考え始めたらいてもたってもいられなくなり、さっきの男のように自分も荷物を詰めてとにかくここから離れようと思った。
 追われるようにして荷物をカバンに押し込んだ。ドアを閉める前に隙間から覗いた部屋は片付けた分よそよそしく、数時間前と同じ空気の部屋に戻ることはもうできないのだと言っているようだった。一時でも早く離れたいくせに、ドアを閉め、鍵をかけることに後ろ髪を引かれた。

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by fastfoward.koga | 2009-05-27 23:58 | さんご

きょーちゅーふくざつ

 今週、チチが古希を迎える。
 誕生日を前に土曜日、ハハと3人で外食事をしようということになった。

 仕事を終えて待ち合わせ場所に向かう電車の中で、ふいに思った。
 歳をいかせてしもたなあ。

 チチの70年はチチが築いたもので、わたしが歳をとらせたわけではない。
 でもそう思ってしまった。
 親不孝なことはしていないと思いたいけれど、決して親孝行をしているとも言いがたい。
 
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by fastfoward.koga | 2009-05-25 22:20 | 一日一言

四国春旅 ~雨の高知

 ※次の旅の予定がないと、相変わらず遅筆(苦)。

 列車は雨の中、高知駅に到着。
 改札を出てまずしたことは、売店で傘を買うこと。
 買ってひと安心してそこで初めて携帯を見ると、太美吉さんから着信があった。
 あわてて電話をすると、太美吉さんはもう高知駅に着いていて、柱の陰から初対面のこんにちはになった。

 1時間ほど、駅のカフェでお話をした。
 初めての人と会うのは緊張するけれど、その人の人となりや自分のそれを話をしながら交換して距離を埋めてゆく作業はおもしろい。
 名残惜しさを残しつつも、お仕事中の太美吉さんを長く引き止めるわけにはいかない。
 このあとは? と聞く太美吉さんに高知城に行くと言うと、車なので送っていきましょうと言っていただきお言葉に甘えることにした。

 雨の中走り去る太美吉さんの車を見送ったあと、砂利道と石段の先にある高知城を目指した。
 そう大きくないビニール傘を背負ったリュックに引っ掛けるようにし、滑って転げ落ちないように黒いスニーカーを見つめて歩いた。
 スニーカーに降り注ぐ雨と、跳ねた雨がかかる。
 そこでふと出かける前の夜に、ベランダでスニーカーに防水スプレーをかけた自分のことを思い出し、なんて準備がいいのだと己を苦々しく褒めた。
 あのときは雨が降ることなど予想もしていなかったのに。

 辿り着いた高知城の中は、雨のせいでしっとりしていた。
 お城特有のひんやり感よりも、全身に水分を多く含んだ空気が覆いかぶさった。
 歩くとぎしぎし鳴る廊下を爪先立ちで、畳になると足全体をつけ歩き回った。
 お城に行くとなぜか急ぐように階上を目指してしまう。
 展望台に行っているわけではないのに、とりあえず上りきらないと落ち着いて場内を見て回れない。
 おかしな癖だ。

 高知城を出たあとは、ちょっと迷ってすぐそばにあった県立図書館に行くことにした。
 そこで1時間ほど本を読み、ここはどこだったっけなあと外に出る。
 歩き始めながら、そうそうここは高知だよ、答えるわたし。

 アーケードを歩いて夕飯の食べられそうなお店のめぼしをつけておき、ホテルにチェックインした。
 このくらいになるとすでに全身が湿気まみれでカラッとしたい! と思うのだけれど、遅くなると邪魔くさくなると荷解きもそこそこに夕飯を食べに出かけた。

 絶対カツオのタタキが食べたーいと30分ほど迷った挙句、1軒のお店に入った。
 とりあえずビールとタタキ、地鶏の焼き鳥を注文。
 カウンター席でひとりうますぎーと小さく叫ぶ。
 こういうときに自分を恨むのは、少食なこと。
 旅先でのゴハンどきにだけ大食いになれないものだろうか。
 あと、ひとりでゴハンを食べるときビールがたくさん飲めないのも残念。
 お腹がすぐいっぱいになるから、もうちょっとだけビールが飲みたいと思っても飲みきれないのだ。
 今回もやっぱり地酒も飲みたいしなーと、ビールは1杯だけにしておいた。
 お腹の膨れ具合を慎重に測りながら、最後にタタキの握りを注文しオーダーストップ。ああ、大食漢になりたい。
 ゴハンもお酒もおいしいなと飲み食いしていると、お店の女将さんからお強いですねと声をかけられた。
 えー、そうかなと思いつつ、タタキがすごくおいしいですと言うと、よかったわあとほんとうにうれしそうに答えてもらえた。
 
 ほんとうにお腹がいっぱいになって、お店を出るとのぼせた顔にかかる風が心地よかった。
 その足で明日から使う切符を高知駅まで買いに行く途中、頭が重く感じて軽く酔っ払ってるなと自覚した。
 量はそれほどでもないのにと思いつつ振り返ってみて、地酒を飲むペースが速かったこと、だからお強いんですねと言われたことに気づいた。
 
 雨はまだ降っている。でも明日はもう傘はいらないはず。
 明日のために、夜更かしせずにホテルに戻った。
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by fastfoward.koga | 2009-05-24 18:27 | 旅行けば

マスク生活4日目

 新型インフルエンザは予想どおり、関西圏から広い範囲で感染が確認され始めた。
 今朝厚生省が地域の実情に合った対応が取れるようにという運用方針を出したけれど、だからと言って各企業が急に対応を柔軟路線に変更するとは思えない。
 社内では、マスク生活がいったいいつまで続くのか、毎日そればかりくり返して話題にしている。

 社内・通勤だけに及ばず、自宅でもマスクを着用するようにというお達しが出たのは水曜日のことだ。
 カラッとした晴れの日はまだいい。
 大人の対応として、やる。
 がしかし、だんだん湿度が高くなってくるとつらい。かなり、しんどい。

 駅までの道を急ぐ。
 打ち合わせで発言する。
 会議で資料の説明をする。
 いつもしていることが、マスクをしているだけで酸欠を招く。
 呼吸するたびマスクがペコペコ動き、どんなに大きく呼吸をしても充分な酸素は得られず、直に息を吸い込むありがたさをひしひし感じる。
 
 摩擦と蒸れるせいで顔は赤くなるし、化粧はしても甲斐ないし。
 あー、もういやだと何度も思う。
 でもマスクは外さない。いや、外せない。

 フロアの社員全員がマスクをつけて仕事している様は、確かにシュール。
 でも人はすぐに慣れるもので、社内でマスクをつけていない人を見かけたときに抱く感情は奇妙さ。
 あれ? なにがおかしいんやろ、と思案して、マスクをしていないからかということに気づく。
 電車でもマスクをつけていない人を見かけると、なぜなのだろうかと一瞬考える。
 隣には座りたくないなとすら思う。

 そういう慣らされた自分の感覚は、怖い。
 疑問を抱きつつも、結局自分は右へ習えをする人間なんだと思ってしまった。

 新型インフルエンザは、人間の本質を暴露する。
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by fastfoward.koga | 2009-05-22 20:40 | 一日一言

ないないづくし

 今課題に苦戦している。
 600字程度のものなのに、なかなか書き出しまでもっていけない。

 正直、締め切りのことだけ考えて過去に書いたものに手を入れたらなんとかなる。
 でもそういうことをするために勉強しようと一念発起したわけではない。
 そして、小手先でどうこうできるほど道のりは甘くはない。
 技術はなくとも、今のわたしの頭ではそのくらい判別できる。

 頭を悩ませているのは、描きかた。
「私の出会った人物」なんて、そう難しいテーマではない。
 でもそのまま書いてもおもしろくないからとひねろうとすると、手癖で書ける程度のものに落ち着いてしまう。
 それでもなんとか書き出さなくてはと必死で考えるのだけれど、書きたいと強く思うほどの人が思いつかない。
 技術が足りないところを情熱で補おうとしても、書く衝動になるほどの熱は起こらない。

 ひと月近く考えて、もうそろそろ諦めようかという思いが頭を過ぎる。
 でもここで挫けてしまったら、あとでもったいないことをしたと思うはず。
 ひとつひとつの課題は、評価される。
 今まで人に評価されることを避けてきただけに、貴重な機会を逃してしまうことになる。

 課題も、ブログも、「さんご」も、仕事で作成する文書も、メールも。
 102パーセントくらいの力を注ぎたい。
 時間がかかっても、102パーセントの力が満ちるまでに諦めてしまいたくない。

 と、書きつつ、毎日机の前のカレンダーと対峙。
 時間は無限ではない。
 でも可能性も無限ではない。
 ないものを工夫してこそ、切望しているものが手に入る。
 辛抱、辛抱。精進、精進。 
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by fastfoward.koga | 2009-05-20 22:36 | 一日一言

厳戒態勢

 今日仕事は休みだったけれど、会社の子から昼前にメールがきた。
 大阪で予定されていた会議は電話会議になり、マスクの着用が義務付けられたとのこと。
 新型インフルエンザの影響だ。

 うーん。
 今の状態じゃ、なにを控えてなにをそのままにしていてもいいのかわからない。
 やり過ぎだとかやらなさ過ぎとか、判断が難しい・・・。
 とりあえず、しばらくマスク生活。

 目で語らねば。
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by fastfoward.koga | 2009-05-18 21:36 | 一日一言

四国春旅 ~徳島線から土讃線

 ※ 前回は・・・

 徳島発9時48分発、阿波池田11時36分着。
 電車に乗りたいという衝動で出た旅。スタートは徳島線から。

 徳島駅から離れるにつれ民家がまばらになり、のどかな風景を見つつも本を読み続ける。
 乗り降りする人も少なく、穏やかに列車は進んでいった。
 途中、あとに備えておにぎりをひとつ口にした。
 お腹はすいていないけれど、なんとなく食べておいたほうがいいような気がした。

 阿波池田駅では乗り換え時間10分。
 列車を降りるとすぐ目の前のホームに次の列車が待っていた。
 さっきまでは2列シートだったのが、今度の列車は向かい合わせのロングシートだった。
 中を見るとトイレが付いていない。
 そんな列車もあるのだなと、高知駅の到着時間を確認した。
 高知着14時10分。
 道のりは長い。でも楽しみにしていた土讃線なので、のんびりシートに腰を下ろした。

 土讃線は有名な大歩危小歩危を通過する。
 ともだちと行ってみたいと話していたところなので駅の向こうが気になるものの、今回は通過するだけで我慢。
 ここを通り過ぎるとあとはほっとして、眠気に誘われてうつらうつらとした。
 大歩危小歩危あたりから空模様があやしくなっていたのが、目が覚めると雨になっていた。
 旅の用意をしていたときには雨マークなんて予報に出ていなかったので、前日ホテルで天気予報を見たときはビックリした。
 内心、予報は雨でも小雨ならなんとかならないかと期待を抱いていたものの、こりゃあダメだなと雨具を一切持ってこなかった己の能天気さを若干恨んだ。

 土讃線も人の乗り降りは少なく、高知駅に近づくまでは車内のメンバーは入れ替わらなかった。
 列車の揺れる音で斜め向かいにいる女の子たちの話し声は聞こえず、ただ笑い声とふたりともが手にしているDSから流れる音が逆に不快だった。
 ちょっとでも離れていたいとシートをスライドし、角の席に陣取ってから思い出したようにもうひとつのおにぎりを食べた。
 空腹を感じてから食べたせいか、さっきよりおいしく感じた。

 外は相変わらず雨。
 高知に着いたらやまないかなんて淡い期待は途中で捨て、ただ列車特有の空気に身を任せていた。
 特別なものはなんにもないのだけれど、あの空気がわたしはやっぱりすきなのだ。
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by fastfoward.koga | 2009-05-17 22:06 | 旅行けば

素直になると

 こんなに毎日言葉と格闘しているのに、ほろっと抜け落ちていた。

 言葉にしない言葉は、相手には伝わらない。

 お腹の中に言葉をたくさん溜めているから、かえって言葉に詰まる。
 書いては消し、言いよどんでは飲み込む。
 外へ出そうと試みてはみるものの、形が違う気がして途中でやめてしまう。
 何度もそのくり返し。

 思いあぐねている間に、思い出せたことがひとつ。
 それは大学の学長からのメッセージで、書かれていたのはこんなこと。

 いい絵を描いてやろう、有名になってやろう、自分はそんなことを考えていた。でもひとから褒められたい、そんなことを思いながら描こうとした自分を画面は許してくれなかった。
 そのうちふと自分はなぜ画家になったかを考えていたら、すきな絵が描けることはなんて幸せな人生だと思った。そう思った瞬間、画面が近くに感じた。

 あー、今自分はうまく伝えようとしていた。
 思いの丈を充分にではなく、見栄えよく伝えることに心を砕いていた。
 伝えたいと願う割には思いの先に相手はおらず、いつも自分だけを見ていた。
 どうりで最近話しても書いても、相手に伝わっている手応えが感じられないはずだ。

 素直になるって、難しい。
 どうして簡単なことを自分は難しくしてしまうのか。
 一生懸命、ニュートラルにニュートラルに、フラットにフラットにと自己暗示をかける。
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by fastfoward.koga | 2009-05-16 22:55 | 一日一言