言霊の幸わう国

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身近な人

 先々のスケジュールを考えると、この休みに書いておかねばならないものがたくさんある。
 それは重々承知。
 でも時間があるときほど、筆は進まぬものだ(正しくはキーボード。そして、イッチョマエなことを言うてみる)。

 どれもこれも、書くネタが浮かばない。
 ピンとくるものがないのだ。
 2日間、うーんと唸ってみたが捻り出るものでもない。

 が、時間はせまる。
 とりあえずスクーリングの課題は文字数が少なめなのでちょっと置いておくとして、もうひとつ、両親のどちらかについてのエッセイを書けという創作レポートはなんとかしたい。
 以前、600字の課題でハハについて書いたので、ここはなんとかチチのことをと思うのだが、これがまた。
 身近すぎる相手というのは、かえって難しい。
 
 どうしてだろう。
 前からブログでもチチのことを書こうとしたことはあるけれど、ハハのときほど言葉がつげない。

 うまく書こうとしているきもちが邪魔するのだろうか。
 見せるわけでもないくせに。
 なにを気取っているんだか。ぶー。
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by fastfoward.koga | 2009-11-29 21:27 | 一日一言 | Comments(2)

抵抗勢力

 先週の月曜日から、人生初の定型勤務(月・金勤務)が始まった。

 もともと目覚まし時計はひとつで起きるし、鳴ったらぐずぐずしないし、寝起きは悪いほうではないではないと思うが、明日の朝眠くて眠くて仕方ないという状況になったらどうしようと心配するのがわたしの常。
 週の半ばで電池が切れてしまうんじゃないかと、ずっと思っていた。
 眠いとほんとうになにもする気が起きず、寝ることしか考えられなくなることがあるので、これじゃあまともな社会生活は送れないんじゃないだろうかと大きな不安に襲われることもある。
 それはちょっと考えすぎだと、自分でも思うのだけれど。

 そんなとき、偶然テレビで体内時計をテーマにした番組(「たけしの本当は怖い家庭の医学」)を見た。
 番組内では自分の体内時計が朝型か夜型かを診断するテストがあり、メモをご用意くださいと言うので、素直にメモを用意して診断をした。
 診断結果は5段階で、「超朝型」・「朝型」・「中間型」・「夜型」・「超夜型」に分かれている。
 なんとなく「朝型」になりそうだなと、もったいぶったCMのあと結果を見たら、なんと楽々「超朝型」の点数に達していた。

 意外なような。
 意外でないような。

 まあ、自分が夜型だとは思えないので結果はいいのだけれど、23時前には寝て5時半ごろに起きる生活を続けるのは至難の業だ。
 今は特にやりたいことが次から次へと出てきて、どれもこれもこなすにはエネルギーがいるし、時間もいる。
 どう両立すればいいのだろう。
 どうやったらバランスがとれるのか。
 またいつもの悩みだ。

 まだ土日休みにも馴染めないし、仕事の内容も若干変わったこともあって、心身ともに安定せず。
 あぁ相変わらず、新しいことに適応しようとすると、頭が余計に働いて邪魔ばかりする。
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by fastfoward.koga | 2009-11-28 23:08 | 一日一言 | Comments(2)

飲まない飲み会

 会社のお付き合いで、飲み会。
 でも明日は健康診断のため、一滴もアルコールは口にせず。
 2時間を過ぎて早々に退席させてもらった。

 いくら料理がおいしくても、飲まない飲み会はテンションが上がらん。
 つまらんなー。
 ちぇっ。
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by fastfoward.koga | 2009-11-26 22:14 | 一日一言 | Comments(4)

週末学生生活

 3連休はスクーリング。

 1日目は6時20分起床。
 夜中、漂う寒さを感じて少しうとうとした記憶あり。
 案の定、ふとんから出るのが若干つらい。
 夜の飲み会のことを考えながらバスに乗るためにうちを出るが、肝心のバスが来ず。
 土曜の朝7時台のバスが10分以上遅れるのは尋常ではない。
 仕方なく猛ダッシュでうちに戻り、ベスパで駅へ急ぐ。
 バイク置き場から駅までも長距離ランナーになったきもちで自分を励まし、なんとか急行に滑り込み。
 セーフ。

 学校へ着くと、すでに学友Tさん、Iさんの顔が見えた。
 仲よく3人前後左右にと着席し、残る学友Aさんがいないのは残念と口々に言い合う。
 そしてチャイムが鳴ると、「現代小説論」の授業開始。
 今回は『少年カフカ』出版後の村上春樹のロングインタビューを元に、小説についての講義。
 ほとんどの作品を読んでいる村上春樹が題材なので、9時から16時半までの授業を目を大きく見開き、耳をダンボにして聴く。
 授業が楽しくて仕方ない。
 
 授業終了後はTさん、Iさんを人でごった返す四条河原町へご案内。
 今回はお互い提出した作品やレポートを持参して、プチ合評会を開催しようと事前に話をしていたので、みなそれぞれ原稿を持ってきていた。
 それをコンビニでコピーしたり、金券ショップへ寄ったり、銀行ATMを求めて走り回ったりする。
 そのうちビールのおいしい時間になり、行き当たりばったりで見つけたお店に3人でどっしり腰を据えた。
 受けたばかりの授業の話に始まり、卒論、今読んでいる本、仕事や家族の話などをするが、話題は尽きない。
 でも今晩はそれぞれ交換した原稿を読むため、20時すぎにはお店を出てそれぞれ帰路についた。


 2日目も6時20分起床。
 前夜は、うちに帰ってからみなさんの原稿をシャーペン片手にくり返し読み、夢の中でもその続きを読んでいたような気がした。
 前日同様の寒さのため、ウールのコートをやめてダウンを着る。
 大学は山に近いせいで、想像以上の寒さ。
 風邪などひいていられないので、やせ我慢はしないことにする。

 授業中は罫線の引かれていないルーズリーフに、フリーハンドでノートをとる。
 ペンシルケースにには、シャーペン、3色ボールペン、ピンクと水色のマーカー、定規、消しゴムなどが入っているが、すべてを駆使。
 TさんとIさんは1冊のノートにすべて書き込んでいるので、それもいいなと横目で見ていた。

 休憩時間にトイレから帰ると、後ろの席のIさんが昨日わたしが渡した原稿を読んでいる。
 なにも本人の目の前で、と言っても、前夜駅からホテルまで迷ってしまい時間がなかったからとニコリと返された。
 前を向いても背中がこそばい感じがした。

 授業が終わると、そそくさと3人で三条河原町へ。
 プチ合評会ができるほどよいざわめきがあり、かつビールが飲めるお店を探すが、あてにしていたお店は満席でアウト。
 でもその前にあったお店は大丈夫かもと、ノーチャージの入口に近い席に陣取り、ちびりちびりと飲みながらお互いの作品についての意見を言い合う。
 初めは欠席裁判だとAさん、次にわたし、Iさん、Tさんの順で読む。
 わたしの番が終わりかけたころに、合評会が終わってから本格的に飲むという約束を反故にしようと奥の席へ移動した。
 近しい人が書いたものを読んで質問したり答えてもらったりすることや、自分が書いたものについての意見を直接もらえるのは、通知表をもらうこどもさながらに緊張するが、ありがたいとひとつひとつが胸に沁みる。

 ここでも話は尽きなかったが、周囲のお客さんの入れ替わりにふと時計を見ると22時。
 みなであわてて帰り支度をした。


 3日目は6時30分起床。
 今日はベスパで行こうと決めていたので、2日目以上に防寒対策を万全にしてうちを出る。
 昨日一昨日に比べれば暖かいと感じたが、50分ほど風に当たり続けてバイクを走らせればいやでも体は冷える。
 途中指がかじかみギアがうまく入らなかったり、信号待ちでよろけたりした。
 JRの線路下をくぐり、鴨川が見えたあたりでぐんと気温が下がったのを肌で感じた。
 1月のスクーリングには、ベスパの出動は見合すことに決定。

 ベスパを最寄り駅の駐輪場に止め、そこから大学まで歩いた。
 コンビニにより温かいお茶を買い、着くまでずっと握りしめていた。
 時折頬や鼻の頭に当てたりするが、顔の冷たさはとれずじまい。
 教室に入って、やっとほんのりとした暖かさにひと息つく。

 3日目はお昼休み後の3講時目が、昨日の睡眠不足がたたり若干眠気がくる。
 それでも3日間通しての授業の内容は濃く、小説を書くことについて考えた。

 授業が終了すると、お別れの時間。
 3日間共に楽しい時間を過ごしたTさんとIさんと手を振って別れ、ひとりベスパに跨る。
 3連休最後の京都市内の道はどこも厭きれるほどの混雑で、一気にびゅんとうちまで帰る想像が妄想となってしまった。
 西へ東へそして南へとベスパを走らせ、うちに着いたのは19時前。
 夕飯を食べ部屋に戻ると、どっと疲れを感じた。
 だましだまし重い体を動かし、細々したものを片付けたあと早めにお風呂に入る。
 雑誌を持ち込み、いつもより長めに湯に浸かると汗が出始めた。
 明日からの仕事に疲れも眠気も一切持ち込まないようにと、22時半就寝。

 ちょっと前の自分ならこんなスケジュールで仕事をするのはしんどいと言っていただろうが、今はそんなことを思う余地なし。
 やればできるものだ。
 さあ、前進前進。
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by fastfoward.koga | 2009-11-24 22:34 | 一日一言 | Comments(2)

ふわふわ

 左手は実直正確で、右手はしなやかで優雅。
 高野寛がギターを弾く姿を見て、弦を押さえる左手と弦を爪弾く右手の相反するように感じる印象に虜になった。

 彼がギターを手にすると、ギターが持っているもののような気がしなかった。
 体と一体化している、そう、動物のしっぽのような感じがした。
 そのギターを弾きながら2時間半歌い続ける中で、彼はこれみよがしに自分の左手の指の形を見ることはほとんどなかった。
 見なくても、もうわかる。体が全部覚えている。
 そう言っているように見えた。
 ただ、ここぞというとき、ハードなギターソロの前には腕をぶるんと振り下ろし、左手を閉じたり開いたりする仕草をしていた。
 きもちが高まっているのが、伝わってきた。

 会場全体の空気が温まってきたころ、じいっとステージを見ていたら同時に耳に入ってくる音が立体になって見えた気がした。
 この間手にした、コラージュされた誕生日カードみたいに。
 ふわふわもこもこした白い綿の手触りを、耳と目で感じた。
 
 どんな曲でもその声の余韻は残り、何度も目を閉じたくなった。
 うちで『からたち野道』を聴いていたときと同じだ。
 本人を目の前にしてその声に耳を傾けるなど贅沢極まりないと、自分に叱咤しながらも時折目を閉じ、その瞬間に酔った。

 何度か曲が終わったあと、感嘆のため息が洩れた。
 は~っと小さく息を吐き、そうやって毎回自分を落ち着けていた。


 今回のライブは、いろんな人の好意や善意を絶妙なタイミングで投げてもらえたことから端を発し、それらを積み重ねて辿り着いた。
 縁、というもののイメージで頭をいっぱいにしながらいくつも曲を聴いていたら、自分がすごい結末でその場所にいたのだと思った。
 彼も20周年という記念の年を迎え、きっと同じように人との縁、音との縁、いろんな出来事を経てきたはず。
 それをしっかりと無駄にしないようにウエハースのように積み重ねたからこそ奏でられる音であり、それに応えた鳴り止まない拍手なのだ。
 ライブを見ていて、わたしは彼についてなんと最上のフィルターを持っている人なのかと思っていた。
 初めは本人も緊張した面持ちだったけれど、フロントマンとしての役割を果たそうとした振る舞いが会場全体の硬い空気を解し、そのあと起こった手拍子や拍手をぐんぐん味方にしてライブを進めていった。
 彼は、周囲の反応をとても素直に吸収できる人なのだ。
 その人柄が、さらに積み重ねてきたものの価値をきっと高めているのだろう。

 今日のライブは、柔らかいスポンジケーキに包まれたロールケーキのような空間だった。
 毎回何かに例える必要はないのだけれど、甘い気持ちがそんな連想を生んだ。
 今も、幸せのため息が洩れる。
 今日と線を結んで繋げられるすべてに、感謝。


 高野さんがその後、ライブについて書かれました。ああ、同じことを感じてくれていたのだとうれしくなりました。
 ぜひこちらも。 ⇒ ★★★
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by fastfoward.koga | 2009-11-20 00:41 | 一日一言 | Comments(4)

飴を転がす

 自分が書いたものについて言葉をかけてもらえるのは、ありがたい。
 ひとりでこつこつ書いていてもどこかに限界はあり、人に読んでもらうことは世界が広がる。
 それは賞賛でなくても、変わらない。

 とは言うものの、褒めてもらえるとそれはもう素直にうれしい。
 ほっとするし、よかったと思う。
 でもその歓喜の波をひと越えすると、いつも考えることがある。

 かけてもらった言葉を形や色、目に見えるものに表わすことができないのかと。

 よかったよと言ってもらった言葉をそのままごくんと飲み込んで、血や肉に変えてまた次を書けばいいものを、わたしはふとそこで立ち止まってしまう。
 人と比較することでしか自分の立ち位置を確認できない性格は、こういうところで自分に壁を作りその先を阻ませる。

 言葉はそれ自体で意味を持つものなのに、なぜかそれをまた別の表現に変えようなどそれこそ無意味なことなのだが、相手の発してくれた言葉が自分が受けたままの重さや感触でいいのだろうかと正直悩む。
 誰よりも褒めてほしいと思っているわりには褒められるのが照れくさく、うまく受け取れない不器用さ。
 それに加え、自分がなにかを表現するときに言葉しかないとわかっていても、心のどこかで抱いている形あるものを造り出すことへの憧れ。
 そういうものが、自分をがんじがらめにする。

 もっとシンプルになれればいいのになと、思う。
 うれしいひと言を、飴玉みたいに口の中でコロコロ転がしてただ味わえたらそれでよいというのに。
 自分の扱いにくさに、我ながらため息。 
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by fastfoward.koga | 2009-11-18 22:07 | 一日一言 | Comments(0)

赤い血

 寸前に、気をつけなくてはという思いが頭を過ぎった。
 それなのに、プリンタから取り上げた真っ白いA4用紙の角が、左手親指の爪の生え際に刺さった。
 少しささくれ立っていたからだろうか、驚くほど角がピタリとはまり、あっと思って抜いた途端に血が溢れた。

 赤い、目の覚めるような色。
 それがほんの小さな傷口から、ティッシュで押さえても次から次へと出て止まらない。
 途中で押さえるのをやめ、じっと見た。

 自分の中にはこんな鮮やかな赤い血が流れているのだ。
 そうかそうか、そうなのか。
 少し胸がチクリとした。
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by fastfoward.koga | 2009-11-16 20:38 | 一日一言 | Comments(0)

浜辺で

 二年ぶりに姉からメールが届いた。
 大学を卒業し三年ほど大阪で働いたあと転勤でうちを出て東京へ行き、そのあとしばらくして転職し銚子に移った姉は、もう三年はうちに帰ってきていない。母はなにかと気をかけて電話をしているようだが、こどものころからとびきり仲良しでもなく、かと言って仲が悪いわけでもないという関係のわたしたち姉妹は、お互いが連絡しようと思い立つことも、そういう気にさせる出来事もなく、ただ時間が過ぎていた。
 姉は学生のころから勉強もスポーツもできるのに、所謂わかりやすい優等生で人気者の枠に収まるタイプではなく、人より抜きんでていることが逆に近づきがたい空気をどこか漂わせている人だった。それは妹であるわたしでも感じることで、幼いときからひとりですきなことにこつこつ向き合っている姿を見ては、頭のいい人のすることはわからないなと思っていた。何ごとにおいても可もなく不可もなくというタイプのわたしには、姉は別世界の人だったのだ。
 その姉が久しぶりに送ってきたメールは、予想を裏切らない、でも意外な内容だった。
「ちょっと来て。」
 書かれていたのはタイトル部分に一言だけで、まるで隣の実家から母親が呼んでるようだと思った。そしてそのあと頭に浮かんだのは、姉がわざわざわたしを呼び出すとは一体なにごとかということだった。
 結局連絡を取り合っていなかった時間の長さと気まずさより好奇心が勝り、わたしは呼ばれるがまま、地図のどこあたりになるかもわからない銚子に向うことになった。

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by fastfoward.koga | 2009-11-14 23:12 | さんご | Comments(10)

グッドモーニング

 何の曲のときだったか、くるりのライブをいったい何本見たのだろうかと考えた。
 考えただけで本数など数える余裕も自信もないからすぐやめたのだけれど、『リバー』だったか『ばらの花』だったかのときに、ああわたしはほんまにくるりがすきなんやなと実感した。
 ライブを見ていてそう思うのは、久しぶりのような、久しぶりではないような。
 大きな音に包まれながら、ちょっと意識が体から抜け出すような感じがしていた。

 今回「とろみを感じるツアー」は2日とも、席は前から4列目。
 1日目がかなりさとちゃん寄りで、2日目はほぼど真ん中。
 おかげで厚生年金会館が小さく感じた。
 ありがとう、純情息子よ。

 1日目とは若干セットリストが替わったことで新鮮さと、でも期待していたところはそのままと、ふたつのとろみをおいしくいただいた。
 不思議なもので流れはほぼわかっているのに、前日とは違う曲にきもちが持っていかれてしまったりして、今日もやられたなあと思って見ていた。

 ライブも終盤にさしかかったあたりから、このいつもと違うよさはなんなんかと、小さく歌を口ずさんでは考えていた。
 なんやろうなんやろうと、感覚の抽斗から似たものを引き出しては違うなあと戻し、これかなあとまた引き出しては感覚を着せ替えするようにぴったりくるものを探した。
 2日目も1日目と同じように、ものすごく大きいところでたくさんの人の中で立っているのに、うちで聴いている感覚はなくならず、そんな状況になったこともないのに、丸いオレンジのホットカーペットの上で、しかも毛足の長いカーペットで、ごろんと寝転がったり伸びをしたり頬にその毛足が当たるのを感じながら、でもどうも違うと膝を抱えて座りなおし、その膝に顎を乗せて目を閉じるとちょっと落ち着く感じがしたのだけれど肩のあたりがスースーして、ジャージを1枚羽織って同じ姿勢を取り直したら温かくなり、スーッと開放感と安心感に全身が包み込まれたような感じで、やっと今自分がとるべき姿勢を手に入れた。
 ・・・ときのような感覚のライブだと、結果認定した。

 相変わらず『ロックンロール』と『ばらの花』では泣きそうになり、もう何度となく聴いた『東京』は何度となく思ってきたように今日のが1番やと思った。
 おそらく会場の制限なのだろう、きっちり2時間で終わる一抹の寂しさを名残惜しさに、そして次への糧へと変えて、友人K嬢と外へ出た。
 風がもっと冷たいかと思ったけれど、そうでもなかった。
 そして、誰かとライブ後の興奮を共有できることに喜びを感じながら、ビールを味わい帰路に着いた。

 今朝は起きてから、昨日演奏されたわけでもないのに、なぜか『グッドモーニング』が無性に聴きたくなった。
 たぶんこの曲から漂う暗がりの肌寒さと開放感とゆるりとしたほのかに漂う幸福感が、昨日のライブの空気と重なったのだ。
 幸せとは、ほんとうはささやかでちんまりしたものなのかもしれない。 
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by fastfoward.koga | 2009-11-14 12:19 | 一日一言 | Comments(6)

御堂筋でとろける

 今日はくるりのライブ。
 会場は会社から歩いて行ける場所、厚生年金会館だったので、途中寄り道をしながら適当に位置だけ確かめ入れた頭の中の地図を探りながら向った。
 厚生年金会館は、高校生のころからほんとうによくライブを見に行った。
 当時大阪で1番大きなホールで、次は大阪城ホール? というのが当時の定説だった。

 いつも厚生年金会館に行くときは、地下鉄で心斎橋に出てそこから歩いていた。
 ガソリンスタンドを目印に曲がり、まっすぐまっすぐ行って、あれ? と思うころに公園とコンビニが見えたら、そこが厚生年金会館だった。
 1度開演時間を間違えてその道を猛ダッシュしたり、前の公園でライブの告知に来ていたバンドのギターの人に握手してもらったりした。
 今日は別の道を通ったけれど、そういうことが外観を見ただけで走馬灯のように頭に浮かんでは消えた。

 帰り道は、地下鉄に乗ってももう私鉄の特急に間に合わないと判断し、御堂筋をぶらぶら歩いた。
 北へ行けば行くほど銀杏の歯は色を濃くし、最後のほうにぷんとぎんなんの香りがした。
 途中御堂会館の前を通ったところで思い出したことがあり、急にTHE BOOMの『星のラブレター』を歌い始めた。
 あれはFM802だっただろうか。
 THE BOOMのライブがラジオで流れていて、『星のラブレター』の歌詞をボーカルのMIYAさんがライブ会場の大阪にちなんで替え歌をして歌ったのだ。
 「御堂筋は夕飯時~」と自然とその歌詞が口をついて出てきたので、歌えるところまで歌って歩いた。
 信号のタイミングを計りながらペースを早めたり遅くしたりしているうちに、ふと今はくるりのライブに行ったあとなのにどうしてTHE BOOMの歌など歌っているのか疑問に思った。
 最後は早足で駅へ着き、よっこいしょと特急のシートに体をうずめてしばらくしてから、やっと今日のくるりのライブを振り返った。
 流れる景色のスピードが上がり始め、ふとそこで、うちで聴いていたような、ええライブやったな、という思いが湧いてきた。


 最初の音が鳴って、音のくわしいことなど一切わからないけれど、今日の音はいい音やなと感じた。
 オブラートのような膜がなくクリアで、ほどよく大きくて、すーっと霧のシャワーみたいに沁みてゆくような音だった。
 セットリストも、そんなところを突いてくるか! という曲が次々くり出され、「とろみ」はさすがやなあと思った。
 その中でも久しぶりに聴いた『ジュビリー』と『ブレーメン』は、うーんと思わず唸る仕上がりだった。
 そしてギターを置き、直立不動で岸田くんが歌った『三日月』は、自分が曲と一体化する感覚を覚えた。
 それは今までにわたしがくるりのライブで何度も感じてきたことだけれど、うちでCDを聴いているよりよりクリアにメロディと歌詞が頭ではなく胸に直接入り込んで、その歌の描くものがパーッとわかる瞬間があるのだ。
 月光を表わしているのだろう橙色の光が岸田くんの胸の下から膝上あたりを照らし、曲の最後では一転紺色に色を変えた。
 すーっと明度が消えると、そのままステージに立っている岸田くんまで消えてしまうのかと一瞬どきりとした。
 今までで1番いい『三日月』だった。

 今日は、あれもこれもどれも、通り過ぎてしまうことなく、みな音を受け止められた気がする。
 いつもの、もう2度とこの瞬間はないという刹那的なものではなく、そうでないのはわかっているけれど永遠に続きそうなものがそこにあった。

 MCで岸田くんが、発売になったトリビュートアルバムについて話し、そのあと続けてこう言った。

 「今回のこのとろみツアーは、『鶏ビュートTOくるりBYくるり』な感じ。ということを、昨日の夜思った。」

 その言い方に会場では笑いが起きたのだけれど、その言葉を聞いて今日のセットリストが腑に落ちた。
 岸田くんが言うように、これは自分たちで自分たちの曲をトリビュートしているツアーなのだ。


 人もまばらな御堂筋は、通り沿いのビルの灯りはほとんど消えているのだけれど、そこは大都会。
 街灯に照らされた銀杏の黄色が、空を明るくしていた。
 細い通りを横切る横断歩道で立ち止まると、冬みたいな風が吹いた。
 ああ大阪の風だ、とくちゃくちゃにされた前髪を整えなおしながらわたしは歩いた。

 さー、明日もとろけてこよう。
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by fastfoward.koga | 2009-11-12 23:32 | 一日一言 | Comments(2)