言霊の幸わう国

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曇りのち晴れのはずが意外に雨 ―20年

 旅に出ないと、もうあかん、死んでしまうと叫んだのは卒業式のあと。
 口に出すとその言葉は深みを増し、今すぐどうにかしなければとその日のうちにホテルと高速バスの予約をした。
 こういうとき、行き先は迷わない。
 条件を入力して検索ボタンを押したときのように、今回も目の前に行き先はふわっと現れた。

 期限は2日間。
 その限られた時間はできるだけ旅先で過ごしたいから、青春18きっぷは使わない。
 でも電車には少し乗りたい。
 そう言えば、高速バスならまだ学割が使える。
「ピピピピピ・・・。検索結果が出ました。行き先は、香川です」
 そうだ、高松とこんぴらさんに行こう。
 そう思った。

 ガイドブックを買い、香川の地理と距離感をつかんだあと、ざっくりスケジュールを立てる。
 たった2日間だ。
 できることはそう多くないけれど、目的は旅に出ること。
 旅に出たら、とにかく旅先の町をひたすら歩き、上る。
 それが、わたしのしたかったこと。

 8時前に京都駅を出発する高速バスに乗り、1週間の疲れをまだひきずっているせいで高速道路に入ったらすぐに思考が緩んだ。
 でも不思議なことに眠りはしない。
 そのぼやんとした頭で、以前香川に行ったときのことを思い出していた。

 前回は、2009年の春。徳島から高知、愛媛と順に巡り、最後に香川に立ち寄った。
 そのときは、さらりと駆け抜けた程度だ。
 高松駅からやはり高速バスに乗ったとき、今度はゆっくり、もう1度改めてこようと思った。
 そしてその前は、18歳のとき。
 くしくも、今回、前回と同じ3月。
 友人5人と松山からこんぴらさんを経由し、高松へ移動する、卒業旅行だった。

 わたしの卒業旅行は、高松とこんぴらさんと決まっているのだろか。
 そして香川は、3月に行きたく場所なのだろうか。
 そう思ったら、笑みが漏れた。

 20年前の記憶。
 今回はずっとその抽斗を開け閉めしていた。
 記憶をめぐる旅。
 それこそが、わたしらしい。

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by fastfoward.koga | 2012-03-31 23:25 | 旅行けば

曇りのち晴れのはずが意外に雨 ―香川をゆく

 行くぞと意気込み、出かけたのは香川。
 前日京都で確認した天気予報では傘マークなどなかったのに、2日とも雨に降られた。
 折りたたみ傘も持ってなかったけれど、買わずにやり過ごした。

 それでも久しぶりに旅らしい旅をした気がする。

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by fastfoward.koga | 2012-03-25 23:15 | 旅行けば

延命措置

 あーもう旅に出ないと死んでしまう!
 そう叫んだのは、先週の日曜日。
 その日のうちに、旅の予約をした。
 不思議なもので、こういうときちゃんと自分を呼んでくれる場所がある。
 行きたい場所は他にあるのに、あぁ、もうここしかないと思った。

 久しぶりに、旅に出てまいります!
 卒業旅行(ひとり旅バージョン)です。

 行くぜ! イエーイ!
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by fastfoward.koga | 2012-03-23 23:44 | 一日一言

重いマントを脱いだら

 いつもと同じ通勤風景。
 改札を抜けほんの少しの間、川を眺めて歩く。
 そこでふと、自分は社会人だけになったのだと思った。
 2足のわらじも、もう脱いでしまったのだ。
 突如そんな思いが湧き上がってきた。

 久しぶりに夕暮れの風景を窓の外に従え、帰途についた。
 いつもと違う電車に乗ったらシートに腰かけられ、貪るように本を読んだ。
 最寄駅に着いたところで、またふと考える。
 2足のわらじというより、コートを脱いだ感じがするなと。

 頭に思い描いたのは、サイズの合わない重い黒のマント。
 想像して重さを感じないということは、今は軽くなったということなのだろう。

 今さらながら、分相応なことをしてきたのだろうかと思う。
 
 まだ少し、感傷的。
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by fastfoward.koga | 2012-03-19 22:52 | 一日一言

ライトオン

 今日、大学を卒業した。

 卒業式に向かう電車の中で、終わるということについての感覚について考えていた。
 大人になってこんな終りを迎えたことは他にあっただろうか、そう考えて思いついたのは、自分のことではなかった。
 思い出していたのは、20代のころすきだった人がバンドを、音楽をやめる最後の日のこと。
 ライブを終え、機材を車に積み込むその人の向こうに見えていたのは、よく晴れた空。
 小雨が降りそうな今日とは似ても似つかぬ空なのに、不思議なものだ。

 大学に着くと、午前中に通学部の卒業式があったこともあり、学内は独特の空気に包まれていた。
 久しく触れていなかった卒業式独特の空気。
 晴れやかな衣装をまとった人たち。
 写真を取り合う風景。
 別れを名残惜しむ様子。
 その脇をすり抜け、会場へ向かおうと建物に入ったら、そこには1年前に卒業した学友の姿があった。
 驚いて近づくと、さっと1本のバラを差し出された。
「卒業おめでとう」
 その心遣いに、思わず目を細めた。

 昨日も、やっぱり、1年前に卒業した学友から門出を祝うメールをもらった。
 わたしはそれを何度も読み返した。
 卒業の実感が生まれたのは、そのときが初めてだった。

 卒業式が終わり、記念写真の撮影のあと、コースごとに教室へ入った。
 そこで順番に卒業証書を手渡され、先生ひとりひとりからお祝いの言葉をいただいた。
 その中で、ひとりの先生が、ホワイトボードに書いてくれた言葉が胸に残った。

「WRITE ON」

 どうぞ、書き続けてください。

 ここは終わりではなく、始まりなんだなとしみじみ感じた瞬間だった。

 大学を出たあと、一緒に卒業した学友と3人でお茶をした。
 話はつきない。
 終わらない。
 でもそろそろと席を立ったが、そこでの別れは悲しくはない。
 また会えるとわかっている縁なのだ。

 ひとりになって、電車に乗った。
 学友のひとりが、今日はお寿司にすると言っていたので、わたしも真似して帰り道に握りを買って帰った。
 今日はお祝いだから、と並んでいた中で1番高いものにした。

 うちに着いてから、洗濯機を回し、アイロンをかけ、ひと息ついてから夕飯にした。
 テーブルに握りと箸を並べ、冷えたグラスにビールを注いだ。
「卒業おめでとう」
 自分にそう言ったら、じーんときた。


 スケジュール的にも精神的にも楽なことではなかったけれど、文芸を学ぶために大学へ入った3年は、人間すきなことはがんばれるものなのだということを確認する時間となった。
 今まで無理も無茶もしないのが信条だった自分を思い出すと、甘いかもしれないが、自分を褒めてやりたい気がする。
 でもがんばれたのは自分の思いだけではなく、一緒に学んだ学友に指導いただいた先生、大学の事務局の方々、そして周囲のみんなのおかげなのだ。
 ほんとうに、みなさまに感謝感謝。
 ただ感謝。

 その御恩に報いれるよう、明日からいち社会人に戻っても、書くわたしを模索し続けたい。
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by fastfoward.koga | 2012-03-18 21:12 | 一日一言

にぬき

 飲んだ後のシメと言えば、ラーメンが定番。
 わたしの場合、飲んで、電車に乗って大阪から京都へ帰って来て、うちに着いたら、ゆでたまごが食べたくなる。
 さすがにバンドーエイジにはかないはないが、結構食べてる。

 飲みに行っても、卵料理の注文は必須。
 なんでこんなに卵が食べたくなるのかなー。

 ということで、今日も会社の人たちと飲んで帰ってきて、日曜日に作り置きしていたゆでたまごを食べた。
 欲求に逆らえない。
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by fastfoward.koga | 2012-03-12 22:49 | 一日一言

2月の巻

1 大石英司   ぼくらはみんな、ここにいる・中公文庫 ※ 
2 内田百閒   第二阿房列車・新潮文庫            
3 速水健朗   ラーメンと愛国・講談社現代新書      
4 吉田篤弘   木挽町月光夜咄・筑摩書房          
5 石巻日日新聞編
           石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録・角川SSC新書    
6 池澤夏樹   春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと・中央公論新社


 今日という日が近づくにつれ、テレビなどでも特集が組まれるようになってきましたが、わたし自身3月11日の翌日以降の記憶がなぜかぽっかりと抜けています。
 ひとり暮らしを初めて1週間後の出来事で、震災の影響で仕事も忙しくなり、3月の末にに大事な友人が亡くなったことなどから、毎日をあわただしく過ごしたせいだと思いますが、どこかで記憶を抹消したいと思った自分がいなかったか、そんなことをふと考えました。
 その罪滅ぼしではないのですが、2月後半から、東日本大震災に関する本を手に取るようになりました。

 数日間、ここになにを書こうかと考えていました。
 その時間をできるだけ多く確保しようと、この週末はなにも予定を入れませんでした。
 正直考えすぎて胃が痛くなり、今日という日をひとりで過ごせるのかとも思ったりしました。
 でも今は、1度は読むことを心が拒否した、あの日をテーマにしたアンソロジーをなんとか読み進められるようになりました。
 が、自分が感じ考えたことを、言葉にするほどの余裕はまだ自分にはないようです。
 
 ただひとつわかっているのは、わたしは被災者ではありませんが、日本という国に住む限り、向き合っていかなければならない問題がまだたくさんあるということです。
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by fastfoward.koga | 2012-03-11 10:56 | 本の虫

別の寂しさ

 引っ越して、ちょうど今日で1年。
 1年前の心細さを思い出すと、夜目を閉じる前に見た天井が頭に浮かぶ。
 それでもなんやかんやで時間は過ぎ、季節がひと巡りしたことに正直驚く。
 あの寂しさはどこへやら。
 
 でもちゃんと別の寂しさが、目の前にある現実。

 早めにテレビを消し、本棚の雑誌の背表紙を眺める。
 旅の特集ばかりを引き出し、ぱらぱらと捲る。

 どうして寂しいのに旅に出たくなるのか。
 ここで感じる寂しさと、旅先で感じる寂しさは、違っていただろうか?

 この春の鬱々。
 たぶん、旅に出たらなんてことない憂いに変わるはずなのになあ。
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by fastfoward.koga | 2012-03-06 22:52 | 一日一言

憂鬱な春、はじまる

 冬至が過ぎて、陽が少しずつ長くなってきた。
 一緒に会社を出た周囲の人はそのことをうれしそうに話すのだけれど、わたしはなにも言わなかった。
 おざなりな言葉も、心の奥そこにある思いも、口に出せなかった。
 ぼんやりとしたもやもやしたものが、喉に引っかかるだけだった。

 週末、ブログを書こうと決めていたのに、一行も書けなかった。
 日曜日は気づくと雨が降り出していて1日中家にいたけれど、うとうとしていたらあっという間に陽は暮れた。
 夜になって、別に見たくもないテレビの画面を見つめていたら、とてつもなく、ぽつんとした。
 明日早いからもう寝よう。
 そう思いながらも体は動かず、始まった『情熱大陸』を見ていた。

 昨晩は、サッカー日本代表の内田篤人。
 今はドイツでプレイしているのだけれど、監督が替わったことや故障したことが重なり、最近は出場機会が減っている。
 悶々とした横顔。
 たらればの話はしない。でもさーと言う煮え切らなさ。
 するするっと感情移入した。

 番組が終わって、布団に入り、少しの間だけ本を開く。
 眠れそうな気はしなかったけれど、眠れなくても死にやしないと目を閉じた。
 黒い世界の中で、あぁそうか、春が近いから憂鬱になるのだとやっと気がついた。
 どこまでもどこまでも落ちてゆきそうな足元がおぼつかない中、さっき見た内田篤人の顔が浮かんだ。

 4試合ぶりの先発出場。
 結果はまだ出せていない。
 でも、ボールを追うその姿に、掬われた。
 そして眠りはやってきた。
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by fastfoward.koga | 2012-03-05 21:58 | 一日一言