言霊の幸わう国

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いただきました

 初めて原稿料というものをいただいた!
 額はささやかでも、じーんとくる。

 振込みじゃなく現金でもらったら、使わずにとっておいたのに。
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by fastfoward.koga | 2012-09-30 22:22 | 一日一言 | Comments(2)

8月の巻

1 宮本輝    オレンジの壷(下)・講談社文庫 ※                   
2 宮本輝    にぎやかな天地(上)・講談社文庫
3 宮本輝    にぎやかな天地(下)・講談社文庫
4 湯本香樹美  岸辺の旅・文春文庫
5 綿谷りさ   勝手にふるえてろ・文春文庫
6 宮部みゆき  楽園(上)・文春文庫
7 宮部みゆき  楽園(上)・文春文庫
8 小路幸也   マイ・ブルー・ヘブン 東京バンドワゴン・集英社文庫


 こんなにも小説を読んだのは、いつぶりか。
 8月はただただ、物語を紡ぎだす言葉を追いかけました。

 7月から始まった宮本輝ブーム。
『オレンジの壷』を読み返すことから始めましたが、ここは読んでいないものを! と勇んで書店へ行き、迷った挙句手に取ったのは『にぎやかな天地』でした。
 読み始めてから、きもちよく文章が体に入ってゆくのが爽快でした。
 物語の舞台は京都と西宮の甲陽園周辺ですが、馴染みがあるということを差し引いても、読んでいる自分が物語の中にいるという感覚にわくわくしました。
「自分が物語の中にいる」という表現はよく使われるものではありますが、わたしが感じたのは、自分が物語の登場人物になったようであるというのとは違い、物語が繰り広がる世界にぴたりとくっついている、という感覚でした。
 続きが気になって、引越し作業の手を止め一気に読んだ下巻。
 読み終えたのは午後でしたが、ごろりと横になっていたわたしは最後のページに指を挟んだまま、うとうとしました。
 クーラーの設定温度を高めにしていたせいもあり、無意識に汗をぬぐいながら、頭の中でうごめくビジョンが夢か現実か判別がつかめませんでした。
 けれどぼんやりした頭で、あぁ今自分は物語の世界にほんとうに入り込んだのだと思い、それを言語化したときに、眠っているはずの自分の胸の中から湧き上がってくる不思議な感情に、意識は最後のとどめで押し流されてゆきました。

 長らく本を読んでいますが、こういう体験はまれです。
 小難しいことなど考えず、ただ物語に身を浸す。
 それはまさに至福です。

 最後に、宮本輝の関西弁は最高です。
 関西弁で小説を書く作家は他にもいますが、わたしは彼の関西弁が1番しっくりきます。
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by fastfoward.koga | 2012-09-30 21:50 | 本の虫 | Comments(0)

7月の巻

1 村上春樹   世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上)・新潮社文庫 ※
2 谷川俊太郎  ひとり暮らし・新潮文庫
3 村上春樹   カンガルー日和・講談社文庫 ※
4 三浦しをん  舟を編む・光文社
5 吉田修一   日曜日たち・講談社文庫 ※
6 宮本輝    オレンジの壷(上)・講談社文庫 ※
 ※印は、読み返した本です。


 すっかり忘れていました「本の虫」。
 明日から10月だというのに。

 7月は、憑き物が落ちたように「小説」が読みたいと書店と自分の本棚の背表紙を見つ出した月でした。

 なにを切望していたのか、最近のわたしの脳は老化が始まっており数ヶ月たつと思い出すこともできませんが、とにかく「小説」が読みたくて仕方ありませんでした。
 ただの小説ではない、カッコつきの小説。
 ミステリーのように謎が解けるわけでなければ、読みながら大団円が待ち受けていることがわかるようなものではない物語。
 そこで、なぜか急に思い出して実家の本棚から探し出した宮本輝の『オレンジの壷』。
 久しぶりに、通勤電車の中で本が閉じられなくなるぐらい、夢中で読みました。
 そしてここから宮本輝がマイブームになり彼の作品をいくつか読んでいますが、その話は次の「8月の巻」に移すことにしましょう。

 余談ですが、『オレンジの壷』は、確か前回読んだのは南九州を旅していた列車の中でした。
 車窓の景色を気にしながら、これってどんなエンディングだったんだっけ、とそんなことを考えていました。
 いつか同じ本を持って、同じところを旅してみたいと思います。
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by fastfoward.koga | 2012-09-30 21:24 | 本の虫 | Comments(0)

書いてます

 音博レポ、ただいま執筆中。
 遅筆ですが、必ずアップします。
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by fastfoward.koga | 2012-09-23 21:43 | 一日一言 | Comments(4)

わたしの仕事は

 先週、働きながらずっと、仕事と疲労について考えていた。
 次から次へと押し寄せる仕事の波をかぶっては水面から顔を出し、またかぶって浮き上がる。
 そんな感じだった。
 毎晩、きつい坂道を上ってうちに帰り、ざっぱな夕飯をすましたらもうそれだけで動く気にもならず。
 朝起きるのもつらく、きもちは這うようにして毎朝の電車に乗っていた。

 でも不思議なもので、いつごろからだろうか、仕事から逃げ出したくなる気分に襲われることはなくなっている。
 今いる場所で働き続けることに漠然とした不安を抱き、よその芝生の青さにも憧れたけれど、今の仕事をやるしかないのだと思うようになってきた。

 高校、大学のころは、自分にしかできないことを仕事にと夢見た。
 誰にでも「天職」は必ずあって、どうして自分はそれが見つけられないのかと思ったこともある。
 最初の「超氷河期」と呼ばれる時期に就職活動に失敗し、大学卒業後入社した会社は1年で辞めた。
 その後今の会社にパート採用で入社して、数10年、なんだかんだ言いながらいつづけている。
 通勤時間2時間弱以内での異動を何度か経験し、その中で自分の天職はこれだと思った時期もある。
 データを分析する、研修のインストラクションをする、部下育成をする。
 そのときどきで得意だと思えることをやれていた。
 でも30代半ばに近づくと少しずつ道が逸れていき、だんだん違う方向へ進んでいった。
 軌道修正をしようと転職も考えたものの、結局は今の会社から離れられなかった。
 だからここ数年は、今までとはまったく異なる部への異動を希望していた。
 
 やりがいも楽しさも感じられず、見つけることもできず、でもなにもないところへ足を踏み入れる勇気もなく、同じデスクに座る毎日。
 留まっていることへの不安。
 果たして自分の仕事のやり方は、他所で通用するのだろうか。
 気をもんでいたのは、それだけではない。
 年齢と責任と業務内容のバランス。
 迷いに迷い、悩みに悩んだ挙句、ものさしをなくしてしまった。
 世間のものさしも、自分のものさしもわからなくて、これでいいのかと問うてばかりいた。

 なにがきっかけだったのか、よくわからない。
 ただ、部屋でぼんやり座り込み立ち上がった瞬間に、これしかないのだという答えが下りてきた。
 今の仕事は若いときに憧れたようなキラキラ光るカッコつきの「天職」でもなければ、自分をブランドにするようなクリエイティブさや職人のようなやりがいに満ちているわけでもない。
 けれど自分がやる仕事は目の前にあるものでしかない。
 10代、20代の自分が知ったら、必ずがっかりするだろう。
 力が抜けて、立っていられないかもしれない。
 でも40代を目前にしたわたしは知る。
 仕事はそういうものなのだと。
 
 20年前のわたし、ごめんよ。
 もっとどこかでがんばってればよかったよねえ。
 でもプライドだけ高くて変なところだけ器用なわたしじゃ、これが関の山だったかもしれん。

 と、心の中でつぶやいて、わたしはまた働く。
 夢に満ちあふれていなくとも、やりがいに背中を押されなくとも。
 生きてゆくために働く。
 それがわたしの仕事。
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by fastfoward.koga | 2012-09-19 22:16 | 一日一言 | Comments(8)

夏ボケ

 うっかりひと晩中クーラーをつけて寝。
 いつまでも袖の短い、色の薄い服を着る。

 はたと気づく月曜日。
 
 もう少し次の季節に敏感であってもよいのでは? わたしよ。
 そう自分に問う。

 アンテナの感度が悪くなってるかなあ。
 これじゃあ、いかんよな。
 鈍い女は恋もできない。
 
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by fastfoward.koga | 2012-09-10 22:21 | 一日一言 | Comments(0)

もっとそばに

 会社を出て空を見上げると、ぐんと陽が傾いているように思えた。
 昼間の暑さにはうんざりしても、日の長さは正直だ。
 狂うことなく日々短くなる昼の時間を感じるわたしの傍らを、風が通り過ぎる。

 今日の夕飯は秋刀魚に大根おろし、松茸のお吸い物に納豆。
 秋の匂いのする食卓に、食べる前に鼻をひとつ鳴らした。

 気配を感じた次の季節。
 終わる季節には、何度経験しても後ろ髪引かれるけれど、酷暑にやられた体には「次」の人に近づいてほしいと願う。
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by fastfoward.koga | 2012-09-04 21:59 | 一日一言 | Comments(0)

岸辺を離れて

 最近、ELLEGARDENのベストを引っ張り出して聴いている。
 聴いていた期間は短かったはずなのに、なぜかいくつもの記憶が次々とよみがえった。
 リピートしながら思ったのは、あぁ、あのころの記憶と感情がここに凝縮されていたのだなということだった。

 この間、友人とふたりで飲んでいたときに、わたしが10代の後半から20代にかけてすきだった人のことが話題にのぼった。
 かなりビールの杯を重ねていたせいもあったとは思うけれど、彼のことを思い出してそのときのことを口にしようとするために、自分の奥を掘り返している気がした。
 紙吹雪に埋もれた彼の記憶。
 色とりどりの紙片の中から、わたしは記憶を取り出した。
 思い出すのが久しぶりだったとは言え、時間を要した感覚が体に残った。

 気づけば、あのころをヤマにしたら、わたしの人生はちょうど半分に折れる。

 そうか。
 わたしは、こんなところにまで来てしまったのか。
 時には波に揺られ、時には舵を取り、ゆらりゆらり、流れ着いたこの場所は。

 そんなふうに思った。

 それは決して悲しいわけでも、虚しいということでもなく。
 ただ切ないなあと、心の中の自分の腕を抱くように、感じた。
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by fastfoward.koga | 2012-09-03 22:38 | 一日一言 | Comments(0)