言霊の幸わう国

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冬の星座と冬の花火

 今年は、と書いて、この時期1年を振り返って書くには安直だなあと思いながらも、文章の書きかたをすっかり忘れてしまっている。
 カッコつけて書こうとして、結局ひと月近く書けずじまいなのだから、そんなことも言ってはいられない。

 今年は、いや、今年ほどあわただしく、でも中身の濃い1年はなかった。
 恋をしてじたばたしどおしだったということもあるけれど、10月に職場を異動したことも大きかった。

 これまでも、異動はあるにはあった。でも、これまで入社以来ずっと携わってきた部を離れるのは、初めて。
 それは、まさに一大決心。
 前々から周囲の人にいつかは新しい場所を目指したほうがよいと言われてはいて、どこかでそのタイミングを待っていたけれど、いざ上司に最終回答をするときにはこれでよかったのかと決心が揺らいだ。
 4月以降、今後の身のふりを考えながらできるだけ職場に迷惑をかけないようにと動いていたつもりだったけれど、結局は立つ鳥跡を濁さずとはいかなかった。
 迷惑をかけることはしたくないと歯ぎしりでもしそうな切迫感があったけれど、それでも、この時期を逃したらもうあとはないと自分を奮い立たせた。
 たぶん、気づいていたのだ。今考えていることは、自分の迷いや不安を、つまらない情に変えているだけなのだと。

 9月まではそうやって、駆け抜けた。
 書くとあっさりしたものに感じるけれど、9月30日が終わるまではほんとうに必死で、10月1日になったときは伸ばした手がやっとプールサイドに届いたというきもちになった。
 ただそれは自分ひとりががんばったことの結果ではなく、友人や周囲の人の支えや助けがあってのことだった。
 そして、同じように、彼はその存在だけでいつも背中を押してくれていた。

 夏、まだ暑いさかりのころ、友人と飲んでいたときに、「仕事も恋もいっぱいいっぱいで、あとでこの時期のことを思い返した時に、よう自分がんばったなあと思うと思う」とわたしが言うと、彼女は「でもがんばれたのは、そっちがあったからじゃない?」とわたしの左手をさして言った。
 身振り手振りで話すわたしの右の掌には仕事、左の掌には恋が載っかっていた。
 そのときのことを、わたしはあとあと何度も思い返した。そう気づかされたことが、勇気になった。

 10月から職場が変わったらおのずと変わることが多々あり、それまでのように彼とも会えなくなることはわかっていた。
 駆け抜けた季節のあと、反動でもぬけの殻となってしまうかもしれない自分が、まだ彼のことをすきでいるのかは正直未知数だった。
 そしてそれは予想したとおりになり、自分がこれまでとは違う立ち位置になることを大きく考えすぎて、彼にどう接していいかわからなくなってしまった。

 11月ごろは、ああこのままこの恋は終息してしまうのだなと思った。
 点が線になり、また点になる。
 覚えたはずの星座を見失うみたいな感覚。
 終わりはこんな感じだったかなあと思い返してみたりしながら、ただいつものように変な潔癖さで、中途半端はよくない、それなら1日も早く終わらせてしまえと結論を急ぐようなことはしなかった。
 すきでいられる間はすきでいよう、ということは決めていた。

 新しい環境での生活は、なにがよくて悪いのか、正しいのか間違いなのか、わからないことだらけ。
 でも12月に入って、恋も毎日も滞っていることはまだまだ新しい環境で踏ん張らないといけない今よくないと動き出す決心をした。
 すると、せき止められていたものがさあっと流れだすようなことに出会った。
 寸前までは、いつこの恋を終わらせられるのかと思っていたのが、軽い電気ショックを受けたように、突然シンプルでいいのだと思い直した。
 それが探していた答えだと直感した瞬間だった。


 恋の行方を心配してくださった方、ほんとうにありがとうございます。
 わたしはどうも、ほんとうに彼のことがすきなようです。
 余裕のなさがあきらめにきもちを傾けましたが、もう1回気を取り直してがんばることにしました。
 先日、よく利用する通信販売からバレンタインのチョコレートカタログが届き、見た瞬間に来年も彼に甘い甘いチョコを贈りたいと思ったので、まずはそこに向けて。


 そして、最後に。
 この間テレビで久々にaikoの花火を聴きました。
 今までで1番、歌詞が身に沁みました。

「疲れてるんならやめれば?」にぐさりときて、次にムカッときたので、来年はあきらめない女になります。

 今年も1年、お世話になりました。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。
 ではみなさま、よいお年を!
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by fastfoward.koga | 2013-12-29 21:22 | 一日一言

11月の巻

1  松家仁之   沈むフランシス・新潮社 
2  糸井重里   小さい言葉を歌う場所・ほぼ日刊イトイ新聞 ※
3  久世光彦   向田邦子との二十年・ちくま文庫 ※
4  北村薫     盤上の敵・文春文庫 ※
5  石田衣良   スローグッドバイ・集英社 ※
6  青山七恵   街の灯・河出文庫 ※
7  金城一紀   SPEED・角川書店 ※
8  吉田篤弘   フィンガーボールの話のつづき・新潮文庫 ※
9  石田衣良   波の上の魔術師・文藝春秋 ※
10 宮部みゆき  小暮写眞館(上)・講談社文庫
11 宮部みゆき  小暮写眞館(下)・講談社文庫


 100冊までわずか、と11月から少しスピードアップしました。
 ちょうど実家に帰ることも多かったので、その度に数年読んでいなかった本を持ち帰り読み返していました。

 その中で、初読みの松家仁之の『沈むフランシス』は、話の展開に息をひそめながら1日で読み終えました。
『火山のふもとで』に続く、2作目のこの作品は、相変わらず流れるような文章。
 小説の世界に首までつかりきって読んだので、本をとじた時にはふうっと長い息を吐きました。
 それにしても、主人公の恋人、惚れてしまうのが悔しいなあと思う人物でした。
 こういう男が現実にいたら、と考えたら歯ぎしりします。かなり個人的な感想ですが。  


 今年も残すところあと数日。
 さあ、100冊に到達できるのか!?
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by fastfoward.koga | 2013-12-23 20:00 | 本の虫

詩人の問い

 朝友人に送ったメールへの、夜届いた返信の最後に「最近悲しいことありましたか?」と書かれていた。
 どうして友人は「最近楽しいことありましたか?」ではなく、「悲しいこと」と聞いたのだろう。

 詩人だなあと思った。
 いや、友人は確かに詩人なのだけれど。

 目に見えた、いや、単にわかりやすい悲しみはないのだけれど、悲しみにまで届かない具体性のないさみしさがある。
 さみしさのやっかいなところは、その具体性のないところで。
 漢字で「寂しさ」とか「淋しさ」とも書きたくないくらい、ぼんやりしている。
 
 でも、仕方ない。
 思いどおりにはいかないこともある。
 そういうことは、これまでに何度もあったから知っている。
 知っているから、どうっていうことはないのだけれど。

 知らないより、知っているほうがよい。
 さて、詩人の問いに答えなくては。
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by fastfoward.koga | 2013-12-04 22:55 | 一日一言